外国語で書かれたテキストの日本語翻訳版は、ほとんど悪文のサンプル集【WCPTNewsを翻訳|水家健太郎先生】 #1

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はじめに

【国際的】、【グローバルな】、【世界の】、このような修辞に誰もが一度は憧れを抱いたことがあるでしょう。そして憧れを目標にし、精力的に活動している先輩たちを見て、「よし自分も!」と奮起する人もいれば、「凄いなぁ。自分にはできないなぁ」とどこかで線引きしている人もいるのではないでしょうか。

 

学生の方は日々の勉強や実習などで忙しいことだと思います。世界のリハビリテーションについて情報を集める暇なんてないですよね。そんなこと学んでも国家試験にでるわけではありません。実習にも役立ちません。「そんな事より担当患者の可動域の制限因子を考えてきたらどうだ」と言われるのが落ちです。

 

働かれている方は日々の業務や研修などで汗を流されているでしょう。世界のリハビリテーションについて情報を集める暇なんてないですよね。目の前の患者を良くすることに直接は結び付きません。日本のリハビリテーションの動向にも注目しないといけないので、海外の事は二の次でしょう。

 

世界とのつながり

 

「日本のリハビリテーションは進んでいる。昔は外国から学んでいたらしいが、今は外国が日本から学ぶべきだ」という意見があります。確かに日本の医療はリハビリテーションに限らず多くの分野で、世界をリードする実力があるでしょう。日本の医療法人が外国で開院することもあります。

 

医療系の青年海外協力隊は、それぞれの分野で日本の知識や技術を紹介し、派遣先で喜ばれています。今後も日本の医療をどんどん世界に輸出していくべきでしょう。

 

私も青年海外協力隊として開発途上国で理学療法を指導していた時期があります。日本で学んだ知識や技術を惜しみなく提供してきたつもりです。勉強会の開催や実技指導などを行い、現地のPT達は熱心に学んでいました。いろいろな事を教えてくれと頼まれて、私は準備をして指導し、人が育っていく場面に立ち会うことができました。非常にやりがいを感じました。

 

しかし、振り返ってみると、こちらから教えた以上に私は多くの事を教わりました。この感想は綺麗事ではなく、青年海外協力隊経験者のほぼ全員が同じように言うでしょう。それだけ、異文化に触れる影響力は大きいと言うことだと思います。

 

異文化に学ぶ

 

よく実習生の指導を初めて経験したセラピストが「スーパーバイザーになってみて、いろいろ新しい発見がありました」と言うのを耳にします。

 

急性期病院から回復期病院に転職すれば「今までと違った角度からも患者をみれるようになりました」と語ります。これらも、異文化に触れ自分自身が成長すると言う例だと言えるでしょう。実習指導をしたことがなければ経験できないこと、急性期にずっといたら気づかないことがあります。

 

テレビのニュースで、外国でテロが起こった、と知ったとき、私たちは日本が平和である事に気づくかもしれません。他の国が財政難になっているとニュースで聞けば、日本のお財布事情はどうなのか調べたくなるかも知れません。隣国の英語教育が凄いと言われると、日本はどうかと議論したくなるかも知れません。

 

知らない事を知ると、さらにその先を知ろうと言う欲求が生まれます。どんな事からでもいいのでインプットを増やすことが重要だと思います。私のおすすめは世界理学療法連盟(WCPT)から出ている様々な情報からのインプットです。

 

WCPTのウェブサイトには図表などを用いた分かりやすい資料が多く公開されています。英語がある程度できれば、今まで知らなかった世界がそこにあると気づくでしょう。

 

 

【WCPT News】 2017/7/3 専門分化は全人的医療の妨げになるか 

 学会参加者の活発な議論でPTの専門性についての未来像を描くことができました。専門性を高めることにより独自処方を行えるよう前に進んで行くことも視野に入れられました。

 

 専門職としての役割について議論するセッションでは、専門分化が進むと身動きが取り辛くなるのではないかと恐れる意見がありました。理学療法士は内向きで社会のニーズに縛られた専門分化ではなく、やってみたいことに挑戦していくべきではないでしょうか?

 

 イギリスの脊髄疾患専門のLaura Finucaneは専門分化が行き過ぎているとの見解を示しています。「私たちは'そんな事できません。私は専門家ですよ'と言った風潮を作ってはいけないと考えています。私たちは複雑に絡み合う問題点を広い視点から考え、全人的に患者を診る必要があります」と述べています。

 

 Laura Finucaneは、今の医学は総合医と専門医がいてどちらも同等の評価を得ていることから、理学療法もそういう流れになるのではないか、という会場の意見に反対の意を唱えました。全人的に患者を診るためには全体の20%が専門家となり、80%はジェネラリストであるべきだとLaura Finucaneは考えています。

 

 一方でそれは専門家の重要性を低く見すぎだという意見もあります。ドイツで健康的な生活習慣に関する専門家として働いているHans Hobbelenは、自分がジェネラリストであれば可能な限り、患者を専門家に紹介するよう努めるべきだと考えています。

引用:http://lily-international-cooperation.blogspot.jp/2017/07/wcpt-news-201773.html

 

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