神戸大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌内科学部門の小川渉教授らの研究グループは、糖尿病で筋肉量が減少するメカニズムを世界で初めて明らかにした。
糖尿病患者は高齢になると筋肉が減少しやすいことが知られていますが、そのメカニズムはよく解っておらず、インスリンによる細胞の増殖や成長を促す作用が十分でなくなるため、筋肉細胞の増殖や成長が妨げられて、筋肉の減少に繋がるという仮説が提唱されていた。
小川教授らは、マウスを実験的に糖尿病にすると筋肉量の減少に伴って、転写因子であるKLF15というタンパクの量が筋肉で増えることを発見した。筋肉だけで、KLF15を無くしたマウスを作ったところ、このマウスは糖尿病になっても筋肉量が減らないことがわかった。つまり、糖尿病でKLF15の量が増えることが、筋肉減少の原因であることを示している。
また、糖尿病でどのようなメカニズムでKLF15が増えるかを検討した結果、血糖値の上昇がKLF15の分解を抑制し、KLF15が筋肉で蓄積することが解った。さらにKLF15の分解制御にWWP1というタンパクが重要な働きをしていることもつきとめた。
この研究成果は、2月21日に米国科学雑誌「JCI Insight」にオンライン掲載される予定だ。