インタビュー174回:理学療法士(PT)井ノ原裕紀子先生 リンパ浮腫治療と保険適応外でのケア no.4

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やっぱり自費は難しい?

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インタビュアー:自費でやってみて「病院じゃないと難しいな」という面はありますか?

井ノ原先生:もちろん、ありますよ。通室では限界を感じる重篤例や、創傷管理が必要な方などは、お断りせざるを得ない場合が多く、でもその代わり然るべき医療機関をご紹介しています。

ご本人の自覚なくいつも通り来室されて、拝見すると炎症の疑いが限りなく濃厚で、その場では炎症の対応の指導のみに留まり、すぐにお引き取りいただいて受診していただくケースも何度も経験しました。

あと、合併症を多発していたり、原疾患以外にも深刻な疾患を併発しておられる方とか、文字通り「明日をも知れない」ような終末期の方に対応する時などは、緊張なんて言葉で表しきれない、何と言うか…息が詰まるような、身を削られるような思いで向き合わなければならないので、そういう時は「病院だったらなぁ」と考えることしばしばです。

 でも、病院ではカバーしきれない、自費ならではの大きなメリットを感じることも多く、だからこそ自費にこだわりたいという信念を強くすることもたくさんあります。

 現実問題として、患者さまはがん拠点病院など大規模病院に通院されている方が多いので、そういうところは常にすごく混んでいて、それだけでも少なからずのストレスになっていることが挙げられます。主治医に不安な思いをぶつけたくても、あふれる患者さんの対応に忙しすぎてままならない。

看護師さんもやっぱり忙しそうで、話が長引くと迷惑だろうと気を遣うし。女性は基本的に「話したい」「聞いてもらいたい」欲求が強いので、そこをクリアできるだけで精神的な安定はかなり違ってくるのに、病院ではそれすらできないんですよね。

かと言って、お家でそれが出来るかと言うと、ご家族には心配をかけたくないので言いたくない。そもそもリンパ浮腫は主に女性特有がんの後遺症ですから、好発年齢は原疾患の影響を受けるので「主婦層」が大多数です。

主婦には家庭があり、家庭における日頃のストレスだって少なくないですから、ご家族に打ち明けるとなるとご家族に対する不満とも絡んできたりするから言いにくいですよ。

なら友人に聞いてもらうとしても、家庭でのストレスはまだしも、経験者でもない限り病気については共感してもらえないから、それはそれで「わかってもらえない」ストレスが募っちゃいます。だから、気持ちのやり場がなくて、精神的に追い詰められやすくなってしまうと感じますね。

 ところが、Her’sに来ると、時間に十分な余裕があるので、日頃の鬱憤を洗いざらい吐き出せる(笑)聞き手の私が、同じ女性であり、主婦であり、母であり、そして何より専門職な訳ですから、満足に足る共感も得られます。守秘義務もありますからね、安心です(笑)

当初はあまり意識していませんでしたが、なるほど、Her’sへの通室は、患者さまにとって実はメンタルケアにものすごく役立っているんだということに気付き、今では殊更に「会話」を重視して、ストレス発散とリラックスには特に配慮しています。

自費は究極のサービス業

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井ノ原先生:保険適用の話も現実的になってきましたが、そうなっても今のスタイルを貫いていこうと決めています。今まで保険適用外だったために適切なケアを受けられない方たちがたくさんいらした訳ですが、保険適用になればなったで、またそこからこぼれる人が出てくると思うんですよね。

制度からこぼれてしまった人たちの最後の受け皿として、自費のスタイルは残していかなくてはといけないと思っています。

 今のスタイルを始める時から、自費というのは究極のサービス業だという矜持があります。保険下でやっていると、給料は病院から支払われているので、その大元は患者さまから頂いているということを見失いやすく、サービス(接遇)という部分が疎かになりがちです。

自費対応では、患者さまから「現金」を「直接」手渡されるんですよ。その緊張感、わかりますか?それだけの対価を支払ってでも来ようと思っていただける、また次も来たいと思っていただける、納得ゆく満足感を提供しなければならないという大きな大きな責任を、これでもかというほど感じますよ。

金銭面含め患者さまとダイレクトにやり取りがあると、わざわざ来てくださることへの感謝の深さも、全然違うと思います。そうなると、仕事と向き合う姿勢そのものが変わりますよ。自分の行いに基づく評価がそのまま自分に反映される、それを正面から受止める覚悟が必要なんです、自費対応は。


  *目次
【第1回】ブラックジャックに憧れて
【第2回】保険適応外のケア
【第3回】リンパ浮腫、診療をしないと…?
【第4回】自費診療と病院との違い
【第5回】産後1ヶ月の職場復帰
【第6回】開業について、私はこう考える!

井ノ原先生も登壇し、女性医学が学べる「ウーマンズヘルスケアフォーラム2016」!

詳しくは、こちらから↓woman2016

井ノ原裕紀子先生経歴

1993年3月 神戸大学医療技術短期大学部 理学療法学科卒業
同 4月 ㈱塩野興産入社
2005年 11月 【Her's】創業
2006年12月 ㈱塩野興産退社
2007年3月 Her's・ケア部門立ち上げ
2008年4月 第3子(次女)出産
2013年1月 第1回リンパ浮腫療法士認定
2013年9月 一般社団法人WiTHs設立(代表理事)
2015年1月 一般社団法人WiTHs退社
2015年3月 がんリハビリテーション インテンシブコース修了
2015年11月 EPochアカデミック事業部部長就任

  【ようこそ!Her’sへ】
 http://hers.ko-co.jp/
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