現在、ベトナム全土において理学療法士の国家試験がないため、各地にある養成校（大学、短大の理学療法コース）を卒業した者が「理学療法士」の資格を与えられ、理学療法を実施しています。ベトナムの保健省（日本の厚生労働省のような省庁）は理学療法士を名簿で管理していないため、ベトナム全土における正確な理学療法士の人数は把握されていません。

一方、作業療法士においては資格制度がないため、医療現場では他国のボランティアなどから指導を受けた理学療法士が作業療法を実施しています。教育に関して、作業療法について学ぶ課程が一部の大学の理学療法コースで始まるという動向にあるようですが、ベトナム全土で統一された方向性は示されていません。

言語聴覚士においても資格制度がありませんが、医師や理学療法士などの有資格者が言語療法を学ぶ方法は幾つかあります。それは、①独学で言語療法を学ぶ、②国内外の病院で短期研修(1～3ヵ月程度)を受ける、③国内で唯一言語療法を学べる大学（ホーチミン市）に２年間通う、などがあります。ホーチミン市の大学では、オーストラリア人の言語聴覚士による教育が行われていますが、日本のような実技・演習や病院での実習などのカリキュラムはなく、机上での理論面の学習が中心となっています。