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脳卒中の損傷拡大抑制 脳内の水の動きが鍵|理研

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理化学研究所 脳神経科学研究センター 神経グリア回路研究チームの岩井 陽一らは、マウスを用いた研究から、脳内のカリウムイオンK+の排出(クリアランス)機構を促進することによって、虚血後の脳損傷を軽減する仕組みを解明した。

▶︎ クリアランスによる脳卒中後の損傷拡大の抑制-脳内の水の動きが鍵-

 

脳卒中や外傷性脳損傷などの脳血管障害では、多くの場合、障害発生部位だけでなく健康な部位にまで損傷が拡大する。損傷拡大には、脳血管障害の最初期(超急性期)に繰り返し生じる異常な神経 興奮の波の伝播(拡延性脱分極)が関与しており、拡延性脱分極の発生には、主に脳内のカリウムイオン(K+)濃度の急上昇が引き金となる。また脳脊髄液は、ナトリウムイオン(Na+)や K+をはじめとするさまざまなイオンが含まれており、健常状態にある脳では各イオン濃度は一定に保たれている。

 

脳脊髄液の動態に、神経伝達物質のノルアドレナリンが関与している可能性があり、これまでノルアドレナリンの受容体を阻害することによって、脳脊髄液の浸潤が促進されることが報告されてている。さらに脳梗塞の直後、脳のノルアドレナリン濃度が急激に増加することが知られている。そこで今回、研究グループは、アドレナリン受容体を阻害することで、脳脊髄液の浸潤を促進し、脳梗塞後の細胞外K+濃度の正常化を図れると予想した。

 

脳内の水の動きを調べた結果、 アドレナリン受容体の阻害によって、「アクアポリン 4」と呼ばれる水分子の透過を担う膜タンパク質のアストロサイトにおける局在が確保され、K+濃度の正常化が促進されることを見いだした。

 

本研究は、5月13日付けで、米国の科学雑誌『Proceedings of the National Academy of Sciences』のオンライン版に掲載されている。

脳卒中の損傷拡大抑制 脳内の水の動きが鍵|理研

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