同日の医療保険部会では、医療費における保険給付率と患者負担率のバランス等の定期的な「見える化」についても報告がありました。この取り組みは2020年から開始されており、医療保険制度の財政状況を国民に分かりやすく伝えることを目的としています。
報告によると、令和4年度の医療費43.7兆円のうち、自己負担額の割合は14.8%、医療保険から支払われる割合(実効給付率)は85.2%となっています。さらに、その85.2%のうち、公費が32.2%、保険料が53.0%を占めています。
また、後期高齢者(75歳以上)の自己負担率は約8%、それ以外の世代では約19%となっており、高額療養費制度などの影響で実際の負担は法定割合よりも低い状況です。
【資料3】医療費における保険給付率と患者負担率のバランス等の定期的な見える化について
0歳児の生涯医療費は平均2,755万円であり、そのうち約2,300万円が医療保険から支出されるという推計も示されました。このようなデータは、制度の持続可能性と世代間の公平性を議論する上で重要な視点を提供しています。
委員からは、「生涯医療費の概念を広めることで、世代間の支え合いを理解しやすくなる」「高齢者医療制度のあり方を年齢で区切る今の構造は見直すべき」といった意見もありました。
厚生労働省は、本日の報告を受け、関連資料を近日中にホームページ上で公表する予定です。医療制度に対する理解と信頼の向上に向けたこの取り組みに、今後も注目が集まりそうです。
なお、本部会では高額療養費制度やマイナ保険証の運用改善に関する議論も同時に行われました。これらの内容については別稿で詳しくお伝えしておりますので、併せてご覧ください。