先月26日、日本作業療法士協会 社員総会にて、作業療法士の定義 改定案が200/205票の賛成をもって可決された。以下は新定義である。
作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。
(註釈) ・作業療法は「人は作業を通して健康や幸福になる」という基本理念と学術的根拠に基づいて行われる。
・作業療法の対象となる人々とは、身体、精神、発達、高齢期の障害や、環境への不適応により、日々の作業に困難が生じている、またはそれが予測される人や集団を指す。
・作業には、日常生活活動、家事、仕事、趣味、遊び、対人交流、休養など、人が営む生活行為と、それを行うのに必要な心身の活動が含まれる。
・作業には、人々ができるようになりたいこと、できる必要があること、できることが期待されていることなど、個別的な目的や価値が含まれる。
・作業に焦点を当てた実践には、心身機能の回復、維持、あるいは低下を予防する手段としての作業の利用と、その作業自体を練習し、できるようにしていくという目的としての作業の利用、およびこれらを達成するための環境への働きかけが含まれる。(http://www.jaot.or.jp/science/gakujutsu.html)
日本作業療法士協会の学術部内にワーキンググループが設置されたのは、今から5年前の2013年。諸外国の作業療法の定義を調査し会員の意見募集した。その後、何度も議論・意見募集、草案の作成を重ね、5月の社員総会にて改定された。
1985年に定められた既存の日本作業療法士協会の定義は以下だ。
作業療法とは、身体又は精神に障害のある者、またはそれが予測される者に対し、その主体的な生活の獲 得を図るため、諸機能の回復、維持及び開発を促す作業活動を用いて、治療、指導及び援助を行うことをいう。
今回の改定は「健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域」で作業療法士が益々活躍していための、未来に繋がる一歩となったと言える。