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なぜこの膝痛は治らないのか?―見えない“痛みの正体”に迫る

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【この記事で学べること】
◆膝関節痛における画像と症状の不一致への理解
◆中枢感作・可塑的変化と膝痛の関係
◆構造的因子とその評価ポイント
◆神経科学的視点からの痛みの再解釈
◆心理社会的因子の臨床での重要性と対応法

はじめに

「画像は軽度。でも、痛みは強い」
そんな膝関節痛の症例に出会ったことはありませんか?
変形性膝関節症(膝OA)において、X線やMRIの所見と疼痛の程度が一致しない現象は珍しくありません。これは“structure-symptom discordance”と呼ばれ、構造的な変化だけでなく、神経学的・心理社会的な要因まで含めて総合的に痛みを理解する必要性を示しています。
本記事では、「膝痛がなぜ改善しづらいのか」という疑問に対し、構造、神経、心理の3つの視点から整理し、臨床的な評価やアプローチへの応用をわかりやすく解説していきます。

1.中枢感作と脳神経可塑性変化 ―― 痛みは学習される

膝痛がなかなか改善しない背景として、見落とされがちなのが「中枢感作(central sensitization)」の存在です。痛みが繰り返されると、その情報は中枢神経系に“記憶”され、次第に痛みに対する感受性が高まっていきます。その結果、同じ刺激でも以前より強い痛みとして感じられるようになるのです。このような状態では、末梢だけを評価・介入するだけでは限界があり、中枢の過敏性に着目したアプローチが求められます。

実際、膝OA患者では以下のような変化が確認されることがあります
◆2点識別覚の低下
◆関節位置覚の乱れ
◆身体イメージの変容
これらの変化は、痛みと運動制御の関係性を示すものであり、運動療法を“痛みの再学習の場”として位置づけ直す必要があると考えられます。

2.構造的因子と評価 ―― 見逃されやすい原因を拾う

もちろん、構造的な評価も重要です。膝関節には、関節軟骨の中央部を除き、滑膜・脂肪体・靱帯・半月板などのほぼすべての構造に侵害受容器が分布しています。特に臨床で重要なのは、関節内の病変だけでなく、関節外の組織(腸脛靭帯、鵞足、膝蓋下脂肪体など)が主因となっているケースも多くあるという点です。
例えば、

 

  • 大腿四頭筋の過緊張により膝蓋骨の動きが制限される
  • 腸脛靭帯の硬さが膝外側の負担を増やす
  • 膝蓋下脂肪体の滑走不全により膝前面痛が誘発される

といったケースでは、画像には現れない“動き”や“姿勢”が痛みの背景にあることが多く、動作分析や触診による評価の質は重要となってきます。

3.神経科学的視点 ―― 痛みは脳で起こっている

痛みの情報は、末梢の侵害受容器で感知された後、脊髄後角を経由して、脳内の痛み関連領域(pain matrix)に伝えられます。
このpain matrixには、以下のような領域が含まれます

  • 一次体性感覚野(S1)
  • 二次体性感覚野(S2)
  • 島皮質
  • 前頭前野
  • 前帯状皮質(ACC)
  • 視床

これらは、それぞれ痛みの感覚・情動・認知的側面を処理しており、痛みが単なる感覚だけでなく「体験」として現れることを意味しています。実際、「この動きが怖い」という不安だけで、痛みが強まる患者様も多く、こうしたケースでは痛みへの認知や思い込みを再構成する介入が効果的です。

4.精神・心理社会的因子 ―― 回復を左右する“こころ”の状態

痛みの長期化には、心理社会的因子も大きく関与します。
特に以下のような状態は、膝痛の悪化・遷延化に影響すると言われています。

◆破局的思考
◆痛みに対する恐怖心
◆不安や抑うつ傾向
◆過剰な安静や回避行動

「膝を守るために動かないようにしている」という行動が、逆に機能低下や新たな痛みを引き起こしているケースは、臨床でもよく見られます。
当ジムでは、そうした患者様に対して、「安心して動ける」というポジティブな体験を少しずつ積み重ねていただくことを大切にしています。それがやがて、思考・感情の変化を促し、痛みの再定義につながるからです。

5.おわりに ―― 構造・神経・心理すべてを視野に

膝関節痛を本質的に理解するには、構造的な評価に加え、神経学的なメカニズムや心理社会的な背景まで含めて、多面的にとらえる視点が必要不可欠です。
私たち膝痛専門パーソナルジムでは、「どこが悪いか」だけでなく、
「どう感じているか」「どう動いているか」といった、その方の“全体像”に寄り添う視点を大切にしています。

痛みは目に見えませんが、動きと表情には、確実に現れます。だからこそ、動きを通してその方の未来を描く支援を、これからも続けていきたいと考えています。また、今回の記事を基に簡潔に「見えない膝の痛みについて」の動画を公開いたしました。併せて是非ご覧ください。

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なぜこの膝痛は治らないのか?―見えない“痛みの正体”に迫る

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