【加藤太郎先生 | 理学療法士】東日本大震災とその後のリハビリ -文京学院大学-

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「3.11」

 

ーー DMAT講習会のタスク(インストラクター見習い)として活動をしていたお話を伺いましたが、東日本大震災で、DMATとして派遣されたとお聞きしました。

 

加藤 3月11日、東日本大震災当日は病院に出勤していたので、地震が起きたときは、普通にリハ室で患者さんをみていました。私が勤めていた病院は東京ですが、それでもかなり揺れて、自分と患者さんの安全を守るために動きました。揺れが収まったらまず患者さん全員のバイタルを測り、安静を保ってもらいました。

 

発災して20分後くらいに、DMAT待機連絡のメールが届きました。夕方には、全国でDMATが一斉に立ち上がり、私もリハ室内が落ち着いた頃に本部での活動を開始しました。

 

そこでは全国のDMATや関係各所との連絡や調整など、様々のことを行いました。報道で気仙沼が町全体で火災しているところを本部のテレビで見たときは愕然としましたね。「これは夢か」と思いました。活動詳細をお伝えしたい気持ちはありますが、私個人のことではないので控えさせていただきます。

 

 

ーー 現地にはいつ行かれたんですか?

 

 

加藤 12日に一度家に帰り、その後、14日の午前7時くらいにDMAT本部から電話が来ました。東京の公共交通機関もまだまともに動いていなくて、回り道をしながら病院に向かっている朝の電車のなかでのことです。「宮城県活動本部の業務調整員として、ドクターヘリに乗って現地に向かうように」という連絡でした。

 

当然、何が起きるかもわからない状況のなか、第3次調査班として宮城県に向かいました。ドクターヘリで宮城県の現地に着いて、まず宮城県庁で現地ニーズや状況把握、活動方針の話し合いがありました。宮城県の拠点病院になっていた仙台医療センターでの指揮命令系統、活動本部の業務調整員として活動しました。

 

現地ではほんとに様々なことをして48時間活動しミッションが終了しました。48時間後の16日夕方にマイクロバスで帰り、17日の夜中2時頃に東京へ戻ってきました。それから東北地方にしばらく行けない時期がありました。それほどの出来事でした。

 

ーー 理学療法士として、災害急性期で何ができると思いますか?

 

加藤 私は東日本大震災にDMATとして派遣されたので、「生死」に関わる活動をしましたが、理学療法士の視点では関わっていません。DMATの役割は「命を救う」ということにあります。ただ災害急性期の場で「理学療法士」として「なにかやれ」と言われたら、自分たちはなにもできないな、というのが正直な気持ちです。

 

東日本大震災後、JRATが始動

 

ー 熊本地震のときには、JRAT(Japan Rehabilitation Assistance Team:大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会)が活動していたことを聞きました。

 

加藤 東日本大震災の後、災害亜急性期~慢性期の医療活動、つまり避難所や仮設住宅のリハビリや支援に関して課題が上がりました。

 

覚えていますか?3.11のときに、日本理学療法士協会も当時ボランティア募集をして、協会主導で理学療法士をボランティア派遣しました。その関係もあって、復興特区における「訪問リハビリ単独事業(訪問リハビリステーション)」が岩手県・宮城県・福島県に誕生しました。

 

災害急性期、すなわち地震が起きた直後の医療活動はDMATが中心に活動しますが、この災害亜急性期~慢性期の医療活動に関わる団体としてJRATができました。

 

平成27年7月に内閣府から出された災害救助事務取扱要領に、災害医療においてリハビリテーション専門職を含めた「保健医療専門職等のスタッフを加えて、被災地の医療や保健の需要に踏まえた構成」とすることが記載されました。

 

災害医療にリハビリテーション専門職が入ることが認められた、とても大きな一歩でした。

 

この要領もあり、各県、各県士会(理学療法士会、作業療法士会、言語聴覚士会)に「大規模災害に対応できるリハビリテーション体制の構築を推進すること」が求められました。そこで、私が所属する埼玉県理学療法士会では、私が災害対策委員会の立ち上げ、委員長を拝命しました。災害リハビリテーションに関する研修会開催と、災害対策マニュアル作成の二本柱で動き始めました。

 

「委員も集まり、さぁやるぞ」といった矢先に、熊本県で地震が起きたんです。県士会に委員会だけはあるという時期で、マニュアルはまだない時でした。

 

4月14日の余震、16日の本震に伴う避難所のリハビリや支援に多くのリハビリテーション専門職が熊本に行きました。私も医師1名、理学療法士2名、作業療法士1名の構成で5月20日から25日まで6日間、熊本県に派遣されました。

 

【目次】

第1回:救命救急、心肺蘇生、災害医療に関わる理学療法士

第2回:3.11 東日本大震災とその後の対応

第3回:熊本地震で浮き彫りになった課題と自立支援

 

加藤 太郎 先生紹介

理学療法士 (文京学院大学)

<専門分野> 
・急性期理学療法(急性期における人工呼吸器管理下患者に対する理学療法を中心に) 
・運動器疾患の理学療法 
・呼吸器疾患の理学療法 
・蘇生教育,心肺蘇生法 

【著書】
・88の知が生み出す臨床技術 ブラッシュアップ理学療法(共著,三輪書店,pp114-117.(2012.6))
・ヤンダアプローチ-マッスルインバランスに対する評価と治療-(共著,共同翻訳,三輪書店,担当分(「第1章:マッスルインバランスに対する構造的アプローチと機能的アプローチ」,「第2章:感覚運動システム」 pp1-27.(2013.3))

【論文】
■原著
・呼吸運動時の胸部と腹部の皮膚挙動特性(理学療法科学,28(2):279-283(2013.4)


■調査・報告
・理学療法士における心肺蘇生に関する意識調査-認識度・学習意欲-(日本臨床救急医学会雑誌,16(2):95-98(2013.4)

■総説 
・急性期理学療法のリスク管理-一歩進んだ循環動態評価と臨床応用-(The Journal of Clinical Physical Therapy,13:67-70(2010.12) 
・急性期理学療法のリスク管理 その2-一歩進んだ循環動態評価と臨床応用-(The Journal of Clinical Physical Therapy,14:87-91(2012.10) 
・急性期理学療法のリスク管理 その3-一歩進んだ循環動態評価と臨床応用-(The Journal of Clinical Physical Therapy,15:49-53(2013.4) 

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