OTが病院から学校へ転職したとき、何が障壁になりうるか【松田 直子】

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JUST RIGHT CHALLENGE!

ー これまでの松田先生の経験を踏まえて、学校で作業療法士が働くのに大切なことってどんなところだと感じますか?

 

松田さん 「Just  Right Challenge」(最適な挑戦)という考え方は大切だと思っています。

 

子供は特にですが、人は新しいことを学習するとき、自分の能力より高すぎるとお手上げになってしまいますし、反対に自分の能力より低くてもつまらないのでやってもらえません。

 

自分の能力の少し上くらいの課題を提供することで、少しストレスを感じながらでもチャレンジして「できた!」という成功体験を得ることでできる、次に繋がると思っています。

 

学校は、病院と違って医学的には落ち着いている子供がくる場所ですので、今ある能力を最大限に使って、与えられた環境でいかに機能するか、そのためのチャレンジができるアクティビティを考えることがとても大事になってきます。

 

医療からの橋渡し

ー 病院の作業療法と比べると、どちらかというと医学的な見方よりも教育的な見方の方が大切になってきそうですね。

 

松田さん そうですね。私たち学校で働く作業療法士の役割は「医療からの橋渡し」だと思っています。

 

今後そのお子さんの身体がどう成長していくのか、どのようにサポートをしていけばいいのか、知識としてお伝えすることはありますが、医療的なアプローチを行うことはありません。

 

ハンドリングのような医療的なアプローチを望まれる場合は、病院や個人で開業しているプライベートクリニックで作業療法を受けます。少なくとも私の働く学校では学校作業療法の役割ではありません。

 

ー アメリカだと開業権が認められているからそういう役割分担もできるんですね。

 

松田さん むしろ、日本は開業が認められていないということを聞いて、驚きでした。アメリカでは、資格があって、各州での登録があれば、作業療法士だと名乗って開業することができます。

 

クライアントはそれぞれのニーズに合わせて、保険を使ってOTを受けたり、自費で受けたりと様々です。医師からの診断があればOTに対して保険が降りやすかったりしますが、必須ではありません。

 

基本的には、この様なプライベートクリニックには、発達障害で医学的には問題ないけれども、協調運動が苦手だったり、視空間認知能力が弱かったり、全体的に筋緊張が低緊張であったりするこどもたちを対象に感覚統合セラピーを行うところが多いです。

 

うちの近くだと大きいジムでクライミングの設備があるクリニックが人気です。小さいところでも、部屋に上からスイングツリーを吊って行っています。他にも栄養士が開業するクリニックでOTが摂食指導(Feeding Therapy)をしたりと、色々な形があります。

 

ー 自費でお金を払ってでも作業療法を受けたいというニーズがあるんですね。日本だとそもそもどんなことをするかもあまり認知されていないように思います。

 

松田さん 親も、意識が高くて作業療法の効果も分かっているので、保険外でも受けに来るんです。

 

むしろがそれが学校で働く作業療法士にとっては悩みの種で、こちらはもう作業療法がいらないと言っても、親から「もっと作業療法をやってほしい」とお願いされて、なかなか卒業させてあげられないということもあります。

 

医療の壁

 

ー 現在病院で働く作業療法士が学校領域に移ったときに、どんなところに注意すればいいでしょうか?

 

松田さん 学校の先生と共通言語を使ってコミュニケーションを取ることがとても大事だと思います。「私は医療従事者です」という気持ちが強いと、先生になかなか受け入れてもらえませんし、学校の先生の協力がなければ子供達の成育を促せません。

 

例えば、今、アメリカの学校では「Frexible seating」がちょっとしたブームです。椅子の代わりにバランスボールに座ったり、色んなタイプの椅子に座って授業を受けています。

 

しかし、このコンセプトは、作業療法領域では「Alternative Seating」という言葉で、ずっと昔からありました。

 

作業療法士が学校に勧めるとき、「これをやると姿勢が良くなります!」とか、「ADHDの感覚的なニーズに答えられます!」とか機能的に伝えてしまうと、医療の壁を作って敬遠されてしまいます。

 

先生への伝え方だけでなく、介入の仕方自体も「教育モデル」もしっかりと理解して、「医療モデル」の考え方からOT自身が切り替えるのがとても大事だと思います。例えば、脳性麻痺による片麻痺の生徒さんに対して、医療モデルでは機能の低い方の手を積極的に治療するかと思いますが、教育モデルでは今ある手の機能をいかに使って、学校生活を送っていくか、そのために必要な環境作りやテクノロジー(パソコンなど)は何かというアプローチをしていきます。
 

ー 最後に、日本の作業療法士に対して、何か伝えたいことがあればなんでも仰ってください。

 

松田さん 自分の今の仕事を大切にしながらも、もっと世界に視野を広げてほしいなと思います。「Think globally, act locally」(「グローバルに考え、ローカルに行動する」)という言葉があります。

 

英語が読めたら、文献もサイトもたくさんの情報にアクセスすることができますし、いろんな世界に触れることができる。日本もどんどん多様化してきていて、交通手段も発達してきているので、そのうち海外の人があなたの作業療法を受けに来ることがあるかもしれません。

 

もっとオープンマインドで、いろんなことを吸収していって欲しいなと思います。そのためにはまず、自分と自身を形成した文化を知って欲しいというのが、私からのメッセージです。

 

松田先生も登壇!参加無料です⬇︎

【日時】 5月30日(土) 21:00~22:30

【参加費】無料 ※セキュリティーの関係上、POSTの会員登録(無料)が必要になります。

【定員】95名

【参加方法】ZOOM(オンライン会議室)にて行います。お申し込みの方へ、後日専用の視聴ページをご案内致します。

▷ 申し込みはこちら

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OTが病院から学校へ転職したとき、何が障壁になりうるか【松田 直子】
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