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大腿四頭筋の起始・停止、支配神経からストレッチ、トレーニング

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Contents

1.大腿四頭筋はこんな筋肉

2.大腿四頭筋の評価

3,大腿四頭筋断裂

4,人工膝関節全置換術の術式(大腿四頭筋の切開部位)

5,大腿四頭筋のストレッチとトレーニング

6.大腿四頭筋と臨床

7.大腿四頭筋はこう国家試験に出る!!

8.参考文献

大腿四頭筋はこんな筋肉

まずは基本的な知識から学んでいきましょう。

起始

内側広筋:大腿骨粗線内側唇

外側広筋:大腿骨粗線外側唇、大転子下部

中間広筋:大腿骨近位2/3

大腿直筋:下前腸骨棘、寛骨臼上縁

停止 脛骨粗面
支配神経 大腿神経
髄節 L2ーL4
作用

大腿四頭筋:膝関節伸展

大腿直筋:股関節屈曲

外側広筋:下腿外旋

内側広筋:下腿内旋

英語

大腿直筋:RF

中間広筋:VI

外側広筋:VL

内側広筋:VM

 

大腿四頭筋は文字の通りで大腿部にある4つの筋肉です。それぞれ筋肉で役割が違うので少し解説します。

大腿直筋

〇大腿直筋

 水平に切ると大腿四頭筋の中で最も上にある筋。大腿四頭筋の中で唯一の二関節筋で浅層と深層に分けられる。浅層は羽状構造(速く力強い筋収縮に有意)で深層は平行な繊維で筋の中央部が最も太い形状。

内側広筋,VM

〇内側広筋

 大腿四頭筋の中で内側にある筋。内側広筋の特徴はExtension Lagに関わる最も大切な筋であること。膝伸展時に大腿四頭筋の中でも最後に収縮するため、Extension Lagに深く関わる。

外側広筋,VL

〇外側広筋

 大腿四頭筋の中で外側にある筋。外側広筋は4つのなかで一番大きいことが特徴。外側広筋は多くの部分で腸脛靭帯と付着する。浅層と深層がある。浅層は共同腱に深層は膝蓋上包に繋がる。

中間広筋

〇中間広筋

 大腿四頭筋の中で一番深層にある筋。脂肪体や滑液包と付着していて膝の拘縮に関わる筋肉。他の3つの筋肉と比べて建成分より筋成分が多い。最後に全部合わせた画像を見てみよう。

大腿四頭筋

こう見ると、膝の近くには内側広筋が大きくて、大腿の真ん中には外側広筋が大きいのがわかる。図でみておくと起始停止も覚えやすいので見ておこう。

大腿神経

筋の起始・停止はよく覚えているけど、なかなか神経や血管は覚えられないのが悩み。神経や血管は重要だから走行から覚えていこう。画像とにらめっこだ。

 

1,最初のタイプまたは独立した形式は、転子間線の上部と大転子の前部に由来します。その起源は、人口の約33%で中間広筋の起源から分離されています。筋膜または腱膜は、外側広筋および中間広筋から分離されたままです。

2,タイプ2では、それは中間広筋と一緒に発生します。腱膜は外側広筋から分離可能です。この形態は人口の約8%を含みます。

3,タイプ3では、筋肉は外側広筋に由来しますが、腱膜は中間広筋から分離可能です。割合は約30%です。

4,タイプ4の類型学または一般的な類型学は、外側広筋に由来し、腱膜は外側広筋および中間広筋から分離可能です。調査結果は約27%です。

 

大腿四頭筋の評価

Ely(エリー)テスト(またはDuncan-Elyテスト)

1,うつ伏せになります。

2,患者の下腿を持ち、膝を曲げ、踵を臀部に近づけます。

3,大腿四頭筋の短縮がある場合(陽性)となります。

*陽性時に起こる現象を尻上がり現象といいます。

*ナクラス テスト(Nachlas Test)も同様の方法で行いますが、殿部の痛みは仙腸関節の障害、腰部の痛みは椎間板の障害を評価するものです。

 

大腿四頭筋断裂

分類

グレード1の症状

大腿四頭筋が全体的に緊張感があります。アスリートは、ウォーキングやランニングに軽度の不快感を感じることがあります。腫脹はほとんど観察されません。損傷部位にしこりやけいれんの領域が感じられることがあります。

グレード2の症状

ランやジャンプ動作時に突然激しい痛みを感じてプレーできなくなることがあります。痛みは歩行を困難にし、腫れや軽度の打撲傷が観察されます。損傷部位には圧痛を伴います。筋肉の裂傷抵抗に対して膝をまっすぐにすると、痛みを引き起こす可能性があり、負傷したアスリートは膝を完全に曲げることができなくなります。

グレード3の症状

症状は、太ももの前部の激しい突然の痛みです。患者は、クラッチを使わないと歩くことができません。重度な腫脹がすぐに現れ、24時間以内に大きな打撲傷が現れます。安静時通も伴います。患者は6〜12週間は競争から外れると予想でき、手術適応となることがあります。

リハビリテーションプロトコルの例

フェーズI:急性期(24-48時間)

目標:

・痛みと炎症の軽減。

・柔軟性とROMを徐々に改善。

・筋萎縮と筋力低下を遅らせる。

・筋肉の緊張の治癒を促進。

リハ:

・RICE-休息、凍結療法、圧迫ラップ、および挙上

・大腿四頭筋の休息と固定を容易にするために最初に松葉杖を使用する

・NSAIDS(非ステロイド性抗炎症薬

・軟部組織モブ/ IASTM

・パルス超音波(デューティサイクル50%、1 MHz、1.2 W / cm2)

・従来のTENS

・等尺性大腿四頭筋セット、ハムストリングセット、グルトセット

フェーズ2:亜急性期(第3〜12週)

目標:

・痛みのない大腿四頭筋の収縮。完全なROMの獲得。

・機能的な動きに備えて、動きと速度を徐々に増加させながら、体幹と骨盤の神経筋制御を開発。

リハ:

・凍結療法(クライオアブレーション

・NSAIDS

・電気刺激

・アスリートが持ち上げることができる最も軽いフリーウェイトから始めます。1日3回まで10回の繰り返しの3セット。

・上半身のトレーニング、水泳、トレッドミルウォーキングによるコンディショニング

・膝のROMが100度を超えるサイクリング

フェーズ3(12週目以降)

目標:

・すべての活動中に症状がない

・体幹と骨盤の神経筋制御を改善。

・姿勢制御をスポーツ固有の動きに統合。

リハ:

・許容される中程度から高強度のトレッドミル

・ROM終了時の等速性トレーニング(過屈曲)

・STM (Soft tissue mobilization:軟部組織モビライゼーション

・プライオメトリックジャンプトレーニング

・不安定な表面で片足バランストレーニング

 

人工膝関節全置換術(Total Knee Arthroplasty:TKA)における外科的アプローチ

TKAの最も一般的なアプローチには、Medial Parapatellar Approach(メディアル パラパテラ アプローチ)、Midvastus Approach(ミッドバスタス アプローチ)、Subvastus Approach(サブバスタス アプローチ)が含まれます。それぞれのアプローチには理論上の長所と短所がありますが、全体として、TKAの最良の全体的な外科的アプローチに関して文献は依然として議論の余地があります。

Medial Parapatellar Approach:切開部位は内側膝蓋支帯・内側広筋

膝蓋骨をかわして膝蓋支帯を切離し、内側広筋と大腿直筋の間を頭尾方向へ展開する術式。メリットは、術野の確保が他の術式よりも広い点にあります。数珠つ時間の短縮にもつながります。

Midvastus Approach:切開部位は内側膝蓋支帯・内側広筋の一部

上記術式よりも内側広筋の切開範囲が少ない術式です。主に、内側広筋の斜走繊維に沿って切開することから膝関節伸展機構をより残存させることが可能となります。

Subvastus Approach:切開部位は内側膝蓋支帯

大腿四頭筋を切開しない術式。肥満の患者、変形の強度な患者には適さない術式です。

大腿四頭筋のストレッチとトレーニング

大腿四頭筋のストレッチ

ストレッチ、トレーニングの方法はたくさんあるのであくまで例です!

〇ストレッチ

ポジション:側臥位

①体を丸める

②下の手は膝を抑えて上の手は足首をもつ

③そのまま上の手を後ろに引っ張る。この時股関節外転位ならないように注意!

※イメージ

※下の下肢は股関節膝関節屈曲させて腰椎前弯を防ぐ。

大腿四頭筋の筋トレ

〇トレーニング

ポジション:座位

①ボールを内ももに挟む。

②そのまま膝を伸展させる。

③そのまま股関節を屈曲させる。

 

3. 大腿四頭筋と臨床

臨床場面でよく出てくる大腿四頭筋。

臨床の場面でどのような形で考えているか少しだけ紹介しよう。

①変形性膝関節症

膝で最も多い疾患の一つ。筋力低下はもちろん拘縮や柔軟性低下を起こす。

基本的にアプローチはストレッチも筋力トレーニングもやるけど、その人によって病態は全然違う。大腿四頭筋が関わるものだけでもいくつもある。

臨床に出て意外だと思ったのは大腿四頭筋が伸展制限になること。これは膝蓋上包の問題や脂肪体、Extension Lagの問題などたくさんある。

 

②非特異的腰痛

非特異的腰痛っていってもたくさんの病態があって大腿四頭筋の中では大腿直筋が関わる。直筋は骨盤の下前腸骨棘に付着するので緊張すると骨盤は前傾する。骨盤が前傾すると腰椎は前弯が強くなるので腰痛になりやすくなる。

 

意外と腰痛がある人は膝も痛いっていう人もいるので気をつけて見てみよう。

 

4.大腿四頭筋はこう国家試験に出る!!

大腿四頭筋については変形性膝関節症を混ぜて出題することが多くてトレーニング方法など聞かれます。

Q.腰痛を合併する変形性膝関節症の大腿四頭筋訓練で適切でないのはどれか。

 

3でも言った腰痛についての記事がヒントです。腰痛と関わる筋は直筋、つまり股関節屈曲させて行っているトレーニングが間違いなので、答えは①です。

 

また運動学では膝蓋骨がどう動くかなどが出題されています。

Q.図に大腿四頭筋の力と膝蓋大腿関節の関係を示す。図を参考に、次の文で誤っているのはどれか。ただし、ベクトルの大きさは全て同じである。          

①A:大腿四頭筋の収縮力が脛骨粗面に作用する。

②B:膝屈曲角度と膝蓋大腿関節に作用する圧力は反比例する。

③C:反張膝では膝蓋骨が浮き上がる方向へ力が作用する。

④D:膝蓋骨には生理的に外方への力が作用する

⑤E:Q角が大きいと膝蓋骨に外方への力が強く作用する。

 

これは大腿四頭筋の収縮によって膝蓋骨がどう動くかがわかっていることが大切。でもこれはすべて動きは正しい。何が違うのか、、言葉がおかしいのです。答えは②です。膝屈曲角度が大きくなるほど膝蓋大腿関節に作用する圧力は比例します。屈曲が大きくなると大腿四頭筋の緊張が大きくなり関節への圧力が大きくなります。

 

どうだったかな。意外と奥が深い筋肉であるのでしっかり理解しておこう!!

 

参考文献

・https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17932403/

・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5889697/

・https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29763071/

・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2941577/

大腿四頭筋の起始・停止、支配神経からストレッチ、トレーニング

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