厚生労働省から2024年4月24日に発表された事務連絡によれば、訪問看護等に使用する車両に係る駐車許可等について、警察庁から重要な通達が出されました。この通達では、訪問診療等に使用する車両に対する駐車許可制度および駐車規制からの除外措置について全国的な統一運用が図られます。新制度は2025年7月1日から実施されることになっており、訪問看護ステーションや訪問リハビリテーションに従事するPT・OT・STにとって、日々の業務環境に直接関わる重要な改正です。
駐車許可・除外措置の見直し背景
今回の見直しは「物流2024問題」を背景に、短時間の駐車が不可避である業務用車両の駐車需要に対応する必要性が高まったことが背景にあります。また、訪問看護等に係る駐車需要へも引き続き適切に対応していく必要があるとの認識のもと、2024年6月に閣議決定された規制改革実施計画にも盛り込まれました。
主な改正ポイント
1. 許可要件の明確化と全国統一
駐車許可の審査において、以下の点が全国的に統一されます:
- 駐車可能な場所の有無を考慮する範囲が「おおむね100メートル以内」に統一
- 審査にあたり、通学路やバス路線であるかなど留意すべき事項の明確化
- 反復継続的な用務に係る許可証の有効期間は、原則として1年以上に統一
2. 申請手続きの簡素化・合理化
- 申請書および添付書類を含め、申請手続きに係る運用を全国的に統一
- 複数の場所に連続して駐車する場合、一申請で複数場所の一括許可が可能に
- 複数の警察署管轄にまたがる場合も、一つの警察署で手続き可能に
3. 駐車規制からの除外措置の対象拡大
特に訪問看護・リハビリに関わる専門職にとって重要な点として:
- 医師の指示を受けた看護師等や、助産師が患者宅等を緊急訪問するための車両が駐車規制からの除外措置の対象となり得ることが明確化
- 申請時の添付書類も簡素化され、既存の訪問計画書や契約書、資格証の写しなどで可能に
- 患者の個人情報保護の観点から、医師の指示書や訪問先関係者の病名が記載された書面の提出は不要に
訪問リハビリ従事者への影響と対応
PTOTSTにとっての意義
- 訪問先近くへの駐車が正式に認められることで、サービス提供の効率化が期待できます
- 申請手続きの統一・簡素化により、事務負担の軽減が図られます
- 緊急対応時の駐車も考慮されているため、患者急変時の迅速な対応が可能になります
現場での具体的な対応
- 1.事前準備:2025年7月の運用開始に向け、所属する訪問看護ステーションや施設と連携し、申請準備を進めましょう
- 2.一括申請の検討:定期的に訪問する複数の場所について、一括して申請することを検討しましょう
- 3.警察署への事前相談:申請前に地域の警察署交通課に相談することで、スムーズな申請が可能になります
- 4.緊急対応の確認:緊急訪問が必要な場合の手続きについても確認しておきましょう
注意点
- 駐車許可や除外標章があっても、法定の駐停車禁止場所(消防車進入口前など)には駐車できません
- 不正使用に対しては厳正な対処がなされ、返納命令や検挙措置の対象となる可能性があります
- 申請時に用務を疎明する資料は必要ですが、患者の個人情報保護の観点から、病名記載の書面等は提出不要です
まとめ
今回の駐車許可制度および駐車規制からの除外措置の見直しは、訪問看護・リハビリテーション業務の円滑な実施に大きく貢献するものです。2025年7月の運用開始に向けて、各訪問看護ステーションや訪問リハビリ事業所では、申請準備や内部研修などを計画的に進めていくことが重要です。
日々の訪問業務において駐車場所の確保に悩まされてきた現場のPT・OT・STの皆様にとって、この制度変更が業務効率の向上と質の高いサービス提供につながることが期待されます。
※本記事は厚生労働省の事務連絡および警察庁通達の内容をもとに作成しています。実際の申請にあたっては、各都道府県警察のウェブサイトや最寄りの警察署での確認をお勧めします。