順天堂大学大学院医学研究科スポートロジーセンターの染谷由希特任助教らは、大学卒業生(男性661名、平均55歳)の糖尿病罹患状況と在学時の体格との関連を調査したところ、青年期の体格が正常であっても、BMIが22㎏/m²以上あると、将来の糖尿病発症リスクが高まることを明らかにした。
▶︎ 青年期のBMIが22㎏/m²以上で将来の糖尿病発症リスクが高まる
本研究では、大学卒業以降に糖尿病の有無および糖尿病と診断された年齢を聴取し、また、スポーツ健康科学部に50年以上にわたり蓄積された体格や体力のデータから、大学在学時のBMIを算出し、大学卒業から糖尿病発症または調査研究までを追跡期間(27–36年) としたヒストリカルコホート研究を実施した。
大学在学時のBMIを4つの群(BMI21.0kg/m²未満、21.0-22.0kg/m²、22.0-23.0kg/m²、23.0kg/m²以上)に区分し、各群での糖尿病発症率を比較した結果、BMIが増加するにしたがって発症率が上昇していた。また、追跡期間を考慮して検討した結果、糖尿病の発症リスクはBMI22.0-23.0kg/m²から上昇していることが明らかになった。
以前より、日本人は欧米人と比較して、同じBMIであっても脂肪を皮下脂肪として蓄えられない、脂肪肝になりやすい、などといった脂肪分布の異常やインスリン分泌が低いことが指摘されている。これらの背景を踏まえると、青年期のごくわずかなBMI上昇がその後の糖尿病発症と関連すると推測される。