チリの住宅環境
チリの田舎では、写真のような住宅が多く見られます。段差もあり、すき間風が当たり前の住宅でトイレ・入浴設備は一緒のタイプがほとんどです。
チリの低所得者の家では、下の写真のようなシャワータイプで、椅子を置いて行います。ある程度の所得になると綺麗な内装になりバスタブがつく家庭もあります。
住宅の外観でおおよその生活の質の予想が立てられます。多くの方は、金銭的な理由で介助やバリアフリーのための、住宅改修が困難な家庭が多く、ある物で何とか対応します。
対応できない場合は、作ります。お金がなくても少しでも良くなるなら作ろうという発想があり、「その人の為なら」という愛があるのです。
それでも困難な場合は、家族・親戚・友人・近隣などの「人」の力で協力して援助をしています。
その絆な深さ故に、面倒を見る事を沢山して貰えると同時に、過介助をしている印象も受けますが、これもチリならではと感じてなりません。
日本と異なり、ありとあらゆる知恵と道具を使い、生活を支える為にリハビリ機器を作り、在宅生活を支えています。ここに、チリの家族愛と絆の深さを感じられます。
福祉サービスについて
チリでは、以下の福祉サービスが無料で受けられます。
・杖
・車椅子
・歩行器
・ベッド用耐圧分散マット
・座位用耐圧分散クッションなど
これらの貸与は、すぐに受けられるサービスになっており、医師・社会福祉士・セラピスト・看護師の評価と書類の元、市役所と相談をして無料で受けられるサービスになっております。
また、切断や特殊疾患の場合の対象者には、特別な手続きと書類提出もありますが、電気車椅子が貸与される事ができます。このように、チリでは日本の様に他職種と連携を取りある一定以上のサービスが受けられるのです。
これから残りの任期の中で...
チリは他の開発途上国に比べて中進国で恵まれている環境であると言えます。しかし、収入・地域格差の問題もありまだまだ、改善の余地はあります。
そんな中、チリに来て一番感じる事は、家族や親戚の愛や絆の深さです。人の温かさだと感じています。人々が協力して知恵を使って改善を図っています。
自分のことのように喜び・悲しむ姿があります。また、障害を隠すことはせず、本人・家族はオープンにしています。
日本ではお金・物で解決することが多いです。
決して、間違ってはいません。
ただ、人の温かさ・温もりは、より愛情や気持ちが伝わるのだと感じ、学ばさせて頂いているところです。
これから残り約8か月の任期の中で、人々の絆と愛と温かさを大切にしながら少しでも自分の経験や知識を作業療法の普及と人々の生活、作業がいい方向に行くように微力ながらお手伝いをしていきたいと思っています。
*目次
【Vol.1】チリの医療事情
【Vol.2】リハビリテーション教育の特徴
【Vol.3】リハビリテーションの対象者・セラピストの働き方
【Vol.4】リハビリテーションに関わる住宅環境・福祉サービス
池本英哲先生 経歴
1982年生まれ 埼玉県出身
健康科学大学卒
2008年 作業療法士免許取得
医療法人社団富家病院で作業療法士として、回復期リハビリテーション,療養型,特殊疾患病棟,透析,訪問リハビリテーション,デイケアなどの領域で7年勤務
現在:2015年3月より青年海外協力隊としてチリ共和国に派遣。作業療法の普及活動と啓発活動を行っている。
連絡先:Facebook 池本英哲 pond.book1026@gmail.com まで