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妊婦さんが快適に眠れるために

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妊娠後期になると胎児が大きくなるため、内臓や横隔膜を圧迫し始めます。座っていても寝ていても息苦しく、また歩いても呼吸が苦しくなり、歩き続けることが困難な場合があります。

胃や腸も圧迫されるため、食欲減退にもつながります。これらを「出産間近だから仕方がない」と諦めている方も多いと思いますが、実は快適に眠れるように、快適に歩けるように、いろいろな対策があります。

 

(1)腹腔の容積を広げる→胎児と横隔膜の距離を拡大します

 腹筋の中で一番深い位置にあるのが腹横筋。この腹横筋を長くすると腹腔の容積が拡大します。具体的には、腹部では腹直筋を内腹斜筋に対して内側にめくるようにリリースし、背部では腸肋筋を腹横筋腱膜から内側にめくるようにリリースします。その結果、脊柱起立筋と腰方形筋に挟まれていた腹横筋腱膜が外側に移動可能となり、腹腔の容積を拡大することになります。

 

 妊婦さんに対してこのリリースを行ったところ、腹部の緊張が弛み、腹部のどこを触っても柔らかい状態になりました。胎児の頭や肘が体表からわかるくらいにゆとりが出て、横隔膜が上下に大きく動くようになりました。

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(2)みぞおち、脇腹の肋骨の動きを拡大する→横隔膜を動かします

 上記の腹直筋のリリースで、腹直筋の外側縁から肋骨弓までの距離を拡大することができます。また、みぞおち部分には肋骨を挟むように、浅層には外腹斜筋、深層には腹横筋があります。これらを丁寧に肋骨から剥がすようにリリースするとみぞおち部分の肋骨の可動性が大きく改善されます。

 

 一方、側面では、骨盤から脇腹を通って上腕骨に向かう広背筋があります。これは、特に妊娠後期に入って横向きに寝る時間が長くなるに連れて、体幹の側面で外腹斜筋や肋骨上の前鋸筋に癒着します。広背筋は骨盤と肋骨にまたがるため、癒着によって肋骨の上方への動きを制限します。これを腹横筋や肋骨からリリースすることで、脇腹の部分における肋骨の動きが大きく拡大し、呼吸に必要な可動域を獲得させることができます。

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(3)胸の上部の肋骨の動きを拡大する→肺の上部に空気を入れます

 妊娠前から円背姿勢があった場合には、胸の前から肩に向かう大胸筋が深部にある小胸筋や腕にある上腕二頭筋に癒着している場合があります。これによって肩は前に引かれ、猫背の状態になってしまいます。猫背になると、肋骨上部が動きにくくなり、肺の上部に空気が入りにくい状態となってしまいます。

 

 これに対して、大胸筋を丁寧にリリースし、胸を張った姿勢を制限しないような大胸筋に変えていきます。大胸筋がリリースされると、同時に小胸筋も弛むため、肩甲骨の位置改善するとともに上位胸郭の可動性が改善します。これにより、呼吸に必要な肺の動きを拡張することができます。

 

 

(4)肋骨の変形を修正して、動きやすい肋骨を作ります 

 肋骨と肋骨の間には肋間筋という筋肉があり、これに皮膚が癒着している場合があります。胸の下あたりでこのような癒着が起こると、第10肋骨が体の前に向かって突き出しているような変形が起こります。仰向けになると、この肋骨の変形によって、胸骨よりも第10肋骨が高い位置となり、下位胸郭は極端な挙上位となってしまいます。その結果、腰が反り、背臥位が苦しくなります。

 

 これに対しては肋間筋をこするようにして皮下組織をリリースし、皮膚による肋骨の運動の制限を取り除きます。  

 

まとめ

 以上のテクニックは全て一般的な腰痛や肩関節の治療として胸郭に使うものですが、全く同じ技術を妊娠後期の女性においては仰向けの姿勢を快適にすることに役立てることができます。CSPT胸郭編で実技の講習を行っていますので、ご興味のあるかたはCSPT2018大阪会場の胸郭編をチェックしてみてください。 

 

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■ 筆者・セミナーご紹介

筆者:蒲田和芳

・広島国際大学総合リハビリテーション学部 リハビリテーション学科 教授

・株式会社GLAB(ジーラボ) 代表取締役

・一般社団法人日本健康予防医学会 副理事長

・株式会社リベラシオン 代表取締役

 

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