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【書評】極論は常識の原点ー極論で語る神経内科 第2版ー

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 本書は、基本医師向けに書かれた書籍である。しかし、読み進めていくと医師が診断までに考える思考の過程が描かれている。その中でも、個人的に印象的な部分は言葉の整理だ。

 

我々、医療従事者は時折“便利な”医学用語に自身が踊らされる。例えば、本書にも記載されている「脳卒中」という言葉。大きく分けると、これには脳出血と脳梗塞の2種類の状態を含める名称であり、全く異なる病態である。

 

ここを便利な「脳卒中」で片付けてしまう結果、患者にとって不利益な状態を招きかねない。つまり、極論と言いつつも、これまで常識として使われていたことを「もう一度考え直そうよ」とした、私にとっては常識の原点のように感じる書籍となっている。

 

常識は非常識で非常識は常識で

 上記他、医療の中には様々な“常識”と“非常識”が入り混じっている。一昔前、胃に生物が存在するなど考えられなかったが、現在では胃がんの原因となるヘリコバクターピロリ菌の発見によって、非常識が常識へとひっくり返った。

 

本書でも時折、昔の非常識が今の常識だったことが描かれている。例えば、NIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale=脳卒中重症度評価スケール )というものがある。現在では、神経診療として必須検査であるが、その昔暗唱カードや絵をバカにすることがあった。本書では、詳しく書かれているんで、詳細は書籍をご覧いただきたい。

 

言葉の使い方を改める

 極論と言いつつ“便利”に使用されてきた医学用語、一つ一つに疑問を呈し、その疑問が直接臨床に反映される思考過程が本書では描かれている。認知症の章では、我々療法士も無視できない内容が書かれていた。

 

例えば、認知症の検査としてHDS-Rを行うことがある。我々療法士は、すでに診断が下されている手前、検査を手順通りに行うが、それを受ける患者の気持ちを考えたことがあるだろうか?これについて、本書で引用されている詩人柴田トヨさんの「先生に(詩集 くじけないで:飛鳥新社)」が非常に心を動かした。

 

私たちが日頃発している言葉の一つ一つに、注意を受けられている著者河合真先生の真摯に患者と向き合う姿勢が本書の見所だと考える。我々療法士にとって、医師が診断を下すまでに歩む過程を、頭の中に入り込み覗いた書籍となっている。

【書評】極論は常識の原点ー極論で語る神経内科 第2版ー

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