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ハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)の起始・停止とトレーニング/ストレッチ【肉離れ】

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▶︎臨床現場で効果的なストレッチ方法

▶︎姿勢・動作から見るハムストリングスが硬くなる原因

Contents

1.半腱様の起始・停止、支配神経を確認

2.半膜様筋の起始・停止、支配神経を確認

3.大腿二頭筋の起始・停止、支配神経を確認

4,大腿二頭筋の機能

5.大腿二頭筋の触診

6,SLRテスト/ストレッチ

7.ハムストリングスの痛み 筋挫傷(肉離れ)

8,タイプ別アスレチックリハビリテーションとその時期

9.ハムストリングスストレッチ(ジャックナイフストレッチ)

10,ハムストリングス筋トレ(ノルディックハムエクササイズ)

11,文献

ハムストリングスは、主に膝を曲げるように作用する3つの筋肉のグループです。ハムストリングスは3つの筋肉で構成されています。ハムストリングスは、速筋であるtypeⅡ線維 の含有率が高く大きい筋張力の産生が可能な組成となっています。

  • ・半腱様筋:紡錘筋
  • ・半膜様筋:半羽状筋
  • ・大腿二頭筋:半羽状筋

 

半腱様の起始・停止、支配神経を確認

半腱様は、ハムストリングスの筋肉群を構成する3つの筋肉の1つであり、大腿部の後部および内側に位置しています。半腱様筋は、読んで字のごとく腱が長いことからそのように名付けられています。

 

半腱様筋は、半膜様筋よりも表面にあります。ただし、半膜様筋は半腱様筋よりも幅が広く平坦であるため、半膜様筋を直接触診することは可能です。半腱様筋と縫工筋、薄筋の3つの腱は、鵞足を形成します。

 

半腱様筋で特徴的なことは、十字靭帯や側副靭帯の自家移植腱(薄筋と共に)として使用されます。

起始

坐骨結節内側面

停止 脛骨粗面の内側(鵞足形成)
支配神経

脛骨神経

髄節 L5ーS2
作用

股関節伸展、膝関節屈曲、下腿内旋(膝屈曲時)

英語

semitendinosus(略:ST/STN/STM)

 

半膜様筋の起始・停止、支配神経を確認

半腱様筋よりさらに後内側にあります。大腿部の下部では、半腱様筋と半膜様筋が一緒になって膝窩の上部内側境界を形成します。

起始

坐骨結節

停止 内側脛骨顆の後内側表面の水平溝、斜膝窩靭帯/筋膜、内側半月板
支配神経

脛骨神経

髄節 L5ーS2
作用

股関節伸展、膝関節屈曲、下腿内旋(膝屈曲時)

英語

semimembranosus(略:SM)

 

大腿二頭筋の起始・停止、支配神経を確認

二重神経支配

 大腿二頭筋の筋肉には通常、大腿二頭筋の短頭と長頭の二つの起始がありますこれらの2つの頭は腓骨頭に挿入され、挿入部位で側副靭帯によって2つの部分に分かれています。          

起始

長頭:坐骨結節

短頭:大腿骨粗面の外側唇の中部1/3、外側筋間中隔

停止 腓骨頭
支配神経

長頭:脛骨神経

短頭:総腓骨神経

髄節 L5ーS1
作用

股関節伸展、内転

膝関節屈曲、下腿外旋

英語

Biceps femoris muscle(略:BF/Bf/BFM)

 

さらにこの二つの起始はそれぞれ支配している神経が異なる、二重神経支配の筋として分類されています。もっと言うと二つの起始は、二関節(股関節・膝関節)と単関節筋となっているのが特徴で、大腿二頭筋単体をストレッチする場合これらを考慮する必要があります。

二重神経支配となるこの筋の神経は、坐骨神経から分岐する脛骨神経と総腓骨神経に分かれます。坐骨神経は、大腿二頭筋長頭の下を通り、大腿骨遠位部で2つに分かれます。

基本的な機能

・リバースアクション(筋の逆作用)により、長頭は骨盤に後方安定性を与える

・二つの起始は、脛骨の前方脱臼を防ぎ回転安定性に関与する

・膝関節の後外側角にある、弓状靭帯複合体に寄与し、内反および回転安定性に関与する

大腿二頭筋の触診

・膝をわずかに曲げてうつ伏せにします。

・遠位から始めて、膝窩の外側近位端を見つけて、腱の挿入を見つけます。

・ハムストリングスを横方向に触診して、大腿二頭筋を見つけます。

・手のひらを坐骨結節に向かって(近位に)動かして、大腿二頭筋の筋腹を見つけます。

SLRテスト/ストレッチ

・片手で、親指と人差し指で患者のASISと腸骨稜を触診します

・一方、足首のすぐ上で患者の脚を支えます

・膝を伸ばしたまま患者の脚を股関節屈曲部まで持ち上げ、脛骨の内旋を加えて大腿二頭筋にバイアスをかけます

・寛骨が後方に回転し始めると、大腿二頭筋の柔軟性が失われます。

【評価】ASLRとPASLRテスト

ASLRは80°以下でケガの発生率が2倍高い

ハムストリングスの痛み

ハムストリングス筋挫傷(=肉離れ)

ハムストリングスにおいて最もポピュラーな傷害は肉離れだと思います。正式名称を筋挫傷といいます。好発部位は主に二関節筋である大腿二頭筋のほか、大腿直筋も好発部位です。大腿二頭筋ではさらに、長頭が好発部位で股関節屈曲・膝関節伸展の遠心性収縮時に最も起こりやすいと言われています。

引用:https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/supoken/doc/studiesreports/2001_2020/H2005.pdf

【MRI による肉離れのタイプ分類(国立スポーツ科学センター)と復帰期間見込み】

Ⅰ型:筋肉内または筋間、筋膜の出血が認められ、 筋腱移行部には損傷が認められないタイプ。*復帰の見込み:1-2週間で復帰可能

Ⅱ型:筋腱移行部を含む部位に損傷が認められるタイプ。*復帰の見込み:4週間–3ヶ月を要する

Ⅲ型(手術適応):腱または腱付着部が断裂するタイプ *復帰の見込み:競技選手では、手術的治療を検 討する必要がある(手術後4–6ヶ月を要する)

タイプ別アスレチックリハビリテーションとその時期

第1段階では、 関節の可動域を回復:Ⅰ型<1-2週目>Ⅱ型<1-2週目>Ⅲ型<1-3週目>

第2段階では、基本的 な筋機能を高める:Ⅰ型<2週目>Ⅱ型<3-4週目>Ⅲ型<4-8週目>

第3段階でランニング開始:Ⅰ型<2-3週目>Ⅱ型<4-6週目>Ⅲ型<8-12週目>

第4段階で専門種目の練習に復帰:Ⅰ型<2-3週目>Ⅱ型<6-12週目>Ⅲ型<14-18週目>

第5 段階で試合に参加し、完全競技復帰:Ⅰ型<3週目>Ⅱ型<7-14週目>Ⅲ型<18-22週目>

ハムストリングスストレッチ

ジャックナイフストレッチ

①踵をつけたまましゃがみます。

*踵がつかない場合には、低い椅子で踵がつく範囲内でしゃがみましょう。

②足首を両手で持ち、胸とモモをくっつけましょう。

③この状態からお尻を天井に持ち上げ(頭を下げる)、モモ裏の伸びを感じましょう。

④気持ちよく伸びるところでストップし30秒数えます。数えたら元の形に戻ります。

*頭に血が上ってきつい場合には、20秒、10秒と減らし無理なく行える時間で行います。

⑤これをを3セット(約1分半)行いましょう。

*20秒または10秒しか伸ばせない場合にもセット数は変えなくて良いです。徐々に伸ばす時間を増やしましょう。

ハムストリングスのトレーニング

ノルディックハムエクササイズ

 大腿二頭筋に対するトレーニングに関して、メタ分析による系統的レビュー3)で、エキセントリックな筋力トレーニングプログラムにより、大腿二頭筋の長頭の構造特性が生じた結果、エキセントリックなハムストリングスの強度が向上したとしています。

 

さらに4)、ハムストリングス損傷予防のトレーニングとしてノルディックハムエクササイズが、アマチュア選手で72%、アスリートで60%の損傷予防効果があったと報告しています。

参考文献

1)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16283645/

2)https://scielo.conicyt.cl/scielo.php?pid=S0717-95022020000501341&script=sci_abstract&tlng=en

3)https://meridian.allenpress.com/jat/article/55/5/501/436800/The-Effects-of-Eccentric-Training-on-Biceps

4)https://vbn.aau.dk/en/publications/effect-of-specific-exercise-based-football-injury-prevention-prog

https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0043/G0000126/0065

ハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)の起始・停止とトレーニング/ストレッチ【肉離れ】

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