ー 秋本さんのHEISEI KAIGO LEADERSの活動内容についてお話しを聞かせてください。
秋本さん HEISEI KAIGO LEADERSは、介護に志を持つ若手のコミュニティです。「2025年、介護のリーダーは日本のリーダーになる」というスローガンを掲げ、主に2つの活動を行っています。
1つは、「PRESENT」という学びの場です。次世代を担う私たちにとって必要な学びは何かを考え、毎回テーマを設け、素敵なゲストをお招きして開催しています。
もちろん介護技術や専門知識は大切ですが、私たちが求められているのは、それだけではないと思っています。
たとえば、地域包括ケアシステムを実現するために、地域コミュニティのつくり方を学んだり、限られたリソースでパフィーマンスを発揮するチームリーダーのあり方や、IT・テクノロジーの発展によってケアの仕方や自分たちの役割がどう変わるのかなどといったテーマでこれまで開催してきました。
そして学ぶだけではなく、実践にうつしていこうと取り組んでいるのが「KAIGO MY PROJECT(以下、マイプロ)」という想いをカタチにするプログラムです。
マイプロでは、それぞれが感じる違和感や課題意識、もっとこうしていきたいという想いをプロジェクトとして描きます。3ヶ月間で同時期にマイプロに取り組む仲間との対話を通じて深めながら、実践へと繋げていきます・
ー 他に取り組んでいる仕事について教えてください。
秋本さん 最近では、HEISEI KAIGO LEADERSの参加者も1000 人を越え、企業さんから若手の採用や定着に関するご相談を頂くことが増えてきました。例えば、先ほどお話したマイプロを、内定者向けのプログラムや、職員の研修として導入していただくこともあります。
他にも、行政が主催する合同就職説明会のプロデュース案件、商品開発や講演活動も行っています。
若手だからこそできること
ー 「HEISEI」とありますが、平成生まれ以外の方は入れないんですか?
秋本さん 今は、平成生まれ以外の方にも参加していただいています。20~30代前半がボリュームゾーンで、会によっては40代、50代の諸先輩方もお越し下さっています。
立ち上げた当初は、「平成生まれ」だけでした。介護現場でアルバイトをしていたときに、介護にやる気のない大人を見てうんざりして、やる気のある若手集めようと思っていました。完全に若気の至りですね。(笑)
ちゃんとした理由としては、同世代のつながりをつくりたかったのと、「教える・教わる」の関係をつくりたくなかったんですね。
当然、すでに活躍している先輩たちからは学ばなければいけないことはたくさんあります。しかし、一方的に教わってそれを鵜呑みにして実行するだけではダメだと思ったんです。
過去に類をみない高齢化に日本は直面しているからこそ、知識や経験が乏しい若手だからこその新しい発想が求められていると思っています。
ー 現場には出ることはありますか?
秋本さん 今は、現場に出ていません。現場は大好きです。介護福祉士や理学療法士みたいにその道のプロフェッショナルに憧れる気持ちもあります。私は何か1つの分野を極めていくことは苦手で、好奇心旺盛であれもこれもやりたくなってしまうので。現場をやりたい気持ちもありますが、より多くの人を幸せにするために、今働いている人たちがもっと活躍できる環境を私なりにつくっていけたらと思っています。
ー 秋本さんは、理学療法士や作業療法士に対してどのような印象をもっていますか?
秋本さん かっこいいですよね。HEISEI KAIGO LEADERSの運営メンバーにも理学療法士が1人いるんです。そのメンバーが先日地域のお祭りに参加して、腰が曲がっているおばあちゃんに声をかけて、身体のアドバイスをしたらしいんですね。そしたら「あんたそんなことができるのか!このばあちゃんも見てやって」と、そのおばあちゃんの知り合いを紹介されたそうなんです。
理学療法士の知識やスキルって、活かせる場は決して職場だけではなく、地域の住民としての自然な関わりの中で、必要なときに一気に距離を縮められる隠れた武器みたいで、羨ましいと思うくらいかっこいいなって、そのとき思ったんです。
きっと現場だけでなく、今理学療法士の力って至るところで求められていて、その能力を既存のサービスの枠を越えて提供できる人材が今後益々活躍するのではないかと思います。
人の可能性を愛せる人へ
ー HEISEI KAIGO LEADERSの今後の目標やビジョンについて教えてください。
秋本さん 明確にこれ!というのは言い切れないのですが、2025年に向け、HEISEI KAIGO LEADERSを東京に限らず、いろんな地域の介護に志を持つ若手に届けれたらと思っています。
これまでも実践して、その場で感じたことを常に問いながら、新しい活動を生んでは改善しての繰り返しだったので、今後実践する中でまた見えてくることもあると思いますが、人の可能性を信じる私たちだからこそ、自分たちの可能性にフタをせず、チャレンジしていきたいと思っています。
ー 最後に、秋本さんにとってプロフェッショナルとはなんですか?
秋本さん 難しい質問ですね。(笑)プロフェッショナルの答えにはなっていないかもしれませんが、名の通り、人の可能性を愛せる人になりたいと思っています。