運動が自閉症様行動と脳内シナプス密度を改善する|東京大

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自閉症は社会性障害やコミュニケーション障害が特徴であり、近年、社会問題として取り上げられる事も増えた。しかし、その主な症状との発症メカニズムは十分には解明されておらず、根本的な治療法も確立されていない。

今回、東京大学大学院薬学系研究科の小山隆太准教授と安藤めぐみ大学院生らの研究グループは、 自閉症モデルマウスを用いて、自閉症の治療における運動の有効性を示した。

▶︎ 運動が自閉症様行動とシナプス変性を改善する

 

自閉症のリスク要因の一つに、妊娠中のウィルス感染があり、本研究では、母体免疫活性化による自閉症モデルマウスを用いた。まず、成体期になった自閉症モデルマウスの飼育ケージに回し車を入れ、1か月間、自発的な車輪運動をさせた。その後、行動試験を行ったところ、社会性障害や常同行動などの自閉症様行動が改善された。また、自発的な運動が自閉症モデルマウスにおける自閉症様行動と、脳内シナプス密度の増加を改善させることを発見。自閉症モデルマウスでは脳内免疫細胞であるマイクログリアによるシナプス貪食が不全となっており、運動がシナプス貪食を促進させ、シナプス密度を正常化することを明らかにした。

 

研究グループは、「運動が自閉症における行動やシナプス変性を正常化するメカニズムの発見は、自閉症の治療法としての運動が有効である可能性を支持します。母体免疫活性化により引き起こされるマイクログリアの変異とその脳機能への影響についてさらなる検証を進めています。」と述べている。

 

本研究は、6月4日付けで「Cell Reports」のオンライン版に掲載されている。

運動が自閉症様行動と脳内シナプス密度を改善する|東京大

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