PT×新規事業開発 ヘルスケア企業への転職は厳しい?【梶原侑馬】 

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臨床の知見、エビデンス、データ分析結果を有効活用

 

ー 梶原さんは以前ロボットスーツの会社にいるときにインタビューさせていただきましたが、その後、ヘルスケア/フィットネスアプリを運営するFiNCへ移り、今年、株式会社NTTデータ経営研究所に転職したそうですね。FiNCではどのような仕事をしていたのでしょうか?


 

梶原さん FiNCでは本当に貴重なたくさんの経験をさせていただきました。

 

例えばアプリ内で情報発信をする時に、編集者等が書いた記事が本当に正しいのかどうかのエビデンスチェックみたいなことだったり、先日POSTにも取り上げていただいたNECと共同開発したセンシングインソールの開発や、健保事業、健康経営のサーベイ分析、オンライン運動プログラムの設計、メンタルや睡眠関係の調査研究、あとはプッシュ通知の文言にも関わっていました。

 

運動を促すプッシュ通知をうつ際に、いつどのタイミングでどう言う言葉かけをするのには、臨床的な知見が必要だったりします。車の運転中に「運動しましょう」と運動動画を届けたって、誰もその場でやらないですよね。

 

言葉がけにしたって、タメ口口調がいいのか、敬語口調がいいのか、どう促すことでアプリを使用してもらえるのか、行動が変わるのか、実際のデータを見ながらTry&Errorを繰り返すみたいな感じですね。

 

役割としては、臨床の知見、エビデンス、データ分析結果を有効活用する感じです。アプリを開発するにも「どの課題を解決するのか」というのは、エンジニアよりも臨床現場を知っている理学療法士の方が、適切に捉えられます。

 

ー 臨床の課題をテクノロジーに落とし込むっていう考え方って、なかなか病院にいると身に付かないとは思いますが、梶原さんはその辺ってどういう風に磨いていったんですか?


 

梶原さん 私は臨床にいる時、いつも「この課題を解決するには、どんなテクノロジーが必要なのか」という視点を持ってやっていましたよ。例えば、腰痛をタイプ分けして、Aタイプだったらこういうソリューションを作るとか、パターン化しているからAIの〇〇ラーニングが使えるなとか、常に考えながら臨床をしていました。

 

事業開発チームに入っても、「そこはVRの技術じゃなくて、RPAでやった方が有効なんじゃないですか?」みたいな感じで、エンジニアや企画職といった色んな多職種のメンバーで相談しながら、開発を進めていきます。

 

ヘルスケア企業で働くにはどうすればいい?

 

ー ヘルスケア企業で働きたいという理学療法士も増えてきていますが、新卒から進むことに関して梶原さんの考え方を教えてください。

 

梶原さん 私は、臨床経験は積んでから行った方が有利になると思っています。

 

理学療法士は、経済学の勉強もしていなければ、経営学の勉強もしていませんし、ビジネスに触れ合う経験が極端に少ないですから、そこでどうしても他の候補者と差が出てしまうかなと思っています。理学療法士は昔と変化し現在では偏差値50ぐらいの人が大半ですよね。

 

京大や名大や北大等の旧帝大の理学療法学科出身の人等ならいけるかもしれませんが。もちろん学歴が全てではないですが、そこで得られるコミュニティーや経験値など、大きいとは思ってますし、少なくとも受験で勝ち抜いたのは事実なのでやり抜く力はあるなというような評価はあると思います。

 

有名企業に入ろうとしたら、地頭が良い人がたくさんいます。そこで単純に勝負するのは難しいんじゃないかと思いますし、少なくとも私にはできません。

 

それよりも、私は現場を知っていてテクノロジー(エンジニア等)との橋渡しができ統合解釈することができる、ユーザーの真のニーズ、UIUXがわかる、ビジネスマンがもっていない気づきをもっているなどというのを強みにして企業でずっと働いています。

 

あと盲点ですが、リハビリテーションのプロジェクト等において、病院などと連携するときに、同じ理学療法士、同じ臨床現場で働いていたという共通項、共感があると、導入部分やプロジェクトを進めていく上で他のビジネスマンと比べ信頼関係獲得に有利だったりします。そして、先ほども話した、最初の課題設定は事業の根幹となる重要なポイントなので、現場を知っている理学療法士が一番活躍できるのではないでしょうか。

 

「Why」と「So What」を意識する

 

梶原さん あとは、そもそも論として、私は臨床とビジネスってほとんど変わらないと思っています。

 

臨床で問題点を評価することは、ビジネスで言えば、どこが社会課題なのかをピンポイントで当てることです。その課題に対して、仮説を立ててPDCAを回していくのですが、臨床も同じですよね。

 

関節可動域や筋力、動作分析を確認して、効果がどうだったのかを確認する作業は、ビジネスであれば、購買数やユーザーの口コミ反応を確認するのと同じです。ビジネスであろうが臨床であろうが、真の課題を見つけて仮説検証作業をしながらより良くしていくという過程は、全て同じなんですよ。

 

「Why」の部分と「So What」の部分を常に意識しながら臨床をしていると、少なくともビジネスでは通用すると思いますし、就職面接の時もWin-Winな関係になれる説明ができるはずです。

 

会社としては、売上に対し個人の収入以上に貢献して事業を発展してくれて、良い関係を築け、新たな価値創造ができるのであれば、雇ってもらえると思うんですよ。少なくともメリットでしかないじゃないですか。

 

健康×テクノロジーみたいな所は、成長市場として間違いないと思うので、多くの企業で力を入れてきているところですし、チャンスだと思いますね。

 

ー PTって職務経歴書に書くような、いわゆる実績にあたる部分って作りにくいですよね。

 

梶原さん その上でWin-Winな関係が説明出来たとしても、あくまで夢物語じゃないのかって思われてしまわないためにも、実績を作っておくことは重要です。

 

PTであれば、産学官連携をする中で民間が求めているものを知るであったりとか、そういう所から触れていくっていうのが一番いいのかと思います。最近だったら株式会社を作る事もそんなに難しくはないので、一回スモールビジネスから始めて見るのも一つの手だとも思います。

 

口だけならなんとでも言えますが、本当に実現させる力があるのかっていうところを企業はちゃんと見ています。外的キャリアと内的キャリアの両方を高めておく必要があるかなと思いますね。

 

実際私にはこういう能力があってこの会社にこの部分で貢献できますと。こういう課題が解決できてこういう価値創造ができ、売上にこれくらい貢献できますと、しっかり説明がつけば良いと思います。

 

受動的ではなく能動的になにか提案してみるのも一つの手かなと思いますけどね。もちろん相手や環境のタイミング等を見ながらってのは大事です。

健康がクローズアップされた時代

 

ー IT関連のヘルスケア企業への新型コロナ感染症の影響はどうなのでしょうか?

 

梶原さん IT・通信業界は、コロナの影響で伸びる業界でありますし、「健康」というのがクローズアップされていますから追い風がきていると言えるのではないでしょうか。

 

持病がある人が、新型コロナに感染すると重症化しやすいと言われていますが、この持病というのには生活習慣病が含まれますので、理学療法の知見がかなり活きると思います。

 

かつ、新しいリハビリテーションのあり方というのを模索する、いいチャンスだとも思っています。

 

例えば、腰痛の方は現代でもいまだに増え続けている疾患です。ということは、これまで腰痛に関してたくさんの研究者が挑んできましたが、少なくとも正解はまだ出せていないと言えると思います。

 

腰痛を解決するには、既存のものではなく、新しい何か。それが、テクノロジーなのか、環境作りなのか政策なのかは分かりませんが、何かしらの新しい手段が必要なんだと思います。

 

コロナによる時代の変革期がきていますし、資金的にもテクノロジーに予算を割こうという国の動きもありますので、今は新しいリハビリテーションを模索する絶好の機会だと思います。

 

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