~ 全人工膝関節置換術後患者の歩行機能改善にむけて~膝伸展「速度」が重要な要因であることが明らかに

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<本研究のポイント>

・全人工膝関節置換術後の歩行機能と膝伸展速度の関係に着目した初の研究

・歩行機能は、膝伸展「筋力」よりも膝伸展「速度」が大きく影響していることが明らかに

・効率的な歩行改善のための新たなリハビリテーションプログラムの開発に期待

<概要>

大阪公立大学大学院 リハビリテーション学研究科の岩田 晃教授らの研究グループは、変形性膝関節症の治療で全人工膝関節置換術を受けられた高齢者 186 名を対象に、手術前、手術後2週間/3週間に、無負荷の膝伸展速度、膝伸展筋力、疼痛、歩行機能等を計測し、歩行機能に対する各項目の影響度合いを比較しました。

これまで術後の歩行機能には、膝伸展を行う大腿四頭筋筋力の影響が大きいと考えられてきましたが、筋力が回復しても歩行機能が改善しないケースも多く、別の要因特定が必要と考えられてきました。

そこで本研究では、全人工膝関節置換術後の歩行機能と膝伸展速度の関係に着目し、歩行に与える影響を比較した結果、手術側膝伸展速度と非手術側の大腿四頭筋筋力が重要な要因であることが明らかになりました。

変形性膝関節症の患者の多くは、痛みやそれに伴う歩行障害を改善するために全人工膝関節置換術を選択をします。そのため術後の歩行機能改善は、高齢者の QOL(生活の質)においても重要な課題です。

本研究成果は、2022 年 11 月 22 日に米国科学誌「PLOS ONE」にオンライン掲載されました。

研究者からひとこと

人工膝関節の手術を受ける患者さんにとって、歩行機能の改善は非常に重要です。本研究によって、筋力だけでなく「膝を速く動かすこと」が歩行機能の改善に重要であることが明らかになりました。この結果は「速く動かすこと」に焦点を当てた「新たなリハビリテーション方法の開発」に繋がります。岩田 晃 教授

■掲載誌情報

雑誌名: PLOS ONE

論文名: Maximum knee extension velocity without external load is a stronger determinant of gaitfunction than quadriceps strength in the early postoperative period following total kneearthroplasty

著者: Akira Iwata, Yuki Sano, Hideyuki Wanaka, Shingo Kobayashi, Kensuke Okamoto, JunYamahara, Masaki Inaba, Yuya Konishi, Junji Inoue, Atsuki Kanayama, Saki Yamamoto,Hiroshi Iwata

掲載 URL: https://doi.org/10.1371/journal.pone.0276219

<研究の背景>

全人工膝関節置換術(TKA)は、主に加齢と共に進行する変形性膝関節症に対して最も一般的に行われている手術です。この手術は、除痛や関節可動域の回復などに効果が認められますが、歩行機能の改善が十分でないことがあります。手術後のリハビリテーションでは、膝伸展(大腿四頭筋)筋力に焦点が当てられますが、膝伸展筋力と歩行機能の回復にはギャップがある症例が多いことから、他の要因が関与している可能性が考えられます。そこで、本研究グループは筋パワーと運動パフォーマンスの関係から、膝伸展速度が TKA 術後患者の歩行機能にとって重要な要因であるとの仮説を立て、その検証を行いました。

<研究の内容>

大阪府下の急性期病院4施設で、TKA を受けた患者 186 名(平均年齢 75.9 歳、男性 43名、女性 143 名)を対象としました。測定は手術前、手術後 2 週間、手術後 3 週間の各時期に行い、測定項目は歩行機能(歩行速度・TUG)、膝伸展角速度、膝伸展筋力、膝関節可動域、痛み(VAS)としました。

膝伸展角速度は図1に示すように治療用ベットの端に座り「できるだけ速く膝を伸ばして下さい」との説明を行い、ジャイロセンサーで無負荷での最大角速度を計測しました。

統計解析として、歩行機能とその他の項目の関係について、どの項目が歩行機能にとって重要であるかについて重回帰分析を行いました。その結果、手術側の膝伸展速度が最も重要であるという結果が得られました。

<今後の展開>

TKA 術後の歩行機能回復を目的としたリハビリテーションでは、筋力の改善を目的としたトレーニングが中心に実施されていますが、本研究の結果に基づくと、下肢を素早く動かす能力(膝伸展速度)を向上させることを目的としたリハビリテーションが有効である可能性が示唆されます。今後の研究では、運動速度に焦点を当てたリハビリテーションの効果について検証を重ねていきたいと考えています。

<資金情報>

本研究は、科研費(20K11162, 立位姿勢のタイプ分けに基づく歩行速度の規定要因分析および介入プログラムの開発)の対象研究です。

詳細▶︎https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-03226.html

注)プレスリリースで紹介している論文の多くは、単純論文による最新の実験や分析等の成果報告に過ぎました。 、さらに研究や実験を進める必要があります。 、専門家の指導を受けるなど十分に配慮するようにしてください。

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Yoko
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