理学療法士の経験値や臨床感を言語化した指南書

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近年、理学療法においてエビデンスが重要視されていることはご存知のことと思う。昔から理学療法はサイエンスの部分とアートの部分があると言われており、近年では前者が強調されてきている。

 

そこで研究会や勉強会に参加し、新しい知見や根拠のある知識を学ぶことは多い一方、先輩PTの経験値や臨床勘などは引き継がれているとは言い難い現状である。

 

この度、先人たちの貴重な経験談や臨床勘が文章化された指南書「そのとき理学療法士はこう考える」が医学書院より出版された。

 

本書は,第1章ではPTの在り方に触れ,第2章では思考過程でもあるクリニカルリーズニングの要点が述べられ,第3章ではリスク管理,第4章では中枢神経疾患,運動器疾患,内部障害,神経筋疾患などの評価について,第5章では多くのPTが苦手としている統合と解釈に関して丁寧に解説されています。そして,最終第6章では本書の最大の特徴とも言える多数の疾患の事例報告が61例紹介されており,臨床の第一線で活躍されているそうそうたるPTが,自らの経験値を簡潔に言葉にして伝えています。

引用元:医学書院/週刊医学会新聞

 

理学療法は問診などによる正しい情報収集、身体機能評価からの問題点抽出、そして正しい知識を元にした統合と解釈と進んでいく。そこからさらに問題点抽出、治療計画の立案、アプローチへと一連のプロセスを進む上ではセラピストそれぞれの経験値や臨床勘などが必要になってくる。

 

特に理学療法を提供する上で、患者一人一人の個別性を考慮しなくてはならないがそこが一番難しいところである。その個別性に適応するにはエビデンスに基づいた正しい知識に加えて、そのセラピストの経験やいわゆる臨床勘をいかに症例に適応させるかが重要となる。

 

今回の著書は、臨床経験の少ないPTが普段先輩PTからの経験値を継承する上での一助となるかもしれない。また中堅PTやベテランPTの頭をブラッシュアップする上でも非常に有効な1冊になりそうだ。

 

理学療法士の経験値や臨床感を言語化した指南書

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