助産師として伝えたい事
————もっと情報として啓蒙活動をしなければならないということですね?
岡本先生:そうですね。今のままでは自分で産もうという人がいなくなってしまいます。
自然分娩を大事にされた進純郎医師は「子宮力が失われるから、自分で産めるように頑張っていかなければいけないよ」と本で語っています。
まさにその通りで、子宮も切ったり貼ったり出来るなら自分のはいらなくなる訳です。だから助産師に「しっかりしろ」言ってくださっています。
そこはやはり役割ですね。医師は異常に対してすぐに医療が発揮できるような役割。
助産師は異常にならないよう整えたり、リラックスできるように寄り添ったりする、そういう役割なのです。
あるいは子育ても含めてですね。母乳の指導もそうです。母乳の方が赤ちゃんがよく眠ってくれたり、免疫力も高まりますし、愛情ホルモンのオキシトシンも出ますので、母子関係も良くなります。
そういうことを伝えて、さりげなく支えるのが、助産師なのです。
——————そういう教育も養成機関で必要になりますね?
岡本先生:そうなのです。助産師教育は大学院教育にする必要があります。
将来、助産師教育は、医師や薬剤師と同じような学歴にしなければならないと思っています。
助産師も6年制大学院教育にしていくべきだと思っています。対等にやるには教育を同じにしなければなりません。
今の教育体制はバラバラなので、揃えなければなりません。薬剤師も弁護士も6年なのです。
これからのビジョンとして、助産師教育を大学院レベルに教育を変えていかなければいけません。
そこで非常に大事なのは予防的観点です。医療型と予防型の両面を強化する方向でどうするか戦略を立てる必要があります。
その1つに教育制度や法律を整備する必要がありそれ故、政治家を作らなければなりません。
活動を展開していく中で、大事なのは「国民が幸せ」ということです。そこを忘れてはいけません。
そのために働き方が医療型と予防型に分けられます。それを具体的に考えていけば良いのです。
開業型なのか病院などに勤務する型なのかなど。開業でも、お産やる人と乳房管理をする人、勤務でも診療所勤務と病院勤務と分けて、それぞれ働く領域でどういうようにしたら良いかと考えていく必要があります。
医師で、春日大社の宮司であった葉室賴昭さんは「命と言うのは“生きることの知恵”」と言います。
助産師の命というのは助産師が生き残るための知恵なのです。理学療法士も同じです。
それを皆さんで話しながらビジョンを具体化していけば良いと思います。それを考えないと発展はありません。
助産師会も20年前は潰れそうだったのです。それを止めようと、立ち上がってくれた先輩と立て直しました。
どうしようもない当時の執行部を変えるためにやったのです。そういう歴史があるのです。
それでここまでやってきた。看護師と同様に扱い「助産師はいらない」という大きな流れも2回起こりました。それでもここまで立て直してきたのです
プロフェッショナルとは
—————会長にとってプロフェッショナルとはなんですか?
岡本先生:国民が病気にならないために健康のあり方を担う重要な専門職である。
特に、リプロダクティブヘルス&ライツの領域で、一生涯女性に寄り添う専門職です。専門職は社会学では修士以上なのです。
だから学生たちによく言います。「今は過渡期だよ」と。専門学校しか出てない人も将来、修士を取るという人が増えてきました。
そうでなければ医師と話をしても対等に話せないんです。“助産”とついているだけで、レベルが低いと思われていることもあります。
まだまだそうなんです。厚労省だって大学院を出ていても、看護職の最高は課長止まりなのです。
医政局長にはなってないんです。保健所だって保健師さんは課長になっても、所長にはなっていません。
今の現状はそういう状況ですから、自分たちで変革していかなければならないのです。
それは誰のためではなく、妊産婦のためなのです。助産師、理学療法士のためではなく、国民のためにです。
国民のために、よりよい専門分野のサービスを提供するために自分たちがしっかりしなければなりません。それがプロフェッショナルだと思います
目次
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[1]助産師会の歴史
[2]開業助産師の実際
[3]近年のお産について
[4]プロフェッショナルとは?