膝や腰、指など関節から“ポキッ”と音が鳴る。この現象に関して、患者さんやクライアントからどうして?と聞かれた事は、何度もあるだろう。今回発表された研究によって、その謎も解消しそうだ。
いまだにナゾだった関節がポキっと鳴るメカニズム、ついに解明に近づく
この研究は、仏エコール・ポリテクニークと米スタンフォード大学の研究チームによって行われた。音を再現する為、関節の幾何学的表現モデルと一連の数式を組み合わせた、数学的なモデルを作りシミュレーションを行った。その結果“ポキッ”と鳴るクラッキング音は、関節内の滑液に大きな圧力がかかり、滑液内に含まれる気泡が崩壊して小さくなるタイミングと同時に起こっている事が判明した。
1971年にも同様の研究結果が示されていたが、2015年に他の研究グループがクラッキング音の後にも関節内に気泡が残存している事を発見。「滑液中に気泡が形成された時にクラッキング音が出現する」といった、今までの見解を覆す研究結果が発表され、真相は謎に包まれていた。
しかし、今回の研究で気泡の一部が崩壊するだけでも“ポキッ”と音が鳴り、他の気泡は崩壊せずに関節内残る事が確認された。
また、気泡の崩壊時に生じる音波を今回のモデルから測定し、20代の被検者3人が実際に関節を鳴らした波形と比較。非常に類似していた事から、気泡の崩壊が関節の“ポキッ”と鳴る現象として裏づける事が出来たという。
ただ、実際の関節で観測した訳では無いことから、今後もさらなる議論が起こる可能性があるそうだ。
「現段階で有力な研究」程度に捉えておくべきか。今後の展望に期待だ。