1980年「ロボット普及元年」から40年
日本において「ロボット普及元年」と呼ばれ始めたのは1980年のことです。それから40年、リハ業界におけるロボット元年を象徴するかのように、2020年4月1日より運動量増加機器加算(発症日から1ヶ月1回を限度に150点算定可能)が取れるようになりました。
これは、当該機器を用いて行った場合のみではありますが、リハビリロボット普及の大きな一歩となります。この普及により、一部の療法士の中には「自分の仕事が侵される」と不安に思う方もいらっしゃると思います。
ここではっきりとは断言できませんが、リハビリロボット普及によって一部の仕事は当然我々療法士の手を離れることになると思います。ただし、それは療法士の手を必要としないだけであり、"全ての業務がロボットに置き換わる"ということではありません。
かつて電車に乗るときは、切符を切る駅員さんがいましたが、今ではごく少数となりました。今では、自動改札が当たり前になり、人々が適応していったように、リハビリロボットにおいてもそうであると考えます。
そこで今回は、リハビリロボットを活用するメリットについて「療法士が受ける恩恵」「経営者が受ける恩恵」の2つに分けて考えてみたいと思います。
そもそもリハビリロボットにはどんな利点があるの?
適切な課題設定
ロボットの便利なところは、一定の動きを継続して行える点にあります。さらに言えば負荷量も一定に保つことができるため、定めた動きを再現するという点で、人の手よりも精度が高いといえます。
当然リハビリにおいては、一定で単調な動きだけで良いわけではありませんが、回復過程においては運動量も必要となります。運動量において、一定の動きを同じ負荷でかつ、別の刺激を同時に行える点はリハビリロボットのメリットです。
孫の手も借りたい忙しいリハビリ場面において、療法士の腕が2本が3本、3本が4本にでもなるのがリハビリロボットです。
定量的なアウトカム
上記のように、一定の動きを同じ負荷で長時間行えるのが、ロボットのメリットだっとことに加えて、データ蓄積が可能になります。“療法士の手”を数値化することは難しいですが、ロボットは数値化可能です。
これにより、運動効果を視覚的に捉えることができ、その情報を患者さんと共有することができます。そして、そのデータを蓄積することが可能になります。
一方、デメリットはコストです。この点に関しては、「経営者が受ける恩恵」の部分で少し触れてみたいと思います。
療法士が受ける恩恵
リハビリロボットのメリットがわかったところで、「そもそも療法士にメリットあるの?」という点に関して考えてみましょう。ざっとまとめると、以下のようなメリットがピックアップできます。
1,身体的負担の軽減
2,プログラムの明確化
3,先端的なリハビリロボットを過渡期のうちに経験できる
1つ目の身体的負担は説明するまでもありません。長い時間、患者さんに対応している療法士の身体的負荷の軽減は、療法士が感じる以上に重要な課題です。“療法士の仕事はカラダが資本である”ということです。
2つ目のプログラムの明確化は、「数値化が可能」という点でもお伝えしたお通りですが、自分が患者さんに対して行ったことの成果が数値として明確になるのは、メリットであるといえます。
3つ目のメリットは、若干飛躍していますし、リハビリロボットが普及すればするほどメリットは薄まりますが、新しいものに取り組む姿勢は、先行者有益につながります。“この分野の先駆者になりたい”と思った方は、以下に説明する「経営者が受ける恩恵」という視点で、ぜひ所属組織に提案書を提出してみてください。
経営者が受ける恩恵
本来職員全員が考えなければいけない視点である、経営者目線でのメリットを考えてみましょう。こちらは、初めの部分で触れたように、運動量増加機器加算による収益増が見込めます。
単純な計算をすると…
100例(脳血管疾患)×150点加算=15,000点
↓
15,000点×10円=15万円/月↑(180万円/年)
となります。また、これは加算ですので、脳血管疾患等リハビリテーション料(I)(1単位) 245点、脳血管疾患等リハビリテーション料(II)(1単位) 200点が基本単位として加わります。*脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅲ)は加算がつきません。
ただしここで理解しなければいけないのは、加算が取れるからといって、給料に直結するものではありません。理由は当たり前ですが、リハビリロボットの設備投資費がかかるからです。
常に考えておきたいのが、投資に対しての回収をどのくらいで完了できるのか?という視点は、全職員が持つべき視点でしょう。細かくいえば、減価償却等も考え、設備投資を行うものですが、今回は話が長くなるので、ここまでの理解で十分です。
*組織内で提案したいと考えるのであれば、減価償却等の理解は必須です。投資したロボットが稼働の何ヶ月目から利益になるのか、この辺りは最低でも提案書に盛り込んでおきたいところです。
そのほかのメリットを考えてみると…
・セラピスト間の介入のばらつきを是正
・先端的取り組みとしての広報力UP
・ヒヤリハットの低減、就業中の事故の回避
というようなメリットが考えられるかと思います。広報力アップに関しては、少し飛躍しているかなとも思いますし、医療広告ガイドラインに沿った広報は必須ですが、一部としては得られるメリットです。
また療法士にとって、メリットであり怖い部分でもありますが「セラピスト間の介入差の是正」もリハビリロボット導入ならではでしょう。
医療を一つのサービスとして考えてみると、そのサービスの質が一定であることは重要です。これは、医療に限らず皆さんが日頃から受けているサービスにおいても、納得できる点かと思います。
ヒヤリハットに関しては、ロボットによる事故が全くないわけではないと思いますが、軽減には繋がるでしょう。
それでは最後に、運動量増加機器加算が算定できる医療機器をご紹介しましょう。
そもそも加算が取れる当該医療機器って何?
「あなたは医療従事者ですか?」
注意
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