創設者の思い~一般財団法人である理由~
ーー貴校の卒業生は有名になっている方が多いのですが、何か秘密があるのでしょうか?
本校の特徴の一つとして、一般財団法人であることが挙げられます。一般的に養成校は、学校法人や医療法人であることが多いのです。一般財団法人の養成校は、全国的にみても少ないです。
理学療法士が日本で国家資格として認められるまでは、鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師、柔道整復師といった方々が病院の中で理学療法に近いことを行っていました。そういった方々は昼間働いているので、昼間課程の養成校に通うことが出来ません。
「鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師、柔道整復師の方々にも理学療法士の資格を取ることが出来る道を作ってあげたい」という創設者の思いで、まずは夜間部のみでスタートしました。
昼間は働いているため夜間課程にしか入学することが出来ない方々の受け皿として創設したため「経済的にも学生に負担をかけないようにしよう」という創設者の気持ちがありました。その結果、学校の建物などにはお金をかけずに、出来る限り授業料を安くして学校を運営していく事が学校経営の基本的な考え方でした。
その理念は42年経った今も変わりはありません。創設当初の卒業生は、「理学療法士の資格を取れたのは、社会医学技術学院があったお陰だ」という気持ちを持ってくれています。そういった卒業生の熱い気持ちは、後進にも伝わっていると思います。
3年制へのこだわり
ーー昼間課程はいつ頃作られたのですか?
創立してから11年目です。創立してから8年間自前の校舎はなかったのですが、こちらの土地を提供して下さる方が現れたので、「校舎を建てよう」となりました。
校舎を建てるためには、お金が必要なので補助金の申請を行いました。その補助金を受けるために財団法人を設立したわけです。今は一般財団法人です。
補助金を支給する条件として、「昼間過程を作るように」と言われたので、昼間課程を併設したと聞いています。
昼間課程が出来ても同じような思いで運営しており、授業料は昼間課程にしては安いのではないかと思います。
ーー学費を抑えるために3年制にしているのですか?
そうですね。昼間部を併設したときは4年制の専門学校はありませんでしたが、「出来る限り早く卒業し、国家試験を受けることが出来るように」という思いで3年制を維持しています。
PT協会としては、「4年制にして欲しい」という思いでしょうけど、とりあえず今の段階では3年制のままにして、出来る限り経済的な負担を減らすようにしています。
社会人枠の入学多く、昼間課程でも3分の1は大卒・社会人学生です。
夜間課程
ーー「他の養成校では夜間課程の入学希望者が少なくなっている」という話も聞きます、貴校はいかがですか?
本校でも夜間課程の倍率は下がっています。夜間課程は大半が大卒・社会人学生であり、高卒の学生は数名です。ただ、決まった大学の卒業生が多いことも功を奏して、理学療法学科では定員割れは起きていません。
早稲田大学スポーツ科学部や東京学芸大学、順天堂大学、日本女子体育大学といった体育系の大学関係の方が多いです。
その理由の一つとして、当校の卒業生が早稲田大学や日本女子体育大学の教員をしていることが挙げられます。その教員をしている卒業生たちは大学卒業後夜間課程に入学されたので、「昼間働きながら夜間課程に通うことが出来るよ」と学生に勧めて下さるのだと思います。
ーー働きながら夜間課程に通うことは、大変ですか?
確かにそうかもしれません。土曜日に授業がある夜間課程の養成校がありますが、当校は土日に授業はありませんので、そういった意味では時間に少し余裕があると思います。
また、平日22時30分まで学校は開いており、図書室は22時まで開けているため、学生が自主的に自由に勉強することが可能です。土曜日や長期休み中も学校を開けています。
9月に前期末試験があるため、社会人の方にとって夏休みは勉強のやり時です。自分で時間をみつけて勉強をしてもらえるような環境作りを心がけています。
ーー大卒・社会人学生はモチベーションが高いため、自主的に勉強をしてくれるのですね。
そうですね。時間の使い方が上手ですね。仕事も勉強も遊びもぬかりなくやっているみたいですね。笑
就職先
ーー貴校の卒業後進路の特徴は?
病院の上の役職に就いている卒業生が多く、病院からの求人が多いです。そのため、病院に就職する学生が多いです。求人数はPT・OT併せて約9000件あります。
その他の病院の就職が多い理由として、「地域や老健で新人は上手く働けない」と考えている教員や施設も多いと思います。「病院で医療全般を身につけてから地域や老健で働いて欲しい」と受け入れ側が考えていると私は感じます。
将来的なことを考えると、病院以外に訪問看護ステーションや老健といった事業を経営し多角化を図る医療法人が普通になってきます。そのため、授業の中に地域リハの要素をもっと取り入れていく必要があると感じています。
OTの就職先に関しては、精神・身障・小児の3分野に分かれています。小児の求人は少ないので、精神などが大半を占めています。
ーー貴校の求人数は減っていますか?
求人数は変化ありません。ただ、病院ではない求人の割合が若干増えています。創設後42年間で求人倍率はさほど変化していません。
ーー高校の先生が生徒に対して「PT・OT・STは就職先がないから止めておけ」と話されることもあると聞きます。PT・OT・STになりたい高校生の夢を諦めさせたくないと思い、情報発信を行っています。
PT協会の半田会長も仰っていましたが、かつては高校生のなりたい職業ランキングのトップ10に理学療法士が入っていましたが、現在はそういった影響のせいかランキングが下がってしまったらしいですよね。
高校の先生は「公務員の職に就くと、将来も安定して安心」とお話をされるのですが、PT・OT・STに関しては、「国立病院に就職したとしても、一生国立病院で働くのかと言われると、必ずしもそうではない職種です。雇用主による安定性ではなく、資格による安定性なので、国立病院に就職したとしても、もっと違うキャリアを積みたいから転職する卒業生も多いですよ。」と高校の先生に話をすると驚かれます。
「もっと言うと、自分自身がさらに良いポジションになるために、転職する人も多いですよ。」と話をすると、「えー!そうなんですか!?」と驚かれます。
目次
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卒業生に有名な先生が多い秘密~Part2~
参考
取材のご協力をいただきました 社会医学技術学院 学院長 山田 千鶴子 先生
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