熊本大学医学部附属病院 循環器内科 辻田教授らの研究グループは、筋肉量の減少(サルコペニア)を診断する簡単な検査を応用することで、慢性腎臓病患者の将来の心臓血管病発症リスクを予測できることを明らかにした。
▶︎ 大阪市立大学|年齢・握力・ふくらはぎの太さから 腎臓病患者の心臓血管病リスクを推測 ―筋肉量の減少を予測する「サルコペニアスコア」を腎臓病患者に応用―
対象は、熊本大学医学部附属病院循環器内科に心臓血管病の評価や治療のために入院された慢性腎臓病の患者265名。
退院前に測定した握力やふくらはぎの周囲径のデータをもとにサルコペニアスコアを算出し、個々の患者のサルコペニアスコアと、血液検査・心臓超音波検査などの検査結果やその後の病気の経過などとの関連性を、約650日間にわたって調べた。
その結果、サルコペニアスコアが高ければ高いほど、血液検査でのBNPという心臓の疲れ具合を表す値が高く、またクレアチニンという腎臓のダメージを表す数値も高い事が分かった。
さらに、それぞれの患者の病気の経過を調べてみると、その後の死亡率や心筋梗塞、心不全、脳卒中などの心臓血管病の発症率が、サルコペニアスコアが高い患者達において明らかに高い事が分かった。
BNPにサルコペニアスコアを組み合わせることで更に予測能力が向上する事も明らかになり、サルコペニアスクリーニング法の有効性が証明された。
なお、研究成果は「International Journal of Cardiology」オンライン版に掲載されている。