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下腿過外旋における原因、評価、治療法~膝関節疾患に向き合うための理論と実践~

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膝関節疾患に関連する「下腿過外旋」は、膝OA(変形性膝関節症)や半月板損傷などの膝の痛みや機能障害の主要な要因となることがあります。この状態を放置すると、膝関節における不安定性が増し、関節の変形や症状の進行を招く可能性があります。本稿では、下腿過外旋の原因、評価方法、治療法を深く掘り下げ、膝疾患への理解を深めるための知識を提供します。

下腿過外旋が引き起こす影響

下腿過外旋は、膝関節に過剰なストレスをかけるため、以下の組織に痛みを引き起こすことがあります。

• 膝蓋下脂肪体:外旋による過剰な圧迫で炎症が生じやすい。

• 膝蓋腱・膝蓋支帯:膝蓋骨の外側偏位による牽引ストレスが増加。

• 内側側副靱帯:膝の外旋が進むと、内側靱帯が伸長され痛みが発生する。

• 半月板:特に内側半月板が捻れや衝突による損傷を受けやすい。

• 半膜様筋、膝窩筋:膝の後方安定性に寄与するこれらの筋が過剰に緊張しやすい。

• 伏在神経・鵞足:外旋による牽引や圧迫で痛みが誘発される場合がある。

これらの組織は下腿過外旋による影響を受けやすく、

適切な評価と治療を行うことで症状を緩和できる可能性があります。

下腿過外旋の原因

1. 筋力バランスの乱れ

下腿過外旋を助長する筋肉には、大腿二頭筋や腸脛靱帯が挙げられます。これらは膝の外旋を引き起こす力を持ち、過剰に緊張すると膝関節に不均等な負担をかけます。一方、膝窩筋や半膜様筋など内旋を助ける筋肉が弱化していると、外旋の傾向がさらに強まります。

補足:大腿二頭筋と腸脛靱帯のストレッチ不足や硬さが長期間続くと、外旋傾向が慢性化し、関節面への摩擦が増加するため、膝関節の損傷リスクが高まります。

2. 股関節の影響

股関節の外旋可動域や外旋筋群(大殿筋、中臀筋後部線維、外旋六筋など)の筋力が不足すると、膝が内側に入りやすく(knee in)、結果として下腿が過外旋します。特に、大腿骨の前捻角が増加している患者やX脚を呈している患者では、股関節の可動域改善や筋力強化が重要な介入点となります。

3. 足部の異常運動

足部の回外や内側縦アーチの低下も、脛骨の外旋に影響を与えます。距骨下関節の回外による運動連鎖が膝関節の動きに影響し、特に足部の支持基盤が不安定な場合には脛骨の外旋が助長されます。

4. 関節アライメントの不良

「knee in toe out」の姿勢は、大腿骨の内旋と足部の外旋が組み合わさり、結果的に脛骨の外旋を引き起こします。このようなアライメント不良が継続すると、膝関節の負担が増加し、関節構造の変形を促進します。

下腿過外旋の評価

膝関節過外旋の評価は、膝を完全伸展位だけでなく、屈曲位でも行うことが重要です。

◯90度屈曲位での評価

• 正常な膝では、脛骨粗面が膝蓋骨の中央の真下に位置します。

• 外旋が生じている場合、この位置が外側に偏位します。

◯完全伸展位での評価

• 正常な膝では、脛骨粗面が膝蓋骨中央の真下から一横指外側に位置します。

• 過外旋の場合、外側偏位がさらに大きくなります。

これらの評価基準を用いることで、下腿過外旋の程度を視覚的かつ定量的に把握することが可能です。

膝関節の構造と屈曲時の動き

膝屈曲時、大腿骨外側顆は内側顆に比べて脛骨顆後縁まで大きく移動します。この動きにより、大腿骨は脛骨に対して外旋し、言い換えれば脛骨は大腿骨に対して内旋します。

この動きのメカニズム

• 脛骨内側関節面は凹面を有し、可動性が低い。

• 外側顆は凸面をしており、内側顆に比べて可動性が高い。

この構造的な差異により、膝屈曲時にはロールバックの非対称性が生じ、脛骨の内旋運動を伴うことが必要です。深屈曲における脛骨内旋が不十分であると、膝関節の安定性が損なわれ、さらなる外旋が助長される可能性があります。

下腿過外旋の治療法

1. 筋力バランスの調整

外旋筋の緊張緩和:大腿二頭筋や腸脛靱帯に対するストレッチや筋膜リリース

下腿内旋筋の強化:膝窩筋や半膜様筋、内側広筋をターゲットにしたトレーニングを実施

2. 内旋可動域の改善

徒手療法やエクササイズにより、脛骨の内旋可動域を拡げることが重要です。膝屈曲に伴う脛骨内旋を回復させることで、膝の安定性を取り戻し、痛みの軽減に繋がります。

3. 股関節と足部の調整

股関節外旋可動域の拡大と外旋筋の強化:外旋可動域拡大のためのストレッチや大殿筋、

中臀筋、外旋六筋を中心としたトレーニングを実施する。

足部のサポート:内外側縦アーチや横アーチの補正や距骨下関節の動きを調整する

インソールを使用し、足部の安定性を向上させる。

結論

下腿過外旋は膝関節疾患の進行を早めるだけでなく、患者の生活の質にも影響を及ぼします。多面的なアプローチを行うことで、膝関節の負担を軽減し、症状の改善が期待されます。筋力バランスの回復、下腿内旋可動域の改善、そして股関節や足部のサポートを組み合わせた治療法が、膝OAや鵞足炎などを含む膝疾患の治療における重要な鍵となります。また、今回の記事を基に簡潔に「下腿過外旋について」の動画を公開いたしました。併せてご覧ください。動画内にエクササイズの映像も含まれていますので、ぜひご参考ください。

下腿過外旋における原因、評価、治療法~膝関節疾患に向き合うための理論と実践~

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