キャリアコンサルタントが徹底サポート

【選挙速報】OT協会役員選挙の再投票結果

390 posts

一般社団法人日本作業療法士協会(OT協会)は本日5月17日、2025年度の役員改選に伴う再投票の開票結果を告示しました。今回の選挙は、協会として初めてジェンダーに着目した「候補者クオータ制度」を導入して行われたものであり、制度が役員構成にどのような影響を与えたかが注目されました。

クオータ制度導入の背景と目的

OT協会は、作業療法士の学術技能の研鑽などを通じて国民の健康と福祉の向上に資することを目的としています。会員構成は20〜30代を中心に、医療、介護、児童福祉といった幅広い領域に広がり、男女比も2022年時点で男性38.9%、女性61.1%となるなど多様化が進んでいます。

こうした状況を踏まえ、協会は「誰もが主役 多様な協会へ」をスローガンに、多様な視点を役員組織に反映するための取り組みを進めてきました。世界的に、意思決定の場において少数派が影響力を持つための基準は30%とされ、これを超えることで組織の多様性が実効性を持つとされています。今回導入された候補者クオータ制は、その第一段階として、理事は男性8名以上、女性8名以上、監事は男性1名以上、女性1名以上の候補者を必要とする仕組みです。

選挙の経緯と再投票

今回の役員選挙は、2025年1月29日に立候補受付が締め切られました。理事には31名(男性20名、女性11名)が立候補し、クオータ制の条件を満たしましたが、監事には立候補者がなく、理事会が推薦候補として男性2名、女性1名を擁立しました。

選挙はインターネット投票で実施されましたが、3月28日から4月18日にかけた最初の投票で選挙システムの設定ミスが判明し、投票は無効となりました。そのため、4月25日から5月16日の期間で再投票が実施され、本日開票結果が告示されました。当時の山本伸一会長は、正会員や関係者に対し謝罪の言葉を述べていました。

開票結果とクオータ制度の評価

開票結果は以下の通りです。

  • 理事:定数24名に対し、投票により過半数の賛成を得た24名が当選しました。当選者の内訳は男性16名、女性8名で、女性の割合は約33.3%となり、クリティカル・マス(30%)を超えました。

  • 監事:定数3名に対し、投票により過半数の賛成を得た3名(澤俊二氏、岩瀬義昭氏、香山明美氏)が当選しました。男性2名、女性1名で、女性の割合は約33.3%でした。

  • 会長候補:唯一の候補者であった山本伸一氏(男性)が過半数の賛成を得て当選しました。

今回の結果は、候補者クオータ制の導入が候補者構成のみならず、最終的な当選者構成にも明確な影響を与えたことを示しています。特に、監事では当初立候補者ゼロという状況から、理事会推薦によって女性候補が加わり、最終的な当選者にも女性が含まれました。これは、クオータ制度の目的である多様性の確保という点で一定の効果があったと評価されます。

ただし、協会の女性会員比率が61.1%であることを考慮すると、今回の役員構成は会員構成の完全な反映には至っていません。しかし、過去の役員・代議員における女性割合が減少傾向にあったことを踏まえると、大きな改善が見られたと言えるでしょう。

協会では、今回の候補者クオータ制の運用状況を踏まえ、将来的には当選者に最低人数を割り当てる「当選者クオータ制」への移行も視野に入れています。また、ジェンダーのみならず、世代や職域など多様な視点でのクオータ導入も含めた検討を進める方針です。今回の選挙不備を踏まえた選挙管理の改善と併せ、新体制による協会運営が注目されます。

https://www.jaot.or.jp/files/page/jimukyoku/2025yakuinsenkyo_kekka20250517.pdf

【合わせて読む】

OT協会、役員選挙のWeb投票に不備 再投票を実施へ

OT協会役員選挙はじまる

【選挙速報】OT協会役員選挙の再投票結果

最近読まれている記事

企業おすすめ特集

編集部オススメ記事