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第207回 農業と障がい者の就労支援(株)クリエイターズ 取締役 藤島健一先生

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精神科作業療法の基盤

ーーーリハビリ業界に入ろうと思ったきっかけはなんですか??

 

小学校から高校三年生までずっと野球をしていたんです。スポーツばかりで勉強は全くしてきませんでした。そのため、野球を引退した後に進路を迷っていました。親に相談したら、「これからの時代は手に職をつけなさい」と助言を受けました。

 

そこから自分なりに調べていましたが、元々医療福祉という業界には興味がありました。というのも自分の祖母が脳梗塞を患い、地元の病院でリハビリを受けていたんです。その時リハビリをしてくれていたのが理学療法士(以下PT)さんでした。それが初めて見たPTでそのときこんな仕事もいいなあって素直に思いました。

 

 

それで、PTか作業療法士(以下OT)かで迷いました。しかし、石川県内には養成校があまりなかったんですね。けれども、私の学校の卒業生が岐阜で作業療法士の養成校を立ち上げるため募集しているということを知りました。何かのご縁を頂いたかのように声がかかり、サンビレッジ国際医療福祉専門学校の1期生として作業療法学科に入学することができました。

 

当時、嬉しかったし多少やる気にはなっていたとは思うのですが、絶対にこの仕事に就きたい!と思っていなかったし、恥ずかしながらPTとOTの違いも分かっていませんでしたね。

 

ーーー学生時代はどんな学生だったんですか??

4年制の養成校でしたが、2、3年生くらいまでは素直じゃない学生でした。勉強に対してもあまりやる気がなかったんですが、4年生になって変わりました。

 

というのも臨床実習や国家試験を目の前にした時に切羽詰まったことがきっかけです。それまでは本当に遊んだりバイトばかりしていましたね。ちょっと問題児だったと思います。

精神科の作業療法

 

ーーー最初はどちらの病院に勤めたんですか?

 

金沢市内の桜ヶ丘病院という500床の精神科病院です。臨床実習でお世話になったのがきっかけで就職しました。

 

どの分野に進むかすごく迷っていましたが、臨床実習で私の恩師に出会い、「この先生の下で働きたい!」と思ったのがきっかけで桜ヶ丘病院に就職することができました。

 

しかし、恩師の下では直接働けない3年間を過ごしました。作業療法室に配属されず、社会復帰部という部署に配属されました。精神科作業療法がしたくて入職したのに、いきなり社会復帰部に配属となり、いわゆるデイケア、デイナイトケア、グループホームなどに通所する方々の支援をしてきました。

 

ですが、3年間の経験が今でも結構生かされています。今こうして就労支援の道に進んでいるのもその3年間の経験があったからだと思います。

 

最近は、精神科デイケアの役割は薄れてきた気がしています。でもその当時はすごく大事でした。デイケアでは入院から在宅へと移行するためのADL評価をし、この人に本当に何が必要なのか考えて、プログラムを立てていました。

 

集団プログラムや調理実習などのプログラムはよく考えていましたね。その人の生活スタイルを把握し、どのような課題がありどのような工夫が必要なのかを考えるのが好きでした。

 

私が働き始めた頃から、日本の精神科医療も少しずつ変化し始めた時期でした。 日本の精神科医療は入院中心の医療から地域や在宅中心へとシフト変換している時期でした。

 

実は日本の精神科病院数が世界で一番多いんです。世界の約5分の1が日本の精神科病院なんです。イタリアは精神科病院はないですからね。0(ゼロ)なんです。

 

過去にはイタリアも精神科病院は存在しました。しかし、地域の中で様々な支援を用いて生活することが重要であり、脱精神科を掲げて今では1つもないんですね。日本の精神科医療も、1人でも多くの方が入院せずとも地域で支援を受けることができるよう、もっともっと様々なサービスを充実させていく必要があります。

 

私がOTになった2002年、全国に社会的入院と呼ばれる精神障がい者が7万2千人いると発表されました。その2年後の2004年には、7万2千人を10年間かけて病院から地域へ移行させると国は発表しました。

 

しかし、私的には具体的なイメージは全くできず、そのうち社会復帰という考えが高まってくるんだろうなというくらいにしか考えることができませんでした。

 

ーーー精神科の作業療法ってどんなことをするんですか?

 

いろんな支援や方法があると思います。学校で学ぶことはほんの一部であり、恩師の先生からはたくさんのことを学びながら真似しました。

 

基本的にはその人の背景(どのような人生を歩んできたか?関心・興味があるのか?)を掘り下げていきます。そこにヒントが隠されていることがあります。どうしても精神疾患を患うと、妄想や幻聴などの非現実的な世界に入ってしまうので。

 

そういった世界に浸かってしまうのではなく、現実的なところに目を向ける時間を作る手助けをします。その時間を徐々に徐々に増やしていくんですね。

 

その人の興味のないことは基本的にはやらないので、興味のあることを捉えることが大事です。そして、その人がこれから先どうなりたいのか、どうしたいのか、そのために今何ができるのか、を共に考えていきます。

 

家が農家をしている人、体を動かすことが好きな人、料理を作ることが好きな人、それぞれの背景を捉えながら、その人が心地よく現実世界に目を向けることができる時間を取り入れていきます。

 

その中で、自信の回復、自己愛の向上、コミュニケーション能力の向上体力など、成功体験を積み重ねていくことが精神科作業療法の基盤だと考えます。

 

【目次】

第一回 精神科作業療法の基盤

 

藤島 健一先生の経歴

資格:作業療法士・認定作業療法士

所属:訪問看護・リハビリステーション「リハス」

就労支援部 サービス管理責任者

(株)クリエイターズ 取締役

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第207回 農業と障がい者の就労支援(株)クリエイターズ 取締役 藤島健一先生