Basic Body Awareness Therapy(BBAT)とは?

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BBAMでは、世界13ヶ国(ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、オーストリア、スペイン、トルコ、エストニア、ブラジル、メキシコ、カナダ、シンガポール、中国、日本)から精神科領域に従事している理学療法士が集まり、クラスメイトになりました。

 

クラスメイトは全員理学療法士なのですが、大学教員や研究者、自身でクリニック経営を経営している方など、それぞれのバックグラウンドが異なる多様性のあるクラスでした。しかし、クラスメイトは全員「精神疾患に対する理学療法を学びたい」という共通した強い思いがあり、私達はすぐに打ち解けることができました。

 

世界各国から集まったBBAMのクラスメイト

 

BBAMでは2年間パートタイム学生として在籍し、単位を取得していきます。実際に大学へ訪れるのは、1年目の4週間、2年目の4週間、2年目の終わりに3週間の合計3回です。ノルウェー滞在中は講義と実習に取り組み、課題のレポートが設けられます。また帰国後にも課題はあり、毎月レポートをオンラインで提出します。5人程度で取り組むグループワークも頻繁にあるため、時差があるなかクラスメイトと日程を調整し、Skypeでのミーティングを重ねて課題に取り組みました。

 

当時、日本の大学院にも在籍していたため、両方の大学でのレポートが重なったときは非常に苦労したことをいまでも覚えています。日本にいるときの課題には百数十の文献抄読と数千ワードのレポート(英語)提出が含まれていたため、英語の読み書きはそちらで鍛えられました。それまで英語での書類作成に慣れていなかったため、当時は数ページのレポートに十数時間以上かかっていたと思います。

 

日本にいる間のレポート提出で合格が認められると、再びノルウェーでの講義が始まります。講義では、Bergen University Collegeの先生に加えて、IOPTMHの会長や理事の先生が各国から集まり、持ち回りで講義を行っていただきました。BBAMではBBATはもちろん、世界各国における精神科医療の理学療法を幅広く学ぶことができ、非常に充実したコースとなっていました。

 

一緒に課題に取り組んだグループ

 

BBATはフランスの運動教育者であり、心理療法士であったJacques Dropsyによって開発されました。1970年代後期にはスウェーデンの理学療法士であるRoxendalが、理学療法のアプローチとして導入しました。

 

BBATはノルウェーにも導入され、the International Association of Teachers in Basic Body Awareness Therapy (IATBBAT)によって、現在も教育と研究が進められています。北欧諸国を中心に取り入れられていたBBATですが、現在では北米や南米、アジアにおいても取り入れられており、国際的な関心が高まっています。BBATは日常生活の動きにおけるMovement Quality(動きの質)を促進させるための理学療法アプローチです。

 

みなさんも重要な面接やプレゼンテーションの際、不自然な姿勢や動きになってしまうことがありませんか。新入社員や新入生をみていると、動きが「かたく」なっていると思ったことはありませんか。たとえ筋力や関節可動域が正常であったとしても、精神状態が不安定であれば、ヒトは「機能的な動き」を発揮することができなくなってしまいます。精神疾患や慢性疼痛を患っている方の多くは、精神的な変調により「機能的でない動き」となり、日常生活での活動制限や症状が慢性化へと発展する可能性があります。

 

BBATは「機能的でない動き」を「機能的な動き」へと促進し、日常生活での活動制限や症状の慢性化を予防し、治療します。精神疾患に対する理学療法というと、心理療法に近いものをイメージされる方もいらっしゃいますが、BBATはあくまでもヒトの「動き」に着目したアプローチです。

 

ヒトの基本的な「動き」を質および量の双方の観点から評価し、介入する方法論を体系化したBBATは、精神科領域はもちろん理学療法士が関わる様々な領域で応用可能なアプローチだと思います。日本でもBBAT研修会が開催されていますので、興味のある方は以下のURLをチェックしてみてください(https://www.yamamotolaboratory.com/workshops)。

 

日本でのBBAT研修会

 

BBAT等の手技を含めた精神疾患に対する理学療法(運動療法)は、欧州において比較的盛んですが、世界的には非常にマイナーな分野です。IOPTMHの加入国は20ヶ国にのぼりますが、すべての加入国で精神疾患に対する理学療法が十分に取り入れられているわけではありません。たとえば日本もIOPTMHの加入国ですが、精神疾患に対する理学療法で診療報酬が発生するわけではありません。

 

欧州の友人ともその件について議論したとき、精神疾患に対する身体的介入という文化的背景に乏しく、養成校での教育課程が不十分だからではないかという結論に至りました。臨床研究によるエビデンスの構築はもちろんですが、認知拡大への動きも必要になるのではないかと感じています。

 

WCPTが2018年9月8日の世界理学療法の日に「理学療法と理学療法士がどのようにメンタルヘルスとウェルビーイングを促進できるか」というテーマで、動画を公開しています(https://www.youtube.com/watch?v=XuTgMiERi5I)。

 

こちらの動画では、身体疾患に合併しやすいうつ病の疫学に加えて、うつ病に対する理学療法士の役割と効果がわかりやすく解説されています。精神科領域に興味のある理学療法士の方はぜひご覧ください。

 

第一回:精神科領域における理学療法の可能性を求めて|北欧での学びと経験

第二回:Basic Body Awareness Therapy(BBAT)とは?

第三回:精神科領域のリハビリテーションを学ぶためデンマークへ

 

石原裕輝さんプロフィール

【学歴】

2011-2015 神戸学院大学総合リハビリテーションテーション学科理学療法学専攻

2015-2017 広島大学大学院医歯薬保健学研究科保健学専攻博士課程前期(修士:保健学)

2015-2017 Bergen University College Basic Body Awareness Methodology(認定BBATセラピスト)

2017-    広島大学大学院医歯薬保健学研究科保健学専攻博士課程後期

【職歴】

2015- 株式会社 アールプラス

2015- 医療法人社団 加川整形外科病院

2017- 広島大学大学院医歯薬保健学研究科 クォリファイド・ティーチング・アシスタント

2018- 医療法人社団 福原リハビリテーション整形外科・内科医院

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