筋肉の再生には、骨格筋の内在性組織幹細胞である「筋サテライト細胞」が重要な働きを持つ。この筋サテライト細胞は、筋繊維に損傷や伸張刺激が加わると、活性化し損傷部位の修復を行う。その細胞の体外培養に成功し、体外での骨格筋再生に成功したと報告された。
傷ついた筋肉の繊維を再生する「筋サテライト細胞」を体外で培養する方法を開発したと、東京医科歯科大や大阪大などのチームが12日、米科学誌ステム・セル・リポーツに発表する。
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筋サテライト細胞は、生体外に取り出すとすぐに筋分化を起こしてしまう為、培養や移植による生着が困難であった。
そこで、筋サテライト細胞が2種類のラミニンという細胞基底膜の構成分子であるタンパク質に覆われている事に着目。そのまま生体から分離し、培養皿上で別のラミニンと合わせて、骨格筋の組織発現を再現した結果、筋サテライト細胞を未分化のまま分裂,増殖する事に成功した。さらに、この培養法で増やした細胞を免疫不全や筋ジストロフィーに模したマウスに移植すると、筋繊維として定着し、組織再生に寄与する事も確認された。
筋サテライト細胞の移植が可能となった事で、筋ジストロフィー症などの難治性筋疾患やサルコペニアの根本的な治療法の確立が期待される。