運動麻痺が軽症ながら歩行速度が遅い症例は、歩行時の不安定性や下腿筋の同時収縮,大脳皮質からの過剰な干渉が原因であることが分かったー。 畿央大学大学院 博士後期課程水田 直道氏と森岡 周教授らは、Scientific Reports誌に報告した。
▶︎ https://www.kio.ac.jp/nrc/press_20200716
脳卒中患者の歩行速度は、日常生活能力や生活範囲を担保する重要な要因だが、下肢の運動まひの重症度に強く影響されている一方で、運動まひが軽症であっても歩行が遅い症例が存在すると考えられており、運動まひの重症度が歩行速度に関係していないといった乖離している症例が一定数存在している。
水田氏らは、運動まひの重症度と歩行速度の関係性から、クラスター分析を用いてサブグループを特定し、「運動麻痺が軽症ながら歩行速度が遅い症例の歩行特性」を明らかにした。この特徴的なグループにおいては、歩行時における不安定性や下腿筋の同時収縮が高値であることが分かった。
加えて、大脳皮質からの干渉を反映する筋間コヒーレンスが高く、運動まひの重症度からみても過剰な皮質制御が歩行速度を低下させていることが考えられた。