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【大内みふか先生|理学療法士】尿失禁は女性だけの問題ではない

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ウィメンズ・メンズヘルス理学療法

ーー 現在、先生はウィメンズヘルス分野の活動をされていると思います。具体的にどのような活動をされているのかを教えてください。

 

大内先生 現在私は、教員(北海道医療大学)の仕事をしながら、北海道にある大学院の博士課程に所属しています。専攻は、泌尿器科に所属させていただき、主に尿失禁についての研究を行なっています。

 

泌尿器科では、私以外全て医師という環境で学んでいます。ウィメンズヘルス分野とよく呼ばれますが、実際には「ウィメンズ・メンズヘルス」だと思っています。

 

男性の前立腺癌術後の尿漏れ・尿失禁になってしまう方も対象となります。女性のみならず、男性に対する骨盤底筋体操の研究を行っています。

 

ーー 具体的な介入方法を教えていただけますでしょうか?

 

大内先生 前立腺癌術後の尿失禁が起きる主な原因として、骨盤底筋群の中の小さな筋や神経が手術により機能低下を起こすことがあります。そういった問題に対し、筋力トレーニングである骨盤底筋群の体操を行います。

 

骨盤底筋体操では、外尿道括約筋や肛門挙筋が骨格筋であることから、随意的に収縮させることで、筋機能の回復を図ります 。

 

女性患者に対する骨盤底筋体操の論文によると、骨盤底筋体操によって、筋ボリュームが大きくなり、筋力が向上するという結果が出ています。男性に対する骨盤底筋体操の報告はまだ少なく、現在では前立腺癌術後の方を中心に、実施しています。

 

尿失禁は女性だけではなく、男女共通の問題として取り組むべき問題だと思っています。

 

 

贅沢な日々

ーー 少し話が前後しますが、理学療法士(以下、PT)になりたいと思ったきっかけを教えてください。

 

大内先生 高校生の頃、野球部のマネージャーをしており、部員の怪我をきっかけに、リハビの話を聞く機会がありました。その頃は、専門的な話が多く「そんな仕事もあるんだな」と思っていました。それから、親からPTなど様々な職業の仕事内容が書かれた本を買ってもらい、色々調べていく中で、PTへの気持ちが強くなっていったのだと思います。

 

ーー それから、札幌市内の養成校へ進学されたと思いますが、学生生活の中で、苦労したことはありますか?

 

大内先生 養成校では1期生で、校舎が綺麗でのびのびと勉強させていただきました。教員の方々も、親身になってくれていたことが、のびのびと学べた理由だと思います。

 

今になって振り返ってみると、教員の先生から、とても熱心に接していただきましたし、とても贅沢な日々だったと思います。学生の頃は、そのありがたみには気づきませんでしたね(笑)今自分自身が教員になって、しみじみと感じられるようになりました。

 

ーー 実習について、今振り返ってみてどんな思い出がありますか?

 

大内先生 5週間の評価実習では旭川の病院に行かせていただきました。初めての実習に加えて、初めてのプチ一人暮らしだったこともあり、とても楽しかったことを覚えています。バイザーの先生方もとても親身に指導してくださり、学びやすい環境を整えてくださったこともあり、とても楽しかったです。

 

 最近、当時バイザーだった先生とたまたま、ご連絡する機会がありました。10年以上も経っている今でも私の事を覚えていてくれて、とても嬉しかったですね。

 

寝ないで勉強することもありましたけれど、本当に楽しかったです。担当させていただいた患者さんもとてもいい方で今でも名前を覚えていますが、実習を通して、やりがいある楽しい仕事だなと改めて感じることができました。

 

実際の現場である臨床実習は、今までの知識と目の前で起こっている現実とをリンクさせる作業が大変でしたが、一つずつ現象から教科書に戻って確認する作業は、とても楽しかったですね。

 

あとは、同級生と励ましあいながら、みんなで頑張っていましたね(笑)。同級生にも恵まれ、楽しかった事のほうが多かったと記憶しています。

 

理学療法の勉強をする中で、勉強が楽しいと思ったのは初めてでした。高校では「何のために勉強しているのか」「勉強して何につながるのか」全く見えていませんでしたが、解剖学や運動学など、専門知識の勉強をする事がとても楽しく思えるようになりました。

 

ここでの出会いや経験が、私の人生にとって、ターニングポイントだったように思います。させられる勉強からする勉強にシフトしたのもこの時期です。

 

初めての職場で学んだこと

ーー 社会人となり、初めての就職先はどんなところでしたか?

 

大内先生 新卒で入職したのは、札幌市西区の整形外科病院でした。こちらは学生時代の長期臨床実習で行かせていただいた所で、ご縁あって勤めさせていただきました。

 

職場はとても楽しく、仕事以外でも同期や先輩たちとで、よく飲みにも行きましたし、スノーボードなどでも楽しみました。そこでの上司には、“理学療法士としての基礎”を教えていただいたと思います。

 

患者さんが楽しく明るく過ごしていただくために、私たちが出来るだけの事をするというスタンスは当時の教えがあってこそ身についたことだと思います。

 

就職して自分自身がプラスに変わったことは、今まで自己満足・自己完結で終わっていたことが、実は自分以外の誰かにもつながる仕事だと気付き、外に向けて発信することを意識するようになりました。

 

また「医師との関係を大切にする」ということも、この頃に教えていただきました。病院の中で働く上で、日本の医療制度上、病院では医師がいて私たち理学療法士が働くことができます。

 

関係を築くためには、まず自分自身が、「医師がどんな勉強をしているのか?」、「どのような評価・治療をしているのか?」を理解し、歩み寄ることが大切だと気づきました。

 

ネガティブな面に対しての向き合い方も、ここで学ぶことができましたね。私は体格が小さいく、体格が大きい方のリハビリには、限界があると感じました。

 

患者さんの中には、180cmほどの身長があり、脊損の方のトランスファーは、私一人の力では限界があり、他のスタッフに協力してもらっていました。ここで初めて「私一人ではできない事もある」ということに気付けました。

 

「もし私の体格がもう少し大きかったら」と、考えるより自分が出来る事と出来ない事の線引きをすることの方が重要だと思います。「なんでも出来る」と思いこんで、それが相手のメリットに必ずしもなるとは限りませんよね。

 

「患者さんのために出来る事」を考えるようになりました。

 

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