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【書評】進化し続ける脳卒中理学療法の実践書|『脳卒中理学療法の理論と技術』第5版

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脳卒中リハビリテーションの現場で働く理学療法士にとって、常に最新の知識と実用的なテクニックを身につけることは必須です。この『脳卒中理学療法の理論と技術』第5版は、2025年の最新の研究成果や臨床知見をたっぷりと取り入れた、まさに現場で役立つ一冊となっています。

実践に活かせる最新知識を網羅

この本は初版以来、約3年ごとに改訂されてきました。脳卒中治療とリハビリテーションに関する最新の理論と実践技術をしっかりカバーしています。今回の第5版では、「脳画像からみた脳の障害と理学療法戦略」「ロボットを用いた理学療法」「栄養管理」「機能的電気刺激」「小脳系の理学療法」「嚥下理学療法」など、臨床現場ですぐに活用できる内容が大幅に強化されました。

特に超急性期のリハビリテーションの章では、発症直後からの介入がどれほど重要なのかがわかりやすく説明されています。ER型救急医療体制における理学療法士の役割も明確に示されており、とても参考になります。また、神経可塑性に関する最新のエビデンスも掲載され、リハビリがどのように神経回路の再構築を促すのかも具体的に解説されています。これらの情報は、日々の臨床でのアプローチを深めるうえでとても役立つでしょう。

多職種連携と栄養管理の重要性

今回新たに加わった栄養管理の章では、リハビリの効果を最大限に引き出すために欠かせない栄養評価や投与方法について詳しく書かれています。患者さんの回復をサポートするうえで、栄養管理の視点がいかに大切かを改めて考えさせられる内容です。

また、リハビリテーションを成功させるには多職種連携が不可欠ですが、本書ではその重要性が実例を交えて解説されています。チーム医療の質を高めるための具体的な方法が示されており、実際の現場ですぐに活かせる内容が詰まっています。

持ち運びやすく進化した一冊

前の版と比べて約200gも軽くなったことで、持ち運びやすさが格段に向上したのも大きな魅力です。B5変型判のサイズながら、552ページという充実した内容が収められており、臨床現場はもちろん、勉強会やカンファレンスなどでも活用しやすくなっています。

理論と実践をつなぐ必携書

この本の最大の魅力は、単なる理論書にとどまらず、実際の臨床現場で使えるガイドブックとしての役割を果たしている点です。最新の評価法や治療技術を網羅するだけでなく、それらをどのように現場で応用できるのかが具体的に示されています。

特に、新たに追加された脳画像を用いた障害評価や、ロボット・電気刺激療法といった最新技術の活用方法は、これからの脳卒中リハビリテーションで標準となるであろうアプローチが詳しく解説されています。

脳卒中リハビリテーションに携わる理学療法士にとって、この本は単なる参考書ではなく、日々の臨床の質を向上させるための実践的な指針となるでしょう。最前線の治療技術を学び、より質の高いリハビリを提供するために、ぜひ手元に置いて活用してみてください。

目次

Ⅰ 解剖生理学の知識

  • 神経系の概観  渡辺雅彦
  • 脳・脊髄の構造と機能  渡辺雅彦
  • 神経組織学  渡辺雅彦
  • 脳の血管  中村 元

Ⅱ 脳卒中の病態と治療

  • 脳卒中の原因と病態  溝口忠孝,岡田 靖
  • 脳卒中の内科的治療  湯浅浩之
  • 脳卒中に対する外科治療  千田光平,小笠原邦昭
  • 脳卒中の反復性経頭蓋磁気刺激治療rTMSとボツリヌス治療  原 貴敏,安保雅博
  • 急性期から開始する脳卒中リハビリテーションの理論とリスク管理  原 寛美
  • 脳卒中治療・リハビリテーションにおける栄養管理  角田 亘

Ⅲ 評価の知識

  • ADLと総合評価  奥山夕子
  • 運動機能検査  髙見彰淑
  • 高次脳機能検査  網本 和,渡辺 学
  • 動作(歩行)分析  大畑光司
  • 脳画像からみた脳の障害と理学療法戦略  吉尾雅春

Ⅳ 理論と理学療法

  • 超急性期からの早期理学療法  岩田健太郎,前川侑宏
  • 回復期の理学療法で留意すべき事項  吉尾雅春
  • 歩行練習のすすめ方  増田知子
  • ロボットを用いた理学療法  大畑光司
  • 脳の可塑性と運動療法  森岡 周
  • CI療法  佐野恭子
  • 他多数の項目...

 

【書評】進化し続ける脳卒中理学療法の実践書|『脳卒中理学療法の理論と技術』第5版

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