【養成校紹介】第186回 社会医学技術学院 最終回

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卒業生に有名な先生が多い秘密~Part2~

山田先生

 

ーー貴校卒業生との思い出を教えてください。

 

山田先生夜間部の卒業生で、このサイトに登場しているPTがいますね。

 

石井さん蒲田さんのお二人は学生時代も目立っていました。石井さんが学生の頃、私はあまり夜間部の授業を受け持っていませんでした。

 

それでも二人の顔と名前は知っていました。二人とも若い学生のころから、しっかり‘自分’を持っていて、自分を出すことに躊躇はない方々でしたね。先生にとってはやりづらかったかもしれませんが。笑

 

石井さん、蒲田さんのように大学の教員になった卒業生以外にも鹿島アントラーズのスポーツのクリニックで働いていた卒業生や、PT・OTの免許を持ってJICAの技術顧問になっている卒業生、起業した卒業生、行政に就職した卒業生など、様々な進路に進んでいます。

 

青年海外協力隊になった卒業生や起業している卒業生は多いですね。

 

ーーそういった方々を輩出出来ている秘密を教えてほしいです。

 

山田先生しいて言うならば、先程述べた”放牧”がポイントなのかもしれません。教員の思うPT・OT像に育てようとするのではなく、学生を型にはめずに教育することですかね。

 

ルールを作り過ぎない、管理し過ぎないという点が良いのかもしれません。

 

 

 ーー”放牧”で個性の強い学生が育つ反面、学校を辞める人も多いのではないでしょうか?

 

山田先生それが少ないんですよね。27年度新入生は昼間課程の70人中4人しか辞めていません。この数字は昼間課程の専門学校では少ないほうだと思います。留年生も少ないです。教員が頑張ってくれていることもありますね。

 

 その他の理由としては、“クラスの団結力”が挙げられます。卒業後もクラス会を開催しているみたいで、同級生・クラスに対して思いが強い学生が多いです。

 

夜間課程の学生に関しても、大卒・社会人学生が多いので、結婚して子どものいる卒業生も多いです。

 

休日の昼間に学院の運動療法室でケータリングサービスを利用してクラス会を時々行っているみたいです。そういえば結婚披露宴を学院の講堂でした卒業生もいました。

 

現在学んでいる学生達も「クラス皆で進級しようよ!」とお互い協力し合っている空気を感じます。

 

 当校は専門学校ではあるにも関わらずサークルがありますし、夏は大型バス1台貸し切って合宿に行ったり、冬はスキーに学生たちで行っているみたいです。教員は一切関与せずに、学生たちが自発的に行っています。

 

ーー「大型バスを利用して事故があった時に学校は責任とれないから止めてくれ」という学校が多いと思います。

 

 山田先生:「急性アルコール中毒が出ないように」とか「未成年にお酒を飲ませないように」という注意はします。そういった注意に学生たちが素直に耳を傾け、対応してくれるので、教員は学生たちを信頼出来ています。大卒・社会人学生が多いためか、適切な対応を取ってくれますね。

 

 ルールを作り過ぎない、大卒・社会人学生が多い、この2点がポイントなのかもしれませんね。

 

先生の教育理念

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 ーー先生の教育理念はありますか?

 山田先生:学校の中に自分の居場所があると思える環境作りを意識しています。私たち学校・教員側が型を決めて型から外れる人を排除するのではなく、学生たちが可能な範囲内で、自分自身の居場所を自分で見つけることが出来る学校作りが出来たらいいなと思っています。

 

学生の中には人見知りの人もいるし、斜に構えている人もいますが、いろいろな人がいることが普通の人間社会だと思います。臨床に出ると皆が皆、愛想が良くて社会性がある人ばかり相手にする訳ではなく、色々な人と接していかなくてはなりません。

 

そのため、色々な個性を持った学生たちにとって、各々の心地良い空間のある学校にしたいです。もちろん節度は必要ですが、過剰に周りに適応しようと思わず、自分らしさを出して貰えるような、そういった学校であって欲しいと思っています。教育理念ではないですね。

 

私自身も他人から「こうあるべきだ」「こうでないといけない」と言われても、素直に「はい、分かりました」と言える人間ではありませんからね。

 

教員たちには「もし学生から注文をつけられたら、それは学生があなたのことを信頼している証拠よ」と言っています。信頼できる教師に対してでないと「もっとこうして欲しい」「こうした方が良いのでは」と言えませんから。

 

これだけは絶対に覚えておいてほしいこと

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ーー高校生や社会人からアンケートを取ってみると「授業内容を見たい」という方が多かったです。動画を撮ってwebページにあげると面白いですね。

 

 山田先生:良い案ですね。

 私が担当する授業は暗記だけにならないようにと思っています。成績判定は期末試験50%、残り50%は毎回行うワークシートと手創りおもちゃの課題です。ワークシートは私と学生のコミュニケーションの場として考えており、考えてもらいたいことや分からなかったことを書いてもらい、私自身へのフィードバックとして活かしています。

 

 この授業でただ一つだけ、絶対に覚えて欲しいと思い、強調して伝えていることがあります。「PTはこれから先ずっと運動や姿勢、動作を注目していくでしょうが、運動や姿勢、動作は感覚や認知が関係して生じることを忘れないで欲しい」ということです。

 

例えば、目を瞑った状態で第2趾や第3趾、第4趾を触られても、想像以上にどの足趾を触られたのかは分からないことを体験してもらい、視覚や触覚の統合があって、体の各部分を認識出来ることを伝えています。

 

ーー学生にとっては難しい内容かもしれませんが、現職者が聞くと凄く面白い内容かもしれませんね。

 

山田先生:そうですかね。笑

私は自分で自分の授業を楽しんでいます。他の教員たちにも「先生が楽しまないと生徒たちは何も楽しくないよ。」と伝えています。「面白そうに話す先生が印象的でした。授業内容は難しかったですが…笑」と授業評価に書かれたことがあります。笑

 

ーー今日は社医学の秘密が知れた気がします。“良くしようとするが故に管理し過ぎて逆に悪くなる”という教育の本質を垣間見ました。

 

 山田先生:人生は卒業後の方が長いですし、学校の中でのやり方が社会に出て通用するとも限りませんからね。

 

「どちらの道を選んだ方が良いのか分からない」と学生に聞かれた時には「悪いんだけど、私はあなたの人生に責任をとれない。

 だから、“私だったらこっちを選ぶ”と言うことは出来るけど、“こっちを選びなさい”と言うことは出来ない」と言います。

 

学校というのは通過点ですから、管理するよりも学校の中でどうやって選択していくのかを学んでもらう方が良いと思っています。

 

 

目次

  1. 創設者の思い~一般財団法人である理由~

  2. 卒業生に有名な先生が多い秘密~Part1~

  3. 卒業生に有名な先生が多い秘密~Part2~

 

 

参考

 

社医学3

取材のご協力をいただきました 社会医学技術学院 学院長  山田 千鶴子 先生

 

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