変形性膝関節症は、多くの患者やクライアントが悩みを抱える疾患だ。
男女比は1:4で女性に多くみられ、60歳代の女性の約40%、70歳代の女性の約70%が罹患していると言われている。
そんな変形性膝関節症の発現要因の一つである"体重過多"との関係性が研究された。
今回紹介する最新の研究で「過体重や肥満の膝OA患者は、体重が減少するほど膝の痛みが軽減し、健康関連のQOL(生活の質)も向上する」ことが明らかになったという。
詳細を読む(引用元):Health Press
この研究は、米ウェイクフォレスト大学健康運動科学部門のStephen Messier氏らの研究グループにより行われた。肥満を伴う変形性膝関節症患者を対象に、食事療法と運動療法の有効性を検証するランダム化比較試験であるIDEA(Intensive Diet and Exercise for Arthritis)試験を実施。
18ヶ月にわたって調査された結果、体重を10%以上減量すると、膝の痛みが50%程度軽減し、関節可動域も大きく改善したと報告された。
さらに、このIDEA試験のデータを用いて、膝に痛みがある過体重または肥満の変形性膝関節症患者240人を対象に、減量の程度が痛みの軽減や健康関連QOLの改善に及ぼす影響を調べた。
体重の減少率ごとに5%未満、5%以上〜10%未満、10%以上〜20%未満、20%以上の4群に分け比較した結果、体重が減少するほど痛みが軽減し、関節機能の向上や6分間歩行距離や身体機能も有意に改善することも明らかになった。
20%以上減量した患者は、10%以上〜20%未満の患者と比べ、25%も痛みの軽減がみられたという。
他の報告では、体重が30%増加すると膝にかかる負担は、男性4.5倍、女性では4.9倍にもなるとも言われている。
どんな人でも関節には、慢性的な機械的負荷がかかる。その負荷を少しでも減らし長く関節を使えるように、いたわってあげることが重要だ。
詳細は『Arthritis Care & Research』(6月18日オンライン版)に掲載されている。