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2025年度診療報酬調査の焦点|リハビリ職の夜間配置など変化する役割に注目

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17日、厚生労働省は「診療報酬調査専門組織 入院・外来医療等の調査・評価分科会」を開催し、令和8年度の診療報酬改定に向けた調査方針案を検討しました。この調査は医療現場の実態を多面的に把握し、来年度の改定に反映させることを目的としています。

多職種連携と夜間配置の実態調査

今回の調査では、病棟における業務ごとに、どの職種が関与しているかを詳細に把握する項目が含まれています。特にリハ専門職(理学療法士=PT、作業療法士=OT、言語聴覚士=ST)の病棟配置と業務分担の実態に注目が集まりました。

井川委員からは「最近は回復期病棟を含めて理学療法士とかセラピストの夜間配置なども見られるようになってきている」との発言があり、「ADL向上に努めている病院もあるため、調査項目にリハ職の配置状況も加えるべき」と提案がありました。

病棟調査票では、看護職員、看護補助者、薬剤師、PT、OT、STなど各職種の業務分担状況を確認する質問が設けられています。特に平日、夜間、休日の各時間帯における配置状況を把握することで、病棟内での多職種連携の実態が明らかになることが期待されます。

リハ職の拡大する役割:病棟内・災害対応へ

調査票の設計では、「疾患別リハ以外のADL向上を目的とした活動」においてリハ職がどの程度関与しているかも調査項目に含まれています。これは従来の「治療としてのリハ」から、「病棟生活支援としてのリハ」へと役割が広がっていることを反映しています。

また災害対応に関する項目では、DMATやJMATなどの医療チーム派遣における「リハ職種の参加状況」も調査対象とする意見が出されました。特に能登半島地震の経験を踏まえ、災害派遣時のリハ職の役割にも注目した調査設計が検討されています。

医療資源の少ない地域とリハビリテーション

医療資源の少ない地域における保険医療機関の実態調査では、令和6年度診療報酬改定で新設された「回復期リハ入院医療管理料」の取得状況やリハビリテーション提供体制について重点的に調査する方針が示されました。

小池委員からは「医療資源の乏しい地域にもいろいろな状況がある。離島、中山間地域、半島など地域的な状況が異なる」との指摘があり、地域特性に配慮した調査の必要性が強調されました。

退院支援における新たな課題

退院支援に関する調査項目では、「身寄りがなく成年後見人が不明なもの」など、特に手間がかかる事例について掘り下げた質問が設定されています。津留委員からは「青年後見人制度のNPO法人の問題や身元保証代行サービスの実態など、安心安全な制度の確立ができていないので非常に苦労している」との現場の声が紹介されました。

こうした複雑な退院調整において、リハ職を含む多職種の関与状況や退院困難例への対応実態を把握することで、より効果的な支援体制の構築につながるデータ収集が目指されています。

調査スケジュールと今後の展望

厚労省は5月から調査票を配布し、7-8月に集計作業を行った上で、8月以降の分科会で結果を報告・議論する予定です。この調査結果は、令和8年度診療報酬改定の基礎資料となります。

今回の調査では、病棟でのリハ職の夜間配置という新たな動向や役割拡大、多職種連携の実態など、従来の診療科別・職種別の枠組みを超えた「機能」に着目した調査設計となっており、医療提供体制の実態をより立体的に把握することが期待されます。

▶︎https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00270.html

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