それ「靴の履き方」が原因かもしれません:
セラピストの皆さん、歩行能力の改善のために日々リハビリをしている中で、徒手療法や運動療法、インソールなどを頑張って介入したのに、歩行がなかなか変わらないことってありませんか?
それ、もしかしすると靴の履き方に問題があるかもしれません!
実は靴の機能は足部を保護するだけではなく、足部の機能をサポートする役割があります!
つまり靴が正しく履けていない状態は、足部が靴の中で安定せず、せっかく行った介入の効果を半減させてしまっている可能性があるかもしれません。
今回は、すぐに実践できる靴の正しい履き方をお伝えしていきます!
・靴の機能を最大限に活かしたい
・患者さん、利用者さんの歩行やパフォーマンスをよくしたい
・靴を履いて歩くと膝や外反母趾が痛い患者さんをよくしたい
こんな悩みを持った方は必ず最後まで読んでください!
<正しい靴の履き方解説動画>
正しい履き方① 踵をヒールカウンターにおさめる:
前回の記事や動画でも解説しましたが、靴の踵部分(以下、ヒールカウンター)に踵をおさめることは、歩行を安定させるために非常に重要です。
まだ前回の記事をみていない方はこちらからhttps://1post.jp/7506
よくつま先でトントンする方も見かけますが、あれは間違いですので注意してください!
この時、非荷重にて足関節は底背屈0°の状態で行います。
理由は2つあります。
①ヒールカウンターに踵をおさめた状態を保持するため
②足の幅を広げないため
まず①については、足底を床につけてしまうと、足部が靴の前方へ移動してしまう可能性が非常に高く、ヒールカウンターと踵のフィット感が低下してしまいます。これでは靴の機能を最大限に活かすことはできません!
次に②についてです。
歩行周期において足部の状態は変化していきます。立脚期では荷重位であり、足の幅(以下、足幅)は広がっていきます。反対に遊脚期では非荷重となり、足幅は戻っていきます。
つまり荷重位で靴を履いてしまうと足幅が広がった状態であり、この後の紐を締めていく際に、紐の締まり具合が緩くなり、アーチ機能を十分にサポートできない可能性があります。特に加齢や変形などによりアーチ機能が低下している場合、足幅の影響を受けやすいため注意が必要です。
セラピストはフィッティングする場合は下の写真のように膝を足底に入れるとやりやすいです。
正しい履き方② 紐はきついくらい締める:
紐を締める理由は2つあります
①靴と足のフィット感を高める
②足部の内在筋を働きやすい状態にする
まず靴と足のフィット感を高める理由としては、足部のアーチ機能をサポートするためです。
前項で説明したように、歩行中の立脚期と遊脚期では足幅が増減します。特に外反母趾や扁平足などがある方は、この増減が大きくなりやすい傾向があります。
もし靴紐がしっかり締められていない場合、靴と足部の間に空間が生まれ前後左右に足部が動き、その不安定さを補うために代償動作や過用、誤用などが生じてしまいます。
その結果、痛みの増悪や変形などに繋がってしまう可能性があります。
また紐を締めることで側面からの安定性が増すことで、結果として足部のアーチ機能をサポートすることにつながります。1)
次に足部の内在筋を働きやすい状態にする理由としては、足部の3つのアーチ機能に重要な筋をサポートし、歩行の安定性と推進力を作り出すためです。
アーチ機能の代表的なものは、ウインドラスメカニズム、トラスメカニズムがあります。
足部は3つのアーチ機能が適切に働くことで、2つのメカニズムにより、推進力と衝撃吸収の役割を果たしています。
これらが破綻すると、扁平足や外反母趾、足底腱膜炎など様々な変形や症状が出現します。
皆さんも臨床でこのような状態の方をよく目にすると思います。
またアーチ機能をみる上では外せないのが、母趾外転筋と小趾外転筋です。
母趾外転筋は推進力、小趾外転筋は側方支持に重要な役割を果たしています。
実際に下の動画を見ていただけると、軽く触るだけでこれだけ動きが起こるということは、靴紐を締めることで側方や足底から圧がかかり、筋が働きやすい状態を作ることができることが想像できると思います。
<母趾外転筋・小趾外転筋の動き動画>
私たちリハラボの理学療法士は日々の臨床で、外反母趾や足底腱膜炎などがある人は靴紐をしっかり結ぶことで、悪化の防止や改善につながることを多く経験しています。
そしてオーバーサイズの靴を履いている人や足が細い人、スポーツをしている人も紐を結ばないことのデメリットを強く受けます。
これらの理由から靴紐を締めることの重要性は理解していただけたかと思います!
ここからは実際にシューホール(紐を通す穴)の、どの場所を締めていけばいいかを解説していきます!(今回は6個シューホールがある靴で解説していきます)
そして締めていく前に必ず捻れがないかを確認してください。
それではまず下から1~2番目は軽く締めます。
きつく締めすぎると、ちょうどMP関節を圧迫してしまい、違和感や痛み、たこ、可動域制限などを生じてしまいます。
また外反母趾がある場合は痛みや違和感が強まることもあるので、注意してください。
3~5番目はきつく締めていきます。
ここは足部の内在筋が多くあり、上記でも解説したように靴紐が筋の働きをサポートし、アーチ機能を高めてくれます。
最後の6番目は、足関節の前方に足背動脈や神経などが走行しているため、圧迫しすぎてしまうと、痛みや違和感、痺れなどにつながってしまうので優しく締めてあげてください。
正しい履き方③ 紐は上から下へ通す:
最後は靴紐の通し方です。
シューホール(紐を通す穴)へ靴紐を通す時、買ったままであったり、適当に通していませんか?
紐は靴と足のフィット感を高めるために、非常に重要な役割を果たしていることは、上記でご理解いただけたと思います。
紐は緩みにくく、フィット感を損なわないことが重要です。
そのためには、シューホールへの紐の通し方が重要になってきます。
紐の通し方には「オーバーラップ」と「アンダーラップ」があります。
オーバーラップは下の画像の左側のように、シューホールへ紐を上から下へ通すことをいいます。
反対に、アンダーラップは下の画像の右側のように、シューホールへ紐を下から上へ通すことをいいます。
どちらがよりフィット感を高めるかというと、「オーバーラップ」です!
実際にやっていただくとわかりますが、靴と足のフィット感に違いがあると思います。
また紐の緩みにくさもオーバーラップの方があり、さらにシューホールを靴のベロ部分に押し付けてくれるため、さらに靴と足部のフィット感をましてくれます。
全ての紐をオーバーラップにすることがベストではありますが、一番上だけでもオーバーラップにするだけでも、靴と足のフィット感は増します。
いかがだったでしょうか?靴の奥深さと重要性を理解し、靴への興味が沸いたのではないでしょうか?
まだまだ基本の内容ですが、より深く知りたい方は定期的に情報も流していきますので、本記事の最後にあるリンクから公式LINEへの登録もお待ちしております。
ぜひ、本記事や動画の内容を繰り返し、実践していただき、日々の臨床へ活かしていただけたらと思います!
参考文献:
1)Butler, R. J., Hamill, J., & Davis, I. (2007). Effect of footwear on high and low arched runners’ mechanics during a prolonged run. Gait & Posture.
リハラボBayWalkingでは靴とインソールを学べます:
リハラボBayWalkingでは、社内勉強会を毎月開催しており、日々技術や知識の向上に取り組んでいます。また臨床だけでなく、講演会やイベントでも靴やインソールの相談を行う機会が多く、知識や技術をアウトプットし、高めることができる環境があります!
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