「ウィメンズヘルス理学療法研究会」を立ち上げた思い
ーーウィメンズヘルス分野をやっていく中で、苦労した話などあれば教えてください。
松谷先生:そうですね。誰も周りにやっている人がいなかったので、研究する環境を作るところから始めたことです。母の(助産師)周りや産婦人科医に話を聞くところから始めましたが、そこまでの認知度や需要がなかったので、研究を始めるまでが大変でした。
知識もなかったので、ベビー用品店へ行き、バギーを押してみて姿勢を確認したり、などいろんなことを体験してみました。ワーキングホリデーでオーストラリアに行ったとき、アデレードの南オーストラリア州の協会で産前産後向けのリーフレットをもらったんです。オーストラリアでは、理学療法士がスタンダードに知識の提供をしていたので、日本でもそうなればいいなと思いました。カナダでも新生児訪問などには、理学療法士が必ず姿勢や抱き方の指導などを行います。これが当たり前なんですよね。
ーー実際この分野で研究している人(理学療法士)はどれくらいいらっしゃるのですか?
松谷先生:研究している人は少ないですね。増えてきてはいると思います。ウィメンズヘルス理学療法研究会は、そういった方が、集まって欲しいという思いでつくりました。
大切だということは分かっていても、分野としては歴史がまだ浅く人数も少ないので、この活動を認めてもらうためにも、力を合わせる必要があると感じています。 研究会への参加は、いきなり研究発表だと敷居が高いため、自分のやりやすい形ではじめて貰えればいいのかなと思います。もちろん男性の方でもOKです。SNSなどでも情報を開示しています。
特殊分野の様に思う人もいるかもしれないですが、視点を変えると現在臨床で行われている理学療法の評価・治療と共通した部分もあるため、もっと気軽に取り組んでもらえたらいいなと感じます。
尿失禁で困っている人が、「だれに相談したらいいのか?」と相談する事すらためらってしまう、そんな状況がありますがこれは解決すべき問題です。外国では実際に介入している部分でもあります。適切に評価してもらい、治療を受けている人も少ないのが現状ですね。
ーー今の法律だとリハビリテーションを提供することは出来ないんですか??
松谷先生:この4月から排尿自立指導料と言うのが病院で加算がとれるようになりました。詳しくはまだ確認できていないんですが、排尿ケアチームに理学療法士が関わっても良い。ということが記されているので、もしかするとこれから携わることが増えるかもしれません。
骨盤底筋エクササイズの研究からわかること
ーー先生が妊婦さんを直接見ることはありますか??
松谷先生:直接は見ていません。今は時間的に病院に行くことが難しいのと、妊婦さんが対象ですと、評価したいタイミングで妊婦さんと会えなかったりするので。妊婦さんは健診で来るのですが、日程変更することもあるため都合が合わないことがあるんですね。34週で来るはずの人が前の週に来たりすることがあるため、データがなかなか取れません。学校の授業の関係でデータを取れる日も決まるので、なかなかです。コンスタントに取れないので、妊婦さん対象の研究は今はやっていません。
環境が整っている他の人にお願いしています。今自分はどちらかと言うと高齢者のバイオフィードバックの治療(骨盤底筋ex)の効果を研究しています。
ーーバイオフィードバック療法の反応として、高齢者と若い人では違ったりしますか??
松谷先生:今している研究では比較的年齢の上の方が多いんですけど、接している感じだと、どこに骨盤底があってどのように力を入れたらいいのかわからないと言う人が多いですね。
ご自身の感覚で、力を入れる感覚を習得していくことが、高齢者と若い方では違うんじゃないのかなと思います。
目次
【第1回】ウィメンズヘルス分野に関わるきっかけは母
日仏ウィメンズヘルス合同学会のご案内
日仏ウィメンズヘルス合同学会
~日仏の理学療法交流~
主催:AICIR(Association Innovations et coopérations internationales en rééducation)
共催:ウィメンズヘルス理学療法研究会
日時:2016年9月1日(木)13:00〜4日(日)12:00
ホームページはこちらから
※合同学会の詳細についてはインタビュー第3弾でもお伺いしております。ぜひご確認ください。
松谷 綾子 先生経歴
【所属】・ 甲府女子大学 看護リハビリテーション学部 理学療法学科 講師
・ ウィメンズヘルス理学療法研究会 Japanese Organization of Physical Therapists in Women's Health (JOPTWH) 代表
キーワード
♯ウィメンズヘルス #理学療法士 #フランス