緊張感やプレッシャーを抑制的にコントロールし、課題の成績を向上させる脳内メカニズムが解明ー。
今月18日、高知工科大学総合研究所脳コミュニケーション研究センターの渡邊言也助教らの共同研究グループが発表した。
人は結果を意識してしまうと、パフォーマンスが始まる前からも緊張感やプレッシャーを感じ、結果的に練習と比べて上手に演奏ができないということがある。研究グループは緊張を乗り越える脳の仕組みを行動実験とfMRIを用いて検証した。
実験参加者22名にストップウォッチを使った課題に取り組んでもらい、参加者には実験初日に賞金なしで80回、成績が安定するまで練習をし、できる限り難しいレベルで課題をクリアできるようにトレーニングした。
練習の翌日、参加者はMRIの中で本番課題に取り組み(全80回)、本番では参加者に、「用意」のタイミングで試行ごとに50セントから40ドルの賞金額(およそ日本円で54円から4400円)が提示され、成功したらその賞金がもらえることを説明した。
参加者の生理的覚醒レベルは目の瞳孔のサイズを計測。この指標を使って、参加者に賞金額が提示されてからストップウォッチ課題を遂行する寸前の5.5秒間の覚醒レベルと脳活動を解析した。
研究の結果、人間が興奮や緊張を乗り越え、課題パフォーマンスを向上させるために、腹内側前頭前野が感情の中枢である扁桃体を抑制的にコントロールしていることを発見した。さらに、腹内側前頭前野から扁桃体への情報伝達がより強い人の方が、課題の平均成績が良いことが明らかとなった。