認知症大綱の数値目標取り下げ 共生と予防へ舵きり

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今月4日、根本匠厚生労働相は記者会見にて、政府が現在策定中の「認知症施策推進大綱」に盛り込む予定だった「70歳代での発症を10年間で1歳遅らせる」というKPIや目標を取り下げる考えを示した。 ▶︎ https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00125.html

 

今年中の策定に向けて動いている認知症基本法案。今年の5月16日には、認知症有識者会議にて、「70歳代での認知症発症を今後10年間で1歳遅らせる」「2024年には、70-74歳の認知症有病率を現在の3.6%から3.4%に、また75-79歳では同じく10.4%から9.8%にまで低下させる」という目標案が提示されていた。

 

一方で、認知症当事者から「頑張って予防に取り組んでいながら認知症になった人が落第者になって自信をなくしてしまう」などの批判的な意見も上がった。今回の取り下げはそれを受けての結果となった。

 

根本厚労大臣は会見にて「認知症の予防の取組みを進めるにあたっては、認知症になっている人の尊厳を守り、認知症の人とそうでない人とが同じ社会でともに生きるという「共生」の基盤の上で進めることが大前提であります。また、予防についても、認知症は老化にともなって誰もがなり得るものであり、運動不足、生活習慣病、社会的孤立などの危険因子を避けることによって、認知症になることを遅 らせること等ができることから、認知症の予防の定義として、今回の大綱案において、認知症にならないという意味ではなくて、認知症になるのを遅らせる、認知症になっても進行を緩やかにするという意味であることを明記しました。」と述べている。

 

認知症施策推進大綱は15年に定めた認知症の国家戦略「新オレンジプラン」の後継で19~25年の6年間が対象となる。今後は、「対策」するのではなく「共生」と「予防」がキーになりそうだ。PTOTSTも高齢者と関わる事が多い職業なだけに、リハビリテーションの目標・アプローチの方向性を考え直す必要があるのではないか。

 

認知症大綱の数値目標取り下げ 共生と予防へ舵きり

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