厚生労働省は2025年4月25日付で、診療報酬の「経過措置」に関する事務連絡を全国の医療機関に通知しました。これは、2024年度(令和6年度)診療報酬改定に伴い設けられていた一部施設基準の経過措置が、2025年5月31日(令和7年)で終了することを知らせるものです。リハビリテーション職種に関係する入院料や加算も対象となっており、算定継続には届出の再提出が必要な項目も含まれます。該当施設で勤務されている方は、関係部署との情報共有をお勧めします。
経過措置とは?なぜ今、確認が必要なのか
診療報酬は、施設の人員体制や設備などの「施設基準」を満たし、国に届け出ることで算定が可能となります。今回の改定で一部基準が変更され、それに伴って一時的に旧基準でも算定可能とする「経過措置」が設けられていました。この猶予期間が2025年5月31日をもって終了し、翌6月1日からは新基準が完全適用となります。
対象となる2つの区分
本通知では、影響を受ける施設基準が以下2区分に整理されています。
「届出が必要なもの」
→ 新基準を満たした上で、改めて届出を行う必要あり
「注意が必要なもの」
→ 届出は不要だが、新基準を満たしていないと算定できない恐れあり
令和7年6月1日以降も算定する場合に届出が必要なもの
この区分に該当する施設基準は、6月1日以降に算定を継続するには新たな届出が必要です。リハビリテーション関連の項目も含まれています。
【代表的な該当項目】
回復期リハビリテーション病棟入院料1・2
経過措置:「令和6年3月31日において現に回復期リハビリテーション病棟入院料1又は回復期リハビリテーション病棟入院料2に係る届出を行っている病棟については、令和7年5月31日までの間に限り、当該病棟に在宅復帰支援を担当する専従の常勤の社会福祉士等が一名以上配置されているものとみなす。」
救命救急入院料
経過措置:「令和6年3月31日時点で、現に救命救急入院料の届出を行っている治療室にあっては、令和7年5月31日までの間に限り、1の(8)に該当するものとみなす。」
脳卒中ケアユニット入院医療管理料
経過措置:「令和6年3月31日時点で、現に脳卒中ケアユニット入院医療管理料の届出を行っている治療室にあっては、令和7年5月31日までの間に限り、1の(11)に該当するものとみなす。」
小児特定集中治療室管理料
経過措置:「令和6年3月31日時点で、現に小児特定集中治療室管理料の届出を行っている治療室にあっては、令和7年5月31日までの間に限り、1の(9)に該当するものとみなす。」
届出の提出期限
令和7年6月6日(木)まで
- この日までに届出を提出し、6月末までに受理されれば、6月1日に遡って算定可能。
- 期限を過ぎると、6月以降の算定に空白が生じる可能性があります。
現場のチェックポイント
- 所属施設が該当の入院料を算定しているか確認
- 医事課または管理部門が届出準備をしているか確認
令和7年6月1日以降も算定するに当たり注意が必要なもの(届出不要)
この区分に該当する施設基準は、新たな届出は不要ですが、新基準を満たさない場合は算定ができなくなるため、注意が必要です。
【代表的な該当項目】
在宅療養支援診療所
経過措置:「令和6年3月31日時点で在宅療養支援診療所の届出を行っている診療所については、(1)のツ又は(2)のツについては、令和7年5月31日の間に限り、基準を満たしているものとする。」
在宅療養支援病院
経過措置:「令和6年3月31日時点で在宅療養支援病院の届出を行っている病院について、(1)のチ、(1)のテ、(2)のチ、(2)のテ及び(3)のシについては、令和7年5月31日までの間に限り基準を満たしているものとする。」
地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料
各区分ごとに経過措置の詳細が定められています。
在宅医療DX情報活用加算1、2
経過措置:「1の(7)については、令和7年5月31日までの間に限り、当該基準を満たしているものとみなす。」
訪問看護医療DX情報活用加算
経過措置:「4の(5)については、令和7年5月31日までの間に限り、当該基準を満たしているものとみなす。」
現場のチェックポイント
- 自施設が該当する施設基準で算定しているか確認
- 新基準における必要な対応が継続的に満たされているか確認
現場職員としての対応
- 届出の必要な項目は、事務部門・経営層の役割で対応されることが多いですが、現場の状況も重要です。
- 関係部署と早めの情報共有を行いましょう。
*詳細は事務連絡の資料をご確認ください。
厚生労働省 事務連絡(2025年4月25日付)
「令和6年度診療報酬改定において経過措置を設けた施設基準の取扱いについて」