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変形性膝関節症に対するリハビリテーション ~機能的な膝関節の獲得:患部へのアプローチ~

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膝関節は、日常生活で歩行や階段の上り下りなどに多くの負担がかかるため、加齢や体重増加により変形性膝関節症(膝OA)が発症しやすくなります。今回は、リハビリテーションの観点から膝OAの患者に対する具体的な介入方法を解説し、機能的な膝関節の獲得を目指すための効果的なアプローチについてお伝えします。

機能的な膝関節の獲得に向けたリハビリテーション

機能的な膝関節の獲得とは、安定性と可動性を兼ね備えた膝関節を取り戻すことです。膝OAのリハビリテーションにおいて、単に痛みを抑えるだけでなく、膝関節が負担なく日常動作を行えるように機能回復を目指すことが重要です。このためには、膝関節周辺の筋力強化や柔軟性の向上、さらに正常な運動連鎖の再教育が必要です。

正常歩行と膝OAの症例

膝OA患者の歩行分析において、正常歩行との差異を把握することが重要です。歩行では「軸足」と「蹴り出し脚」の役割が異なり、それぞれに適した運動連鎖が必要です。正常歩行では、内旋パターンと外旋パターンという2つの運動連鎖が連続的に繰り返され、膝関節がスムーズに機能するための重要な要素となっています。

1.軸足における内旋パターン:初期接地からミッドスタンス(立脚中期)まで、軸足では下肢が内旋方向に動き、距骨下関節が回内、脛骨および大腿骨が内旋します。これにより、膝関節が安定し、体重支持が可能な安定性が確保されます。膝OA患者では、この段階で内旋が不十分だと初期接地で痛みが生じやすくなります。

2.蹴り出し脚における外旋パターン:ミッドスタンスから蹴り出しにかけて、蹴り出し脚では下肢が外旋方向に動き、距骨下関節が回外、脛骨および大腿骨が外旋します。この動きにより、膝が進行方向に推進力を発生させ、歩行の効率を高めます。膝OA患者では、蹴り出しの際に膝が伸展しにくい症例が多く、外旋不足が影響している可能性が考えられます。

患部への具体的アプローチ:内反モーメントと膝への負荷

膝OAの進行には「膝関節内反モーメント(KAM)」が関与し、膝の内側に過度の負荷がかかり症状が悪化します。これを軽減するため、患部である膝関節に対しての個別のアプローチが求められます。

◯体幹の側屈:右足に体重をかける際、体幹を同側に側屈させてKAMを軽減。

◯体重減少:膝への負荷軽減には体重管理も重要です。

◯脛骨の内旋の促進:初期接地時に脛骨の内旋が確保されるように訓練を行います。

関節面と半月板の役割

膝関節の安定性には、脛骨と大腿骨の接触面の形状および半月板の構造が深く関わっています。

◯脛骨の関節面:脛骨の内側は凹面をしており、大腿骨の内側顆の凸面と安定的に噛み合う構造です。これは、膝関節の内側が外側に比べてより安定性を保ちやすい要因となります。対照的に、脛骨の外側はフラットもしくは凸面で、接触する大腿骨外側顆の動きに対して不安定であり、可動性が高い構造となっています。この構造により、内旋時には内側の安定性が強調され、外旋時には外側の可動性が活用されることになります。

◯内側と外側の半月板:内側半月板は、関節包や内側側副靱帯(MCL)と強固に連結しており、その可動性は限られています。このため、内側の安定性がより高く、屈曲時に膝関節が安定した動きを維持できます。対照的に、外側半月板は関節包や外側側副靱帯(LCL)と連結していないため、可動性が高く、膝の動きに柔軟に対応できる特徴を持ちます。この動きの違いが、膝OA患者の外旋時に不安定さを引き起こしやすい要因となるため、治療の際には外側半月板の動きを評価し、不安定性がどの程度かを確認することが大切です。

◯メディアルピボットモーション:荷重下での大腿脛骨関節の動きを見た場合、内側の脛骨上での大腿骨の動きは比較的少なく、外側の脛骨上では約2倍の可動範囲が確認されています。このため、膝OA患者において内外側での動きの違いを意識し、関節の不均衡を調整することがリハビリテーションの重要なポイントです。

これらの解剖学的特性は、膝OA患者の治療計画の立案において重要な役割を果たします。膝OA患者の関節運動を促進し、内側と外側の動きを適切に評価することで、症状の緩和が期待できます。

リハビリテーションの実践と効果的なアプローチ

リハビリテーションの具体的なアプローチでは、筋力や柔軟性の向上に加えて、関節の動きの評価が欠かせません。膝OA患者の多くが膝の前後動が制限されており、症状の進行とともに関節の接触位置が変わりにくくなります。膝の安定性を高める運動や、関節の動きを改善する治療アプローチを適切に導入することで、症状の緩和が期待できます。

膝OA患者にとって、リハビリテーションは痛みや機能低下を予防し、日常生活の質を高めるための重要な手段です。関節面や半月板の構造、内反モーメントへの対策を考慮し、患部の個別ニーズに応じたアプローチを行うことが、機能的な膝関節の獲得へとつながるでしょう

▶︎▶︎踏み出し脚・蹴り出し脚の動的評価

変形性膝関節症に対するリハビリテーション ~機能的な膝関節の獲得:患部へのアプローチ~

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