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スクリーニングテストで腰痛リハビリテーションはどう変わるのか~STarT Back Screening Tool編④~

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High Riskグループは広い視点で!

週の真ん中水曜日の江原です。STarT Back Screening Tool(SBST)を使ったサブグループ分類と、対応したアプローチについて書いています。本日はHigh Riskに分類された腰痛患者についてです。SBSTの総得点で4点以上で、5から9問目が4点以上の場合、High Riskに分類されます。慢性化しやすく予後が悪いHigh Riskグループには、FABによる恐怖回避傾向を主体とした痛みの認識や疼痛行動などへの修飾や、心理社会的要因の強い関与を念頭に置きリハビリを進めていきます。

High Riskグループへのケアの方向性

High Riskの腰痛患者へのリハビリでは、理学療法評価に加えて心理社会的特徴の包括的な評価を行うとよいでしょう。個人的な方法をご紹介します。まず通称「ワンセット」と呼んでいる痛み関連の質問紙を、一通り実施し心理社会的要因を客観的に評価しています。

疼痛生活障害尺度(PDAS)
痛みの破局的思考(PCS)
恐怖回避傾向・
運動恐怖(TSK)
抑うつ・不安(HADS)
中枢性感作(症候群)(CSI)

以上を使って、痛みによるADL制限、痛みの認知情動要素、中枢性感作のスクリーニングを行います。その他に痛みの自己効力感(PSEQ)やQOL評価(EQ-5D)を行うこともありますが、FABによる悪循環の根幹となるPCSとTSKを優先的に入れておきます。施設や担当症例の特徴に合わせて必要なものを選択するとよいです。

質問紙とHigh Riskグループ

認知情動面の評価を行うと患者さんへの負担が大きいと感じるという質問をよくいただくので、評価の順番について持論をかきます。FABの関与が疑われるので認知情動面から評価したいと考えます。これも個人的な考えですが、PDASでのADL評価を先に行っています。慢性疼痛リハビリの一般的な考え方は、活動能力向上を指向するのに重点が置かれます。慢性疼痛に起因したADL能力制限を測定できる評価項目から進めたいです。

 

慢性腰痛患者はご自身の痛みを常にスキャンしています。痛みが何とか消えてくれないかと常に考えてしまいやすいことがFABに繋がり、症状を増悪させています。PDASなど慢性疼痛患者へのADL評価は「痛みもそうですが、痛いことでできなくなっていることや影響があることがありますよね?それを教えてください」と説明しながら実施すると思いますが、このような取り組みは痛みから意識を切り離すだけでなく、目標共有にもつながりその後の認知情動面の評価への障壁も減るのではないか?と考えています。

スクリーニングテストで腰痛リハビリテーションはどう変わるのか~STarT Back Screening Tool編④~

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