開業助産師の実際
———開業されている助産師の健診は、保険が使えますか?
岡本先生:助産師の開業は基本的に、正常な人を扱うので自費です。
保険となると医療の範疇になります。
乳腺炎など、外科的な処置が必要なものは医師に回します。
本当は、その部分だけでも保険を使えるようになればいいのですが、いまだなっていません。
お母さんたちのためにも、使えるようになればいいと思うのですが、なかなか難しい問題ですね。
お産の異常が起こった時、搬送するまでに点滴等の臨機応変の処置をすることがあるのですが、これは医療の範疇なのですが、自費になっています。
———市区町村によっても違うと思いますが、出産にはお金がかかりますよね。それで、自費となると家計的にも圧迫されますよね?
岡本先生:出産育児一時金という制度があり、一時金が出ますが、助産所が45万円くらいとすると、病院はもっと高い場合が多いです。
助産所よって違いますが、助産所の費用は45万円くらいが多いかもしれませんが、病院、診療所に比べると安い方かもしれませんね。
自宅出産の需要もありますが、出産の高齢化によって自宅出産の適応にならないケースが増えています。
助産所でのお産の基準は、助産業務ガイドラインで決めていて、年齢だけではありませんが、産婦人科医と相談して決めます。
元々血圧が高い方は病院をすすめます。35歳というのは年齢で1つ基準としてあります。
この基準がないと、リスク管理の面で問題になります。
そのガイドラインに沿うと高年齢出産が増えて、助産所でない方が良いというケースも増えています。
助産所で関わっていたとしても、途中の経過で問題が生じれば医療に移行します。
逆子と分かった時点でも、医療に変わります。結構、医療に移行してしまうケースも多いです。
助産師の取り組み
——— 日本助産師会の具体的な取り組みを教えて頂けますか?
岡本先生:働く場の多様性を考えています。
開業の中だけでも、お産を扱う開業もあれば保健指導や新生児訪問や乳房ケアなどで開業するパターンもあります。
そういう開業ももっと増えてもらいたいですね。ただ、多くは病院勤務の助産師が多いです。
院内助産という、正常であれば助産師主導のケア形態もあります。
開業や病院など働く場によって目標は変わりますが、業務形態別に3つの部会に分けて活動しています。
お産を扱う開業と保健指導型開業、病院勤務。この3部門を強化していきます。どの領域も、まだまだ助産師が足りていません。
目次
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[1]助産師会の歴史
[2]開業助産師の実際
[3]近年のお産について
[4]プロフェッショナルとは?