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OTが週1回小学校を巡回──奈良・生駒市、「学校作業療法士」配置を予算化

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奈良県生駒市は2月24日、令和8年度当初予算案の新規事業として「学校作業療法士配置実証事業」を発表しました。作業療法士(OT)が週1回、市立小学校2校を巡回し、児童の困り感へのアセスメントや教員への助言を行います。岐阜県飛騨市の全国先進モデルを参考にした取り組みで、奈良県内12市では初。予算額は約376万円です。

小学校2校で実証、令和9年度以降は全校展開も視野

生駒市の小紫雅史市長が2月24日の記者会見で明らかにしました。事業の骨格は明快です。OTが週1回、対象校を訪問し、授業見学などを通じて校内を巡回。児童の学習上・生活上の困り感に対してアセスメントを行い、支援の具体的な方法と将来を見据えた助言を教員に提供します。担当課は教育指導課(内線2700)で、予算額は3,758千円。

令和8年度はまず小学校2校で実証的に実施し、成果を検証したうえで令和9年度以降の全校展開を検討する方針です。産経新聞の報道によれば、小紫市長は会見で「子育て支援の予算を増やしてきた。地域共生や防災なども柱に未来への投資を考えた」と述べています。

「飛騨モデル」が全国に波及、生駒市もコンソーシアムに参画

生駒市が直接参考にしたのは、岐阜県飛騨市の「学校作業療法室」です。人口約2万1千人の飛騨市は2022年度にモデル校で試行を開始し、翌2023年度には全8校の小中学校にOTを配置。NPO法人はびりすと連携し、子ども自身が主体的に「作戦」を立てて目標に向かうCO-OP手法を取り入れた支援を展開しています。特別支援の対象に限定せず、すべての子どもが利用できる点が特徴です。

この飛騨市モデルは2025年10月、JST-RISTEXの研究プログラムに採択され、エビデンス構築と全国展開の基盤づくりが本格化しています。2026年2月14日に飛騨市で開催された「飛騨ウェルビーイングフォーラム」には生駒市の行政担当者も登壇。都竹淳也飛騨市長が「コンソーシアムを結成し、さらに連携を深める」と宣言しており、長野県駒ケ根市、大阪府河内長野市、新潟県長岡市など全国7自治体以上が導入を開始・検討中です。

背景にある数字――通常学級の8.8%が「支援を要する」時代

学校にOTを、という動きが加速する背景には切迫した数字があります。文部科学省の調査によると、通常学級で特別な教育的支援を必要とする児童生徒の割合は2012年の6.5%から2022年には8.8%へ急増しました。国は2012年の中教審報告や2015年の「チームとしての学校」答申でOT・PT・STの学校活用を明記していますが、具体的な予算措置は地方自治体の裁量に委ねられたままです。

一方、日本作業療法士協会の会員統計では、特別支援学校に常勤勤務するOTは2023年度時点でわずか43名。米国ではOTの約20%が学校領域で働いているのとは対照的で、日本の学校OT配置は緒に就いたばかりと言えます。

まとめ・今後の展望

生駒市の「学校作業療法士配置実証事業」は、令和8年度当初予算案として3月4日開会の市議会に提案されます。可決されれば、年度内に小学校2校での実証が始まる見通しです。飛騨市を核とする全国コンソーシアムの動きと合わせ、「学校OT」が自治体の政策メニューとして定着するかどうか、今後の展開が注目されます。

▶︎令和8年度 生駒市当初予算主な新規主要事業

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