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医療危機:日本医師会が緊急の財政改革を要請

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医療機関が費用増加の中で深刻な経済的圧迫に直面、日医会長が警告

23日、日本医師会定例記者会見で、松本吉郎会長は日本の医療機関を脅かす深刻な財政危機を警告し、政府に即時の対策を求めました。

松本会長は、病院とクリニック両方の経済的見通しが著しく悪化していることを示すデータを提示しました。2022年度と2023年度において、ほとんどの医療施設は0~1%のわずかなプラスの利益率を維持していましたが、2024年度の診療報酬改定後の予測では、多くの施設が赤字に転落する見込みだと指摘しました。

「我々の医療機関が直面している財政状況は持続不可能です」と松本会長は記者会見で強調し、医療法人が運営する病院の利益率が-1%~0%に落ち込み、無床診療所はさらに厳しい-3%~-2%の状況に直面する可能性があることを示すデータに言及しました。

日医会長は、通常12%程度の利益率を維持している類似産業(法律事務所、社会保険労務士事務所、獣医等の学術研究・専門・技術サービス業)と比較して、日本の医療提供者の財政状況がいかに危険な状態にあるかを強調しました。

指標 数値(百万円)
売上高 72.9
経常利益 10.0

※最新(2025.3)令和6年中小企業実態基本調査では経常利益率=10/72.9​×100=13.71%

上昇するコストと固定された償還制度が完璧な嵐を生み出す

松本会長によると、この財政悪化は複数の要因が同時に発生していることに起因しています。日本の医療制度は政府によって設定された固定の診療報酬制度の下で運営されており、中央社会保険医療協議会を通じた交渉により2年ごとに改定されます。この「公定価格」制度では、医療提供者が上昇するコストを反映して価格を自由に調整することができません。

一方、医療施設はインフレによる供給コストの上昇、医療従事者の賃金引き上げの義務化、そして絶えず進化する医療技術への投資必要性など、複数の方向からコスト増加に直面しています。他の産業であれば可能な価格引き上げによるコスト転嫁ができないことが、医療業界に財政的圧迫をもたらしています。

「診療報酬制度は、これらの現実世界のコスト圧力を反映するために大幅に引き上げられなければなりません」と松本会長は主張し、従来の改定プロセスでは現在の危機に対応するには遅すぎる可能性があると指摘しました。

日医が医療財政に対する多角的アプローチを提案

日医は当面および長期的な課題に対処するためにいくつかの提案を概説しました。

  • 緊急財政支援: 医療施設が現在の危機を乗り切るための即時の補助金を求めました。
  • 診療報酬の大幅引き上げ: 緊急措置を超えて、2026年の次回定期改定を待つのではなく、稀な中間改定を含む診療報酬の大幅引き上げを提唱しました。
  • 医療資金源の再考: 松本会長は医療制度の3つの資金源のバランスを強調しました:政府補助金(公助)、保険料(共助)、患者自己負担(自助)。
  • 予算制約の撤廃: 日医は特に、医療費増加を高齢化率に合わせて制限する政府の政策を批判し、この恣意的な制限がインフレ、賃金上昇、技術進歩を考慮していないと主張しました。
  • 経済的現実を反映する新メカニズム: インフレや賃金上昇などの広範な経済指標に基づいて診療報酬を自動調整する新システムの創設を提案しました。
  • 小児科・周産期医療への特別な焦点: 日本の出生率低下に伴い、これらの専門サービスは特に持続可能性の課題に直面しており、的を絞った政策解決策が必要だと指摘しました。

財務省のデータと前提に異議を唱える

財務省の財政諮問会議に対する辛辣な批判で、松本会長は医療政策形成に使用されているデータに疑問を呈し、日本の医療制度の誤解を招く図式を示していると示唆しました。

財務省が日本の社会保障支出が持続不可能であると主張するために2015年の10年前の統計を引き続き引用していることを指摘しました。しかし、松本会長は2022年のより最近のデータでは、日本の医療支出は特に日本の高齢者の割合が高いことを考慮すると、他の先進国と比較して安定していることを反論しました。

「医療費削減を正当化するために時代遅れのデータに依存し続ける財務省の姿勢は不誠実です」と松本会長は断言しました。「実際の医療ニーズに対応するのではなく、あらかじめ決められた予算削減という彼らのアプローチは変わらなければなりません」

松本会長はまた、一部の政策立案者が特定の状態の保険適用削減を主張するために使用する「大きなリスク」と「小さなリスク」の概念的区別を拒否しました。松本会長は、一見小さな健康問題も治療されなければ大きな問題に発展する可能性があり、そのような区別は人為的で患者ケアに有害な可能性があると主張しました。

「日本の国民皆保険制度の基本原則—必要な医療は保険でカバーされるべき—を守らなければなりません」と結論付け、今後の政策議論においてこれらの立場を強く主張し続けることを強調しました。

この記者会見は、急速に高齢化する日本社会における財政的制約と医療ニーズの間の緊張の高まりを浮き彫りにしました。最近の政府発表によれば、2023年度の医療費は約47.3兆円と過去最高を記録しています。

医療危機:日本医師会が緊急の財政改革を要請

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