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パターン別Duchenne歩行のアプローチ

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皆さん、こんにちは。理学療法士の宮嶋 佑です。Duchenne歩行のパターン分けの詳細については、 前回の記事をご参照下さい。

骨盤は、

①骨盤傾斜型

②骨盤移動型

③Trendelenbulg+Duchenne型

④骨盤静止型

の4つに分かれると説明し、

体幹は

⑤体幹側屈型

⑥体幹平行移動型

⑦体幹静止型

の3つに分かれると説明しました。このうち、③はTrendelenburgとして扱った方が良い為、④は、あまり臨床で見かけない為、⑦は、体幹に対する治療の必要がない為、説明を省きます。そこで今回は、

骨盤傾斜型、骨盤移動型

体幹側屈型、体幹平行移動型

のDuchenne歩行に対するアプローチについて説明していきます。

骨盤傾斜型

骨盤傾斜型は、脚長差を有する人がほとんどです。皆さんご存知の通り、脚長差には"構造的脚長差"と"機能的脚長差"があります。構造的脚長差に対して、理学療法士が出来る事は靴の補高を検討することです。1cm程の脚長差であればインソールに補高する事が出来ますが、2cm以上であれば義肢装具士さんに依頼するのが良いでしょう。

図(インソールへの補高)

機能的脚長差に対する治療は、理学療法によって改善出来る可能性があります。Duchenne歩行に繋がりやすい機能的脚長差として、

1,短縮側の膝関節屈曲拘縮

2,延長側の足関節底屈拘縮

が挙げられますので、関節可動域を評価します。実際に評価する際の注意点として、膝関節伸展は、股関節中間位で足関節背屈位で評価し、足関節背屈は膝関節伸展位で、評価して下さい。特に膝関節伸展は股関節屈曲位と伸展位で可動域が大きく変化することもあるため、歩行の事を考えて評価しましょう。

骨盤傾斜型の運動療法

図 骨盤傾斜型の運動療法

跛行が生じる側の足を足台等に乗せて高くします。次に反対の足を浮かせて、ゆっくりと地面に降ろしていきます。この際に、跛行が生じる側の膝関節が曲がらないように注意します。反対側の骨盤が下制していく事で、中殿筋の遠心性収縮を促します。

骨盤移動型

骨盤移動型は、内転制限によって骨盤の同側移動が制限されているものだけでなく、疼痛や荷重に対する恐怖から生じている事が多いです。よってまずは、疼痛による跛行か?恐怖による跛行か?の評価方法を説明します。

疼痛による跛行かどうかの評価方法

非常に単純な評価ですが、跛行を正そうと骨盤を同側移動させた際に疼痛が生じるかを確認します。股関節の外側部に疼痛が生じれば、"痛いから跛行になっている"と評価する事が出来ます。疼痛が生じなかったり、そもそも骨盤の同側が出来ない場合は、疼痛が跛行の原因にはなっていないと評価出来ます。疼痛が原因で跛行が生じている場合は、"疼痛に対する治療"が優先され、跛行は正さない事が鉄則になります。

荷重への恐怖が原因かどうかの評価方法

平行棒など何か掴まれる場所で行います。患者さんに指2本だけ支えてもらって歩行を行ってもらい跛行の改善が得られるかどうか?を評価します。これは、「さすがに指2本で支えただけでは、筋力不足は補えないだろう」という考えを元に、”跛行が筋力によるものなのか?”をみています。なので股関節筋力低下などが原因で生じている人は、指2本で支えただけでは何も変わりませんが、恐怖心が原因で生じている場合は、跛行が改善します。

 

恐怖による跛行であった場合、治療としては段階的に負荷量を調整していく事が非常に大切となります。評価で行った指2本で支えれば跛行が生じないケースでは、指2本で支えながら歩行訓練を沢山行います。本人が自信が着いてきたら徐々に指を離して行っていくと上手くいくケースが多いです。

運動療法①

壁の近くで、跛行側が壁を向くように立ちます。壁と骨盤の間に少しだけ隙間が空くようにします。そこから骨盤を壁側に移動させ、壁と骨盤が触れるようにします。壁と骨盤が触れたまま離れないように、反対側の足を挙げるように指示します。

図 骨盤移動型の運動療法

インソール

内側アーチ部分を高くします。コツとしては、立脚初期でDuchenne歩行が生じる場合は載距突起~内側楔状骨を立脚後期でDuchenne歩行が生じる場合は内側楔状骨~第一中足骨を高くします。

図 Duchenne歩行へのインソール

体幹側屈型の治療

体幹のストレッチ

体幹側屈型は、胸椎の側屈が多く生じている為、胸椎を反対方向にストレッチします。

図 体幹側屈型のストレッチ

胸椎の可動性改善には肋骨の可動性向上が重要になります。よって、胸椎の側屈ストレッチを行う際には深呼吸も合わせて行います。

運動療法

立位で、側屈が生じている方向の上肢を挙上します。そこから更に「脇を外側に移動させてください」と指示すると、体幹の側屈が生じなくなります。

図 体幹側屈型の運動療法

その状態で、足踏みや歩行訓練を行い、側屈しない歩行を学習していきます。

平行移動型の治療

体幹のストレッチ

平行移動型は、腰椎と胸椎が逆方向に側屈しています。例えば、体幹が右に平行移動している場合は、腰椎の右側屈と胸椎の左側屈が生じています。よってストレッチも腰椎と胸椎でそれぞれ逆の方向にストレッチします。

図 平行移動型のストレッチ

運動療法

立位で行います。平行移動している方向と逆方向に向かって上肢をリーチしていき、体幹の反対移動を促します。

図 平行移動型の運動療法

いかがでしたか?もし、この記事をご覧いただけた後にDuchenne歩行の患者さんを担当する機会がありましたら、是非パターン別の治療法を試していただければと思います。

THA術後の理学療法3つの課題

前回TKA術後理学療法の講習会は大人気となり、アンケートでも特に要望の多かったTHA術後理学療法についてお話しいただきます。宮嶋先生は、全国的にみても非常に多くのTHAを行っている病院に勤務した経験があり、これまで400例以上のTHA術後患者さんを診てきました。THA術後の理学療法で重要となってくるのが、

(1)脱臼に対する対応
(2)脱臼させずに屈曲可動域を向上させる事
(3)跛行に対する治療

だと思います。今回は、その3つについて徹底的に深く且つわかりやすく解説したいと思います。今回のセミナーに参加して頂くと、

・脱臼についての不安が軽減し、自信を持ってADL指導が出来る
・脱臼におびえずに屈曲可動域を向上させられる
・しっかりとプロトコール通りに退院させることができ、医師や上司に信頼される
・「歩き方が綺麗になった」と患者さんに喜んでもらえる

といったことが出来るとようになります。

*1週間限定のアーカイブ配信あり。

プログラム

(1)THAの脱臼について徹底解説
・THAはそもそも何故脱臼するのか?
・脱臼しやすいTHAの条件(侵入方法、カップの前開き、外開き、骨頭径)
・知らないと危ない骨盤と大腿骨前捻角の影響
・脱臼予防方法について

(2)THA後屈曲可動域の改善方法
・脱臼しない股関節屈曲可動域訓練
・股関節屈曲の3大制限因子
・人工関節特有の曲げ方とは?

(3)THA後に多い跛行への評価・治療
・反り腰歩行への評価・治療
・デュシェンヌ歩行への評価・治療
・疼痛への恐怖が強い人への対応

講師:
Confidence代表
宮嶋 佑(理学療法士)

概要

【日時】 7月30日(日) AM10:00~12:00
【参加費】3,300円
【定員】50名 
【参加方法】ZOOM(オンライン会議室)にて行います。お申し込みの方へ、後日専用の視聴ページをご案内致します。

お申し込み▶︎https://tha-physicaltherapy.peatix.com/

パターン別Duchenne歩行のアプローチ

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