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股関節外旋六筋(梨状筋、外閉鎖筋、大腿方形筋、内閉鎖筋、上双子筋、下双子筋)の起始・停止・作用

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Contents

1.外旋六筋はこんな筋肉

2.インナーマッスル機能について詳しく解説

3.股関節の靭帯

4.文献

1,外旋六筋はこんな筋肉

 学生の頃、「股関節の代表的な外旋筋は6つもあるの」と、驚いたことは今でも覚えています。初めて学生で筋肉を勉強したのも股関節の筋肉でした。股関節の筋肉の中でも外旋筋は股関節のインナーマッスルと言われ、関節を動かす上で重要な役割を担っています。

 

臨床でも多くの場面で評価や治療対象になる筋もあるので、ここで明日の臨床の前におさらいしておきましょう。

 

外旋六筋とはどれを指すのか

 股関節の外旋六筋はよく深層外旋六筋とも言いますね。骨盤の前後面で考えると…

 

前面:梨状筋(→詳細はこちら)、外閉鎖筋

後面:大腿方形筋、内閉鎖筋、上双子筋、下双子筋

 

です。まずは、それぞれの基本情報を確認しましょう。

外閉鎖筋

起始

閉鎖膜

停止

大腿骨転子窩

支配神経

閉鎖神経

髄節

L3-4

作用

股関節内転、外旋

英語

Obturatorius externus(略:OE)

大腿方形筋

起始

坐骨結節外側縁

停止

大腿骨転子間稜

支配神経

仙骨神経叢

髄節

L5-S1

作用

股関節内転(わずか)、外旋

英語

Quadratus femoris(略:QF)

内閉鎖筋

起始

閉鎖膜、坐骨内面

停止

大腿骨大結節内側

支配神経

仙骨神経叢

髄節

L5-S1

作用

股関節外旋

英語

Obturatorius internus(略:OI)

上・下双子筋

起始

上双子筋:坐骨棘

下双子筋:坐骨結節

停止

上双子筋:大腿骨大結節

下双子筋:大腿骨大結節

支配神経

仙骨神経叢

髄節

L5-S1

作用

股関節外旋

英語

上双子筋:Gemellus superior(略:GS)

下双子筋:Gemellus inferior(略:GI)

ついでに走行も確認しましょう。次の項でも出てくるインナーマッスル機能について理解する上でも走行を確認することは重要です。

梨状筋

 梨状筋は深層外旋六筋の中で最も大きいと言われています。梨状筋も2つの上層繊維と下層繊維に分けられます。走行としては第2~4の前仙骨孔(仙骨に空いてる穴)の縁から始まって大坐骨孔を通過します。その後に大転子の端に付着します。

 

有名なのは坐骨神経が近くを通過し、坐骨神経痛を起こす筋肉としてよく梨状筋は出てきますね。解剖学書には梨状筋の下を坐骨神経が通過してるものをよく見ると思いますが、実はこれだけではなくさまざまな種類があります。

 

Beatonの分類ですね。Beatonは梨状筋と坐骨神経の走行パターンは6つあると報告しています。

みなさんがよく見るのは一番多いtypeAのやつかと思います。実は他にもパターンがあることを知っておくと臨床の幅が広がるかと思います。

 

内閉鎖筋・上双子筋・下双子筋

 内閉鎖筋は後方の閉鎖膜(骨盤帯にあり、坐骨にある大きな穴を閉鎖孔と言います)から始まりそのまま横に走行し大転子に付着します。その内閉鎖筋を中心して上下にあるのが上双子筋と下双子筋です。

 

上双子筋も下双子筋も内閉鎖筋に合流して閉鎖膜に付着するものもあります。日本ではあまり馴染みがないですが、この3筋を総称してtriceps coxae musclesと呼ばれることがあります。

 

外閉鎖筋

 前側の閉鎖膜から始まり、その後腱になってから大腿骨頭の後ろを通過します。Solomonらは、後方アプローチによる人工股関節全置換術後の股関節の安定性における外閉鎖筋の役割を調査しました。彼らは、梨状筋と外閉鎖筋を温存することで脱臼のリスクが低下すると述べています。

 

大腿方形筋

 後ろから見ると四角い筋肉だというのがわかるかと思います。坐骨結節からまっすぐ大腿骨転子窩に付着します。大腿筋膜張筋でもお伝えしたスナッピングヒップ症候群(=External snapping hip syndrome)にも関連したIschiofemoral impingement(=IFI:坐骨大腿インピンジメント)の主な原因として取り上げられます。

IFIは大腿方形筋が、坐骨と小転子の間でインピンジメントを起こす状態をいいます。

 

インナーマッスル機能について詳しく解説

深層外旋六筋の走行を見るとわかりますが、筋肉の力線は主に真横にいきます。これは肩関節の棘下筋や小円筋と同じような力線です。

 

つまり棘下筋や小円筋が肩関節のインナーマッスルと言われているのを考えると、股関節では深層外旋六筋が股関節のインナーマッスルと言われるのもわかるかと思います。

 

ちなみに肩関節では棘下筋や小円筋は後方の関節安定性に関与しますが、股関節でも深層外旋六筋が後方の関節安定性に関与しています。前方の安定性は、靭帯によって安定性を確保しています。

 

股関節の靭帯

股関節には、人体最強の靭帯といわれる腸骨大腿靭帯(別名:Y靭帯)が存在しています。股関節の靭帯においては、国試でその制限方向を出題される傾向があり、学生では特によく記憶している部位です。

 

上記3つの靭帯、

・腸骨大腿靭帯

・恥骨大腿靭帯

・坐骨大腿靭帯

それぞれの制限方向を暗記しやすいように、表でまとめました。国試等の暗記でご利用ください。

 

参考文献

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK519497/#article-27239.s1

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29218390/

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8540628/

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22066861/

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6485765/

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/ar.1090700102

https://journals.sagepub.com/doi/10.5301/hipint.5000249

https://www.sciencedirect.com/topics/immunology-and-microbiology/quadratus-femoris-muscle

・SolomonLB LeeYC CallarySA BeckM HowieDW Anatomy of piriformis, obturator internus and obturator externus: implications for the posterior surgical approach to the hip. J Bone Joint Surg Br 2010;92(9):1317–1324

股関節外旋六筋(梨状筋、外閉鎖筋、大腿方形筋、内閉鎖筋、上双子筋、下双子筋)の起始・停止・作用

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